98年〜99年分のミニレポートです。日記半分と思って読んで下さい。
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今日発売の「週刊文春」の「運命激変 マンガ界“20億円カップル”が誕生!」という記事の中で、冨樫義博と武内直子の結婚の記事が掲載。「20億円カップル」というのが、いかにも週刊誌的タイトルで笑える。
この手の記事にしては、文春が脳天気なほどに非常に好意的なのがなんとも不思議。とはいえ、実名でコメントを出しているのが、元ジャンプ編集長の西村繁男と、萩原一至だけ。講談社がらみのコメントがないのは当然としても、現役の集英社の編集者のコメントがない、というところに微妙なニュアンスを感じてしまうのはチトうがちすぎかしら? 武内直子と講談社とのトラブルというのが、このカップル成立の遠因になっていることは、「社会復帰ぱーんち」の連載前から、業界では知られている話だったし、あのハイパー連載を読んでいるのに、そこにつっこまないで、記事が単なる「ヒマネタ」になっていたのはいただけない。文春は、まだまんがに色気があるので、それを考えてのご祝儀記事なの? と、怖い考えになってしまった(笑)。
なお、8日発売の今月の「社会復帰ぱーんち」は、さすがに結婚直前ということもあってか(?)、減ページ。でも、愛の交換日記公開など、中学生の恋愛ノリは相変わらずで、冨樫メタメタ。もう結婚しちゃったけど、ほんとに、ほんとにこれでいいのか? 冨樫?!
「AERA」(朝日新聞社)に「現代の肖像」という連載がある。これは、気鋭のノンフィクションライターたちを都度起用して、一号完結で各界で活躍している人間についての評伝を書かかせる連載であり、「AERA」の長期看板連載でもある。ビジュアル性と読みやすさが全面に出ているあの雑誌の中では、他の記事から浮いていると言っても言い過ぎでない骨太さがある。で、今週号登場したのが一条ゆかり。ライターは「女学者丁々発止」などで知られる島崎今日子。
幼年期から始まって、まんが家になり、さらに現在に至るまで追っているのだが、びっくりしたのは、これまでの男性遍歴が割とはっきり書いているところ。「男はまんがの肥やし」的な発言は以前からしていた一条だが、ここまで具体的な内容には驚かされた。しかも、こうした「女王様」スタイルがさほど嫌味にならないところが、この人のすごいところ。もちろん「座右の銘は?」尋ねられて「人生トライアスロン、欲望の反対語は責任」と答えるところに見られるような裏付けがあるからこそなのだが。その他にも、手を抜いた仕事をした松苗あけみへの「仕事をなめるな。仕事はあなたに名声もお金もくれて、あなたを守ってくれるものよ。」といった叱責や、「自分がどの位置にいて、どういう評価を受け、どれくらい発言力があるか、いつも正しく自分の力量を知っておきたい」という発言など、今やすっかり少数派の「プロ根性」のまんが家の底力の源を見せてもらった感じ。
一条の勢いに合わせて、島崎の筆もノッているが、「少女漫画という表現形態でしか書けないものを描いている唯一の作家」とかいう編集者のコメントを無批判に載せるのはどうかと思う。これ以外にも少女まんが家を取材してきたライターの「一条ゆかりだけが血もあり肉もあり、男とも寝る実体のある女だった」というコメントが乗っていることも合わせると、一条ゆかりという存在を際だたせるために、他の少女まんが家への暗黙の批判が含まれているような構成になっているのは、少しばかりアバウトなのではないか。もちろん一条が優れた少女まんが家であることは論を待たないが、そんなおおざっぱな言葉で彼女を彩ろうとするのはかえって失礼であろうと思う。
これが冬コミケ前最後の更新です。おそらく、今年最後の更新かと思います。
NiftyserveのSGAINAX等でも話題になっているが、庵野秀明が「彼氏彼女の事情」の監督を降板したらしい。年末の総集編を全編3倍速でやろうとして揉めたとか噂があるが、本当だろうか? 音響監督はそのまま続けるし、脚本はある程度は進んでいるので、庵野色はそれほど薄れないのでは、という憶測もあるようだ。ちなみにアフレコは、録音に一日、その後の調整にさらに一日と、TVアニメとは思えない贅沢な作業が行われているらしい。
他に、私が聞いた噂話では、単行本6巻の有馬と宮沢の初体験の話を巡って、これをどう放映するかでもテレビ東京とガイナックスの間で意見の対立があったようだ。「エヴァンゲリオン」の時の前例もあって、テレビ東京側は慎重な姿勢に終始しているらしい。ただ、あの話を外してしまったり、ごまかしてしまっては「彼氏彼女の事情」の本質のかなりの部分を取りこぼすことになることは明らかである。読者層の低い雑誌を除くと、既に大半の少女まんが雑誌ではセックスを扱うことは普通のこと、というところまできているのが現状であり、アニメとのこのギャップをどう埋めるかは、興味があるところである。
ちなみに、アニメ化企画段階では単行本6巻は発売されておらず、そんなストーリーがあることはテレビ東京側は全然知らないで、企画にOKを出したそうだ。ということで、テレビ東京側のプロデューサーが、「また、騙しましたね」と言ったとか言わないとか(爆笑)。
冬の同人誌ですが、知り合いのハイエンド研究会(そこ、笑わないように)の本に原稿を書いたです。締め切り大幅破りで、Sくん、Yくん、ごめんね。つらつらと書いていたら、あっという間に三千字を超えてしまったのにはビックリ。久しぶりに筆がノッたのであった。タイトルは「PUREGIRLって……」というもので、まあ内容はそんなもんだ(おいおい)。同人誌自体は友達が友達を呼んでなかなか大変なメンバーになってしまったらしいので、興味のある人は是非どうぞ。お求めの際は、二日目東地区ハ30a悔しみまで。部数少ないので、多分、同人誌生活文化総合研究所では委託しません。
ちなみに、自分の本にはまだ全然手をつけていません。また、前回同様神業な入稿日になっちまうんだろうか? 「ごめんね、ヒロくん」と言っても、Webなんか読んでないよな。反省。
今日発売の「週刊モーニング」の新連載が、「部長島耕作」。「昔の大ヒット連載の続編で読者をどこまで騙せるかシリーズ」第3弾ですな。一時代を作った栗原編集長が、部数激減の責任を取って更迭された後の新体制だが、こんな後ろ向きの企画で大丈夫なのかしら? 「アフターヌーン」、「マグナム増刊」ともに、もはや二軍誌とは言えない特殊な雑誌になっており、別途新人の育成は急務だと思うのだが。新人が出てくるまでは、過去の名声で食いつなぐ、というのはわからないでもないが、あれで、描き手のモチベーションは、維持できるのだろうか? 第二部をやってくれと言われる当人も余り面白くないだろうし、他の作家陣は「俺たちより、過去の遺産の方が大事なんだ」と思うだろうし。
で、「島耕作」だが最初からかなり「なんだかなぁ」な展開。いきなり中沢社長は、赤字の責任を取って辞任するわ、島耕作は、中沢社長がいなくなって飛ばされない前に先手を打って出向してしまう。うーん、寂しい話だねぇ。買収したコスモス映画の事業も失敗したことになっているし、中沢さんは社長になっていいことあったのだろうか? と考えてしまった。この辺の違和感は、「島耕作」がバブルの時代のまんがだったからなんだろうな。でも、出向して島耕作がするビジネスというのが、ワイン取引というのが笑える。ここら辺は、「釣りバカ日誌」と並ぶ二大サラリーマンファンタジーまんがとしては相変わらずの話作りである。
後、些細なことだけど、半導体事業の失敗がらみのせりふで「16メガバイトのDRUM」というのは、ねーだろう(多分、「16メガビットのDRAM」と言いたいのであろうが)。こういうディテールからも、手抜きなのが透けて見える。それを正せない編集者も情けないが。
久しぶりの更新です。すいません、ものすごく忙しいんです。それに個人的にもちょっとショックなこともあったので。
で、先月から業界で話題沸騰の武内直子の新連載第二回だが、なんかどんどんすごくなっていくぞ。今回は、冨樫王子とのなれ初め&恋愛話。もはや「まんがとしての構成」とか、完全に崩壊してる。断片的エピソードを組み合わせた、ただのノロケ話なんだけどあの異常なポジティブ・シンキングはなにごと?
冨樫王子のキャラクターも凄くて、メチャメチャ美青年に描かれている割には、いきなりブラジャーを頭からかぶって登場するわ、「98年の目標は、ひとりHと女遊び禁止」とか言わされてるわ(つーことは、「いつでもヤラセてくれるってことかい?」と、某知り合いはまんがに向かってツッコミ入れてましたが(爆笑))。これでほんとーにいいのか、冨樫王子!? 超売れっ子まんが家の気持ちは一介のサラリーマンにはわかんないけど、一人の男の率直な気持ちとして「すげー女の子に捕まったねぇ。」というのが偽らざる気持ちなのだが(泣)。だって、そうでしょう? これ、武内直子姫だから許されるんですよ。そうじゃなかったら、今ごろ袋叩きですがな。
今、エッセイまんがで西原理恵子の「鳥頭紀行」(現在連載中のサハリン編も相変わらずムチャクチャ)に敵う作品はないだろうと思っていたのだけれど、武内直子のこのハイパー・テンションは、もしかしたらある部分でこれを超えちゃってるかもしれない。おれ、武内直子のまんがって全然評価してなかったんだけれど、ちょっと見方変わりました(苦笑)。
いろんな意味で話題の(笑)「彼氏彼女の事情」。オープニングが、放映されたりされなかったりしている件であれこれ憶測が飛んでいる。皆が真っ先に思いつくのが例の「ポケモン騒動」以降にTV東京に導入されたチェッカーに引っかかったのでは? というものだが、真相はなんと、本編の尺が足りなくて、OPから時間を拝借したんだと。知り合いの古参アニメマニアがこの話を聞いて曰く、「うーん、それはまるで「ヤマト」の七色星団ですね。」だと(苦笑)。最終回の尺が合わなくて、EDをカット、というアニメはよくあるけど、中途の話数でOPをばっさりとは、さすが「ライブ感覚の王者」、「生きるアニメ裏技大全集」庵野秀明らしい豪快さである。
個人的には、カットのつなぎのわざとらしささえ除けば、とっても好きなアニメなんですけどね。原作の持ち味である十代の少年・少女の過剰なまでの自意識の爆発を、少女まんがであることを放棄することなく、しかも庵野秀明らしい内的世界ととも調和させつつ展開しているところは、実にうまい。少女まんがのアニメ化というのは、たいていが惨めな失敗に終わるのが常なのだが、完璧にベストとは言わないまでも、現状望み得る最上であることに間違いはあるまい。
ただ、相変わらずスケジュールが爆発寸前なのは「エヴァ」とおんなじで、素人集団のアテレコなのに、線撮りが始まっているようだし、二週続けて総集編とかいういろんな噂も聞くが、今度はまっとうに終わらせて欲しいもんである。
この1年、色々あって通勤時間がえらく長いので、文庫と雑誌の買う量が増えてしまった。あんまり頭使わない本が増えているところが情けない。今日、駅の本屋で買ったのが「芸能博物館」(山田美保子・やくみつる 小学館文庫)。どーでもいいけど、名前の順番って、やくみつるより山田美保子の方が先なのかぁ、ふーむ。で、この本、「女性セブン」での連載「木曜のY2談」をまとめたものだが、名うてのメディアウオッチャーあんど毒舌家の二人だけあって、芸能ゴシップ、TVドラマ、アナウンサーを縦横無尽にぶった切り。どっちも独自ニュースソースがあるから、無造作に裏ネタを披露してくれるのもポイントが高く、この手の話題が大好きな人には隅から隅まで楽しめる本になっている。あんまり突っ込みすぎて、話がデングリ返ししちゃって、世評あれほど悪い川島なお美、二谷友里恵を「味方」する結果になっちゃったりしているところが笑える。おかげで、文庫の帯のコピーは川島なお美本人という、とんでもないことに。
ところで、まんが家本人が自分のまんがとは関係なくTVに頻繁に出るようになったら、一般的にまんが家としてはおしまい、という場合が多い。例外って、山藤章二くらいか。やくみつるも、最近露出大なのでちょっと心配。元々絵そのものよりは観察力の人なので、外に出ることそのものはいいことだとは思うんだけど。
国税の査察が入っていたガイナックスだが、このたび正式に告発された。新聞報道に拠れば、2年間で15億6千万円の所得を隠し、法人税5億8千万円を脱税していたというもの。脱税の手法は、取引会社に架空の外注費を振り込み、それを現金でバックするというよくあるやり方。でも、脱税した金の大半を銀行の貸し金庫に保管していたというところが、可愛いというか、何も考えていないというか、理解に苦しむところ。フィクションの世界はミズモノだから、当たった作品の利益を留保しておきたいという気持ちはわからんでもないが、犯罪は犯罪である。しかし、ガイナックスといい、7月に申告漏れが指摘された代々木アニメーション学院といい、税務署も儲かっていそうなところをしっかりチェックするよね(ちなみに、報道されていない(?)が、アニメスタジオのコクピットにも査察が入っていたりもする)。ま、「取れるところならどこからでも取る!」というのが、最近の税務署だから。
アニメ製作のように人件費の塊みたいな会社を維持しようというのは、固定費が非常に高くて、結構しんどいのよね。脱税話の中で引き合いに出すのは恐縮だけど、この間アニメ業界の人と話していて、なんでスタジオジブリがなんだかんだ言いながら、切れずに仕事をしているかと言えば、月額1億円近いスタジオの維持費を賄う必要があるからなんだって。ジブリは外注ではなくて自社の社員に給料払っているから、なおさら大変なのだ。いくらジブリが儲かっているとはいえ、らくらく払えるわけじゃない。でも、やっぱり「となりのやまだくん」はないよなぁ。これについては製作発表の時のいしいひさいちの「ジブリの歴代作品の中で、興行収入ワースト1にならないことを願っています」ってコメントがふるってたよね。
ところで、ガイナックスの経理といえば、かのガイナックス前社長岡田斗司夫の夫人だったはずだが、最近の事情を私知らないんだが、どなたか何かご存知? 下司な質問ですけど(反省)。
今月頭に公開されたいわゆる「ハロウィーン文書」が面白い。Microsoftの社内文書が流出したというシロモノで、Linuxやオープンソースについての分析が行われ、それらがMicrosoftの脅威になっているかを指摘したもの。流失経緯については、アメリカのニュースサイトでも色々と取り沙汰されている(司法省との裁判対策としてのMicrosoft自身のヤラセ説など)けど、文書そのものは確かにMicrosoftのものであることはMicrosoft側が認めている。この文書を邦訳した山形さんもWebで書いているが、こういう自社製品の冷静な分析はやはりアメリカ企業のリアリズムを反映している。日本企業じゃ、こんな社内文書は確かに書けない。かの中村正三郎さんの「On The Move」の最新版もタイミングよく「Linuxとオープンソース革命」。11月6日にASAHIネットで公開されたので、しばらくすると、PC WEEK JAPAN ONLINEのページに載るでしょう。
オリジナルは、http://www.opensource.org/halloween.html。日本語訳は、山形浩生氏による。このWebは、他にもEric S. Raymondの「伽藍とバザール」や、R.StallmanのGNUについての講演の邦訳とかもあり、英語に弱いコンピュータ関係者にはお勧め。