Works2−同人誌などでの活動−

ここは、三崎尚人の同人誌などでの活動のコーナーです。

三崎尚人の同人誌レポート

 元々、「同人誌レポート」とは、パソコン通信Niftyserveコミックフォーラム同人誌会議室および Mapletown Network40番会議室(同人誌即売会)において三崎尚人が不定期に出していた文章のことである。その後、三崎尚人が出した同人誌にもこのタイトルがつけられており、三崎尚人の性格らしくアバウトに使われている。

同人誌(2000年8月)

男性向け同人誌の危機を語ろう!

 この正月に同人誌生活文化総合研究所のWebはリニューアルをしたのだが、これに合わせて行った対談。場所は新宿山手通り沿いのロイヤルホスト。この日は土曜日で、翌日は東京と大阪でコミックシティがあった。三崎と番頭は通常通り東京のシティに行ったのだが、岩田爺はこの対談の後、新宿駅から夜行バスに乗って大阪インテックスへ向かうという元気ぶり。「あんた、歳いくつやねん!?」。

話を聞かないアクアプラス、即売会ができないCPS

 実際のこみパについて、その第一の責任はコミケ・プランニング・サービス(CPS)が負うが、アクアプラスも決して責なしではないということを明言したかったので、書いてみた。ちなみに、CPSに関して言えば、もっと情けない話もいっぱいあったのだが、アホらしいのでカットしちゃいました。

同人誌('95〜'96年)

書評「彼女たちの連合赤軍」(大塚英志著) 1996.12

 作ったのはコミケ前々日。実制作時間数時間というペーパー。米沢嘉博氏には「書評になってない」という批評をいただきました。ごもっともな意見だとは思います。書評は目的の文章ではなかったので。しかし、この段階での大塚英志の迷いというのはちゃんと描けていたと思う。別の所でも自慢したけど、この後、「少女民族学」の文庫版のあとがきで大塚英志自身がその迷いを吐露していたので読み通りだったことは大当たりだったわけ。
 最近の大塚英志は「多重人格探偵サイコ」の小説版でもなかなかいい味を出していて、割と好調。吹っ切れたというか、突き抜けたところがあって(その分ちょっと壊れちゃったのではないかという懸念もあるのだが(笑))、いい感じである。

楽園の崩壊 パラダイムシフトは果たして起こるか 1996.08

 原文は、岩田次夫氏のNiftyserveのPATIOでの議論をもとにしたもの。女性系同人誌・商業誌の低迷の現状、それが改善ではどうにもならず、次のパラダイム転換が起こらないと展望は開けないことなどを述べている。ここ数年の三崎尚人の寒い現状認識がそのまま現れている。
 約2年経って振りかえってみるに、さらに状況は悪化していてしかも解決の糸口が見えない。売れない雑誌はつぶれるし、仕事がない作家は増えているし、同人誌印刷所の経営は悪化しているし、厳しい厳しいと言い続けてた事態は本当に抜き差しならなくなってきた(98年)。
 さらに2年経ったわけだが、女性系は最悪の時期を脱した。決して「復活した」わけじゃないけどね(2000年)。

三崎尚人の大予言(笑)予言:来年は女性系同人作家の結婚が増える 1996.08

 で、上記の状況分析から始まったバカネタがこれ(笑)。現実には大ハズレであった(当たり前だ)。でも、それはそれで問題があるような気がするのは気のせいか。ここ最近でちゃんと身を固めたのは、自分の同人誌活動や人生設計までばっちり見通した上で、生きてきた某女史くらい。でも、それは「でもしか」でも何でもないからね。
 ちなみに、コミケット準備会スタッフ有志が開催している「ねるコミ」は、毎回数十人規模の申し込みがあって、盛況らしい。なんと第1回に成立したカップルがこの秋めでたくゴールインだそうで、おめでたいことである(98年)。
 「ねるコミ」は、その後も順調に開催を重ねている。さらに数組のカップルが結婚にまで至っているようだ(2000年)。

商業誌アンソロジーとお子様たち 崖っぷちでスキップするお嬢様たち 1996.08

 原文は、岩田次夫氏のNiftyserveのPATIOでの議論をもとにしたもの。商業誌アンソロジー状況の現在と過去の対比の中で、若手の作家たちの近視眼的な行動を揶揄している。まだこの頃はウケそうな作品に早めに飛びつけば何とかなる思っていたサークルも多かったが、自転車操業になるだけでそれほどおいしくもないということにここ最近は気付きはじめている。というか、疲れちゃったよね、そういう作為に。ウケそうなら好きかどうかは二の次では、創作行為はなかなか続かないです(98年)。
 さらに若い子はまだ気がついていないみたいだけどね。まあ、すぐわかるでしょう(2000年)。

コミックシティ幕張へ Revenge of The Aka-boo-boo 1996.08

 原文は、岩田次夫氏のNiftyserveのPATIOでの議論をもとにしたもの。赤ブーブー通信社がかつての開催中止事件にもめげず、再度幕張への開催を決定したのを受けての文章。その根性や潔しとするところ。ただし、ここでも指摘している前回中止のトラブルを受けての再度開催に当たっての担保はサークルに対して何もなかった。しかし、不況で会場が埋まらない以上、来てくれる客なら誰でもOKという千葉の分かり易い姿勢には苦笑させられる。当日は、つつがなく運営が行われ、以後も年に数回幕張でのコミックシティが開催されているが、参加サークル・一般参加者ともに極めて厳しい状態であるようだ。有明での開催ですら、サークル・一般参加者ともに二の足を踏んでいるのに、誰がわざわざ幕張くんだりまで行くだろうか? 幕張は、有明にもしもの時があったときの保険という意味もあるのだろうが、現状の赤ブーブー通信社にとって、高すぎる保険料のように思う(98年)。
 最近は幕張での開催回数はすっかり減っている。ここ数年、赤ブーブー通信社は幕張だけでなく同人誌即売会の開催回数そのものを減らして絞り込みを図っている。それ自体は正しい戦略であり、この状況下においては、有明が埋まっていて使用できないとかの事情がないと、幕張を使うことはないのではないかと思われる(2000年)。

コミケットと総会屋 報われない片思い 1996.08

 コミケットの開催に当たって、コミケット準備会ではいくつもの集会が開催されているが、中でも全体集会と言えるのが拡大準備集会であって、コミケ毎に3回開催されている。この拡大準備集会で最後に行われる集会については一部がサークルに対して公開されていて、準備会に対して直に質問・意見をできる場となっている。この文章は当時の拡大準備集会で大暴れした某グループの行動について記したもの。以後もこのグループのメンバーはコミケの度に集会に現れ、色々と質問しており、その後、2000年3月の沖縄でのコミケットスペシャル開催を巡るトラブル(詳細は、コミックマーケット58カタログ参照)に至ることになる。

ゴーマニズム宣言」へのレクイエム 1995.08

 割と周囲の評判がよかった文章。小林よしのりの姿勢が変わらないというか、さらに悪化しているので、論旨は基本的に現在も通用すると思う。唯一の誤算は、小林の右旋回のおかげで一部の小学館のライトな感覚(笑)とうまく結合して、生きながらえているところか。しかし、もはやまんが家として生きているのとはほど遠いところに小林はいる。

パソコン通信発表分

VOL.3「コミケット、ホームページ開設」 1995.08.20

 このころは、まだホームページを持つということはそこそこに珍しく、ニュースになったところが隔世の感がある。コミケットのホームページは、その後それなりに充実してきてはいるが、有効に使われているとは言えない。ただし、あまりWeb上のサービスを拡大すると、デジタル・デバイドの問題が噴出する。以前、当落通知の公開をWebで先行したときに、かなり大きな批判の声があがったこともあり、さじ加減が難しいところだ。

VOL.2「HARUコミックシティ1とは何なのか?」 1995.08.10

 '96年3月に行われることになったHARUコミックシティに関する分析。これ以後、東京文芸出版の経営はさらに悪化し、最終的に倒産ということになる。しかし、第1回目は、晴海での最後の即売会ということで多くのサークル・一般参加者を集めたHARUコミックシティも、Superコミックシティとの食い合いは予想通りで、サークル数こそ埋まっているものの、一般参加者は会場の規模に追いついていない。現状で赤ブーブー通信社に両方の即売会をこの規模で開催するメリットはあまりないように思われるのだが。

号外「SCC逮捕事件についての各即売会代表者の話し合い」 1995.06.20

 95年5月4日、スーパーコミックシティにおいて、サークル参加者が逮捕される事件が起きた。これを受けて、赤ブーブー通信社主催で、晴海の東京国際貿易センターを利用する各即売会の代表を集めての話し合いがもたれた。その内容を会議参加者にヒアリングしてレポートしたもの。会議に参加していない奴が適当なことを言ってると暴れてた人もいたけど、基本的には間違いないはず。

VOL.1「人気急上昇ガンダムW!」 1995.06.13

 この頃ちょうど盛り上がってきたガンダムWについてのレポート。

その他

 ゲスト原稿・依頼原稿を集めてみました。

「PUREGIRLって…。」 1998.12

 ハイエンドを考える会発行の同人誌「hwkk」に収録。いわゆる「ハイエンド」系についてのいろんな描き手(及び書き手)の意見や考えを集めた本。冬のコミックマーケット55にて発行された。ご存じの通り、98年12月上旬に「ハイエンド」系の総本山とも言うべき雑誌「PUREGIRL」が、版元のジャパンミックスの倒産とともに休刊となってしまい、なんとも変にタイムリーな本になってしまった。本当はこの本が出た直後につぶれてくれれば、より格好いいタイミングだったのに…、というところなのだが、それは口にするのはちと顰蹙かしら。
 自分の原稿は、久しぶりにノッて書けた文章で、わりと気に入っている。岩田次夫先生が正攻法で来るのはわかっていたから、曲球投げたのだが、狙い通りになったと自分では思ってる。

「凡庸な意欲作」 1992.12

 創作漫画同人誌展示即売会コミティアのカタログ「ティアズマガジンVOL23」(発行/コミティア実行委員会)の内藤泰弘特集の中での一文。98年に入って「トライガン」でブレイクしてしまった内藤泰弘だが、当時は鴨葱スイッチブレイドというサークルで同人誌活動をしていた。彼とは昔からどうも話が噛み合わず、この文とそれに彼がつけたコメントのベクトルは完全にすれ違っている。

「複製の時代の物語」 1990.06

 「不思議の海のナディア」のパロディ同人誌「Belle Epoque」(発行/K・S Institute)に収録。放映前半時の文章だけに期待の高さが伺えるが、現実はかくも厳しいものであった。この本自体は皆で「ナディア」に突っ込みを入れてる愛のない同人誌で笑えた。K・S Instituteは、その後メインの名前をお気楽商会に変更しており、「エヴァンゲリオン」などでも相当なメンバーを集めて相当変な本を作ったりもしている。

「少女たちは楽園をめざす」 1990.6

 「コミケットセレクション6」(発行/コミケット準備会)に収録。爆走原稿用紙50枚の大作(笑)。女性系アニパロ同人誌隆盛のメカニズムを詳細に検討してある。商業誌少女まんがへの過剰な思い入れ等読み返すと問題点はないわけではないが、論旨の基本的骨格は現在も揺るいでいないと思う。三崎尚人の原点のひとつ。この後の歴史と仕組みを本当は書かなければいけないようにも思う。思ってはいる(苦笑)。

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