私が訪ねた世界遺産

ローマ歴史地区

コロッセオ

ローマ歴史地区
 ローマは、古代ローマ時代の遺跡やキリスト教関連の史跡、バチカン市国の領内外の建造物などが世界遺産に登録されています。ルネサンス時代から17世紀にかけての建造物など、時代を追っての史跡やモニュメントが数多く残されているので、街自体が一つの歴史博物館のようでもあります。
コロッセオ
 古代ローマを象徴する代表的な建造物が、円形闘技場「コロッセオ」です。ローマ帝国の皇帝たちは、民衆を掌握するために「パンとサーカス」を提供し続けました。サーカスすなわち見世物が繰り広げられた場所がコロッセオでした。ここでは剣闘士同士の戦いや、人間と動物の戦い、はてはキリスト教徒の虐殺などが行われたことが知られています。

コロッセオ

 ローマ時代の円形闘技場遺跡は、ローマの支配下にあった場所には必ず残っていますが、現存するものではコロッセオが最大です。その大きさは、長径188メートル、短径156メートルの楕円で高さは4階57メートルあります。収容人数は約5万人と推定されています。
 私が初めてローマを訪れたのは2006年春のことで、真っ先にコロッセオに向かいました。当時も今も変わらないと思いますが、世界各国からの観光客が、入場券売り場の前に長蛇の列をつくっていました。私はあるガイドブックで、パラティーノの丘の入場券と共通になっていることを知っていたので、まずパラティーノを見物した後にコロッセオに向かい、スムーズに入場することができました。

コロッセオ
 闘技場の内部に入ると、各階にある回廊部分や階段から客席への通路など建物の構造がよくわかり、中央のステージ下の地下部分の様子も見ることができました。
ファルネージア植物園

パラティーノの丘
 古代ローマ時代、貴族などが邸宅を構えていた場所がパラティーノの丘です。コロッセオから南東、フォロ・ロマーノの南側に位置し、緑が多く、ゆったりとした空間になっています。ティベリウス帝の邸宅跡につくられたファルネージア植物園跡やドミテイアス邸跡など見所も多くあります。

フォロ・ロマーノ

フォロ・ロマーノ
 古代ローマの中心地がフォロ・ロマーノで、現在は一際目立つ建物として、マクセンティウスのバシリカがあります。その前を横切る「聖なる道」の周辺には、いくつかの神殿跡がコラム(円柱)を残してその場所を現代に伝えています。また、コロッセオに近いところには、ティトスの凱旋門やコンスタンティヌス凱旋門があります。


トラヤヌス帝マーケット跡

フォーリ・インペリアーリ
 フォロ・ロマーノの北側にはローマ帝国時代の遺跡が集まるフォーリ・インペリアーリがあります。ここは、トラヤヌスやカエサル、アウグスツス、ネルヴァのフォロと呼ばれる遺跡群があります。なかでもトラヤヌス帝のフォロには、マーケット跡や記念柱などが保存状態がよく残っています。ちなみにフォロとは公共広場をさす言葉です。

 

サンタンジェロ城

サンタンジェロ城
 ティベレ川沿いのヴァチカンに近いところに、サンタンジェロ城はあります。もともと、2世紀初頭にハドリアヌス帝の墓所としてつくられた建物です。その後、要塞として使われるようになったため、現在の名前になったようです。かつては牢獄としての役割もあったとのことで、美しい外観とは対照的に内部は暗く重苦しい空気が漂っています。私は城の最上階テラスにあるカフェからサン・ピエトロのドームを望みながら静かにカプチーノをすすりました。


サン・ピエトロ