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   オオカミが来る、オオカミが。という嘘を嘘でなくなるまでつき通す

   お好みにてレモンを少し旬なれば牡蠣はかならず生きたるがよし
            えにし
   呼ばるるは何の縁か沿道に霊あまた来て引くうしろ髪

   閃光に盲いたれども血涙は垂り止まざりき双の耳より

   ことの次第つぶさに見する順路来て出でつも昼の広場の闇へ

   どうせやるからには皆殺しいずれまた平和の木々が芽吹くにしても

   今はこんなにやさしい光ゆっくりと死んでゆくのを見ていてくれる

   悪しき死にざまなれば怨なきはずもなくゆめ絶やしてはならぬ折り鶴
  よろず
   万なる灯しとなりて精霊はそのひと夜さを流さるるのみ

   内よりの光ドームを曝しいて情け容赦もなき市HIROSHIMA


   「居酒屋しろねこ亭」「犬帰る」「生誕前夜」「未来史稿」「ひかりの季節」 「やさしい神」「どん」「青髭公異聞」
   「第五間氷期まで」「不自然淘汰説」 「見えぬ声、聞こえぬ言葉」「木々起立」「花の綺想曲」「ある帰郷」「はつゆめ枕」
   「僕らの時代」
   目次 歌集『風見町通信』より 『アンドロイドK』の時代歌集以後発表の新作 一首鑑賞 / 新作の部屋(休止中)/ うみねこ壁新聞
   作者紹介