タハテ・スレマーン

ゾロアスター教と関連
タハテ・スレマーンは、イランのネイティブ宗教であるゾロアスター教の古代遺跡です。ゾロアスター教は、世界で最も古い一神教といわれています。イラン人の生活の中にはいまでもゾロアスター教の名残とされる生活習慣などが残っていますが、その一つは、新年を一般の1月1日ではなく、春分の日となる3月20日をノウルーズという新年の日としていることです。イランでは一年のうちの最重要な日で、この日の前後は一斉にお正月休みとなります。タハテ・スレマーンではこのノウルーズの日に世界中のゾロアスター教徒が集まり新年の催しを行っているということです。
タハテ・スレマーンはゾロアスター教の聖地の一つです。

ザンジャンの西140キロにある遺跡
タハテ・スレマーン遺跡は、ザンジャンという町から西に約140キロのところにあります。幹線道路からは大きく外れた山中にあるので、観光客にはハードルが高い世界遺産です。
私は2010年の秋に、テヘランから随行してくれたガイドの案内で訪れました。ガイドの車はザンジャンから起伏の多い丘陵地帯をひたすら西に向かって走りました。すれ違う車はめったになく、せいぜい2、3キロに1台あればいい方で、無人の荒野をひたすら車は走り続けると、ようやく人家が見え、それをやり過ごして少し行くと城壁が見えました。そこがタハテ・スレマーンでした。

城壁の中にある火口湖
城壁の中にはいるとすぐ目にとびこんでくるのは、満々と水をたたえた大きな池でした。これは火口湖で水は温水です。現在も絶えず水が湧き出ています。しかも水は酸性質なので肌に触れるとただれたりするらしく、かがんで手を水面に入れようとしたらガイドに止められました。池の周りはすべて固い岩で囲まれていて、池の水を城壁の外に排水するための溝がところどころにありました。

修復途上にある街の跡
私が訪れた2010年当時は、遺跡内の建造物を保全するために鉄材の櫓などが組まれていました。日干しレンガなどで修復されたと思われる地下倉庫なども見ることが出来ました。ただ不思議に思ったのは、この遺跡全体で現地のスタッフと思われる人は入り口の切符売り場を含んで数名しか見当たらなかったことです。これだけの広大な世界遺産を守るには目が行き届かないのではと思いました。
タハテ・スレマーンから西に数キロ行ったところにゼンダネ・スレマーンがありますが、こちらもゾロアスター教と関連が深かった火山です。いまは活動が止まっているので打ち捨てられているようですが、頂上まで登ると深い火口を眺めることが出来ます。
