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「未来史稿」
             『Es群蝶』創刊号(2001年5月)掲載
            ─「特集・世紀」参加作品─



   選ばれし者なれば僕らふさわしく紙の門より発たねばならぬ

   今のうちに書きとどめおく今はまだありうべき大き未来について
         
   正義またも生れくる時代暴力は父の世代とともに滅びて
                          
   全き調和望める神よ今ひとたび万物の上に降らせ死の灰

   扉ひらく言の葉すでに知らざれば無辜の子らひたに唱えいる九九

   無名なる死者らあまねく万巻の紙背にありて洗う血で血を
                                      ふ
   殺したることいまだなき僕らのため密かに研がれいる断頭斧
                                         こぼ
   まさに死にゆくものなればすでに行き場なく血はあまたなる穴より溢る

   銀河という天の瀑布のふりこぼす雪は夜どおし汚れつつ降る

   きっと誰かが気づくだろうそのあからひく2101年元朝に


   「居酒屋しろねこ亭」「爆心紀行」「犬帰る」「生誕前夜」「ひかりの季節」 「やさしい神」「どん」「青髭公異聞」
   「第五間氷期まで」「不自然淘汰説」 「見えぬ声、聞こえぬ言葉」「木々起立」「花の綺想曲」「ある帰郷」「はつゆめ枕」
   「僕らの時代」
   目次 歌集『風見町通信』より 『アンドロイドK』の時代歌集以後発表の新作一首鑑賞 / 新作の部屋(休止中) うみねこ壁新聞
   
作者紹介