「話ぎらい」
『Esナシマ』第12号(2006年11月)掲載
−「特集・言葉の捨て場所」参加作品−
真相を言わせたければ火か水で責めろ老若男女を問わず
王様の耳のことなど言いながら頬・顎・喉とあたる剃刀
教室で書かせる限り着々と埋まる原稿用紙の升目
笑い飛ばして死んでくつもり夢だけは捨てちゃだめよと言われたことも
棒読みにしておく今はそれ以外言うべくもなき遺憾の意など
何であれ披露宴には欠かせない美辞麗句とは違うまごころ
無口なる父の見ていし飯つぶの二つばかりが残れる茶碗
本音などたやすく言うな 強いられて苦く切なく見苦しく吐け
うろ
木霊さえもう棲まぬらし数うれば樹齢ウン千年の樹の洞
生き延びるための妙なる糧として口なき死者の言葉をまねぶ
・「地球図」 / 「明日」 / 「街角の定型論」 / 「運ばれゆくもの」 / 「蠢」 / 「あやはべる、くせはべる」 /
「描かれざりし絵」
/ 「季のめぐり」 / 「名無しの刑」 / 「戻る日」 / 「初雪以前」 / 「ひとでなし」 / 「転生祈願」 /
「僕の実験」 / 「撮影禁ズ」 / 「水辺の街にて」 / 「箱の中身」 / 「ペンは強いか」 / 「うそ童心」 /
「遠い地平」 /
「バスケットケース」 / 「けるかも」
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目次 / 歌集『風見町通信』より / 『アンドロイドK』の時代 / 『見えぬ声、聞こえぬ言葉』のころ
/ 短歌作品(2008年以降) /
一首鑑賞
/新作の部屋(休止中) / うみねこ壁新聞 / 作者紹介