剣道講話

小川 忠太郎 =著

平成五年 五月一日 初版発行

発行者 小沢 一雄

発行所 体育とスポーツ出版社

定価 5,800円








感想
この本は、言わずと知れた小川忠太郎範士の講話集です。ご存じ剣道時代の本 として発売中です。「剣禅悟脱の範士が説く珠玉講和集」とのコピーどおりの 中身の濃い本です。
装丁が、A5判布張りケース入りで、豪華ですが、中は三分冊になっているので 持ち歩きにいいです。
私が、最初に先生を知ったのは、社会人になって剣道を再開した頃、たしか、 神奈川県で行われた全日本勤労者剣道大会の開会式のときだったと記憶してい ます。普通なら、挨拶ということで長くても10分くらいのお話のところ講話と いうことで50分くらいお話があったのです。試合に来て、思わぬ講話にびっく りしたものの感激したのを覚えています。その後は、幸いなことに野間道場で、 数回稽古をお願いすることが出来ました。2度目の稽古をお願いするとき、も うどうしたらよいかわからず、まわりの先生に「先生とはどういう風に稽古を お願いしたら良いのですか」と尋ねたことがありました。それに対して、「貴 方の好きなようにお願いしたらどうですか」とのお答えをいただき、本当に自 分の好きなように稽古をお願いしました。そのときの小川先生のことは、後に なってこの本と出会って、やっと、少しばかり感じることができるような気が します。それは、頭でわかったというより、体の奥のほうから沸いてくるよう な感覚が自覚できるということです。
数回の稽古が、何度も何度も頭をよぎって本を読みながら先生の大きさまでを 痛感します。剣道に、稽古に迷った時は、必ず本棚から取り出して読むように しています。
今も、ちょっと引っ張り出して拾い読みをしたところ、剣道は、武道かスポー ツかという最近(Nifty-serve FBUDO MES7など)の話題に対して剣と道という部分でズバリ言い切っています。

また、先生は良い師に就くことを強調しています。しかし、近くにそういう先 生がいなければ「過去に求めなさい。」と言っています。それは、良い書と出 会うことだと思います。この本は、私にとって、そんな一冊です。