1998年5月〜7月の同人誌即売会を中心としたイベントのレポートです。
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夏コミケ前はこれが最後のコミックシティ。さすがにこの日程ではサークルが集まらず、2500SP募集が実数はその半分
ほど。2ホール分の募集が1ホールになったというところ。当然ながら新刊はほとんどなし。大手もほとんどおらず、サークルも本売りに
来ましたというよりは、遊びにきたという感じ。1時間も会場にいないで引き揚げました。これで、カタログ700円はずいぶん高いなぁと思
いつつ、パラパラとカタログを見ていると、まーた、やってるよ武田氏(苦笑)。
コミックシティのカタログでは、巻末に事務局の武田氏のコラム「事務局より一言二言」が掲載されるのだが、これが以前よりわりとチ
ョメチョメなことが多く、あちこちの人をよく怒らせていたりする。読者の手紙に武田氏が答えるという形が基本的なスタイルで、今回は、
某ジャンルのあるサークルが傍若無人な振る舞いをしている、という読者のチクリに答えているのだが、これがどこのジャンルかまではっき
り書いてあるというのがスゴイ。しかも、サークル名は伏せられてはいるけど、どういう本を作っているかとかは書いてあるので、そのジャ
ンルの人間ならサークルかどこなのか、特定が可能ときたもんだ。
ふざけた奴がいる、ということを言いたいのはわかる。その手紙で書いてあった事が事実なら、即売会スタッフとしては怒るのも当然だ。
そして、コラムでこの手紙をネタにして啓蒙を図ろうというのも理解できる。しかし、どこのジャンルの誰かということは、読者に対する啓
蒙においてはほとんど意味はない。逆に、「そんなサークルはあるジャンルのことで、自分とは関係ないこと。」というオチになりかねない
よなぁ。
しかも、その読者の手紙の信憑性については、全然裏付けがないように見えるのもどうかと思う。極論すれば、気に入らないサークルを貶
めるために、嘘の告げ口をしている可能性だって否定できないわけだ。
まあ、私だって、どこかで記事を書くなら実名挙げて踏み込んで書いちゃうこともあるけど、そのときは、実名挙げられるだけのネタをも
ってやるよ。でも、即売会の事務局長としては、自分のカタログで、特定ジャンルのサークルに対してあからさまな批判を書くのは慎重にす
べきだと思うなぁ。何もしなくたって、サークルというのは、自分のジャンルが差別されているという疑心暗鬼に駆られがちなことが多いの
に、そうやって特定ジャンルのサークル批判をしたら、どんな尾ひれがつくことか(笑)。特に、やり玉にあがった某ジャンルは、うるさ型
のベテランが多くて、以前からトラブルが起きたり、即売会主催者にクレームをつけたりするサークルが多いジャンルなだけに、面倒くさい
ことにならないといいねぇ。ま、私には関係ないけど(笑)。
Super Comic Cityから約2ヶ月ぶりとなった東京でのコミックシティである(正確には、6月7日に幕張メッセでの開
催があったはずだ
が、私の周りは誰一人として行っていないので状況不明)。会場は、東1〜3ホール+東6ホールと4館体制。スペースはほぼ埋まってい
る。一般参加者も、2ヶ月ぶりという事もあって、そこそこの来場者があったように見える。しかし、とにかく本が売れてない。まあ、新
刊を出しているサークルがほとんどいなかったし、参加しなかった大手サークルも結構いたこともあるのだが、そういう次元とはぜんぜん
違うレベルで、人はいてもまるで本を買ってない。人だかりがしているのは、「レッツ&ゴー」のあたりだけ。集まっているみんなの気分
は、2ヶ月ぶりに友達に会いにきましたという感じなのかしら。
同人誌即売会を語るとき、送り手のサークル、受け手の一般参加者という括り方があるが、これは実は正しくない。サークルというのは、
送り手であると同時に、実は熱心な読者でもある事が多い。コミケットくらいの規模で一般参加者が来場する場合はともかく、コミックシ
ティクラスでは、本を買ってくれる人というのは、一般参加者以外のサークルがかなりの割合を占める(サークルによっては、読者の大半
がサークル参加者というところもあるだろう。その場合、そのサークルは割とマニアックな嗜好が強いことがフツウ。)ことを認識してお
く必要がある。あからさまに言い換えれば、サークル同士が本を買いあう事によってお金の流動性が確保されている面があったわけである
。しかし、現状は、本が売れないから本が買えない、本が買えないから本が売れない、という悪循環であり、まさに日本経済と同じような
(笑)デフレーションが発生しているわけである。
しかも、さらに危険な兆候として挙げておきたいのは、スペースを取っておきながら当日欠席したサークルが異常に増えている点である
。とにかく、この日のシティでは、机の上に印刷屋のチラシにまみれてイスが置いておいてあるスペースがやたらと目についた。これはコ
ミックシティへのサークルのロイヤリティの低下(もともと決して高くはないのだが(苦笑))を端的に示している。つまり、特別な時期
のシティならまた違うのだろうが、普通のシティなら他に用事が重なったら、即売会は欠席してもいいと、思う人たちが増えている。こん
なことが何度か重なると、そのうちどうせスペース取っても出るかどうかわからないし、だったらそんなのに何千円も使うのは馬鹿らしい
からシティに出るのをやめよう、というところまではもうすぐである。
ところで、この日、秋以降のコミックシティの日程が明らかになったが、いくら一回で1万スペース規模の会場が確保できなかったとは
いえ、東京での10月の3回開催というのは、いくらなんでも多すぎるのではないかと思う。ほぼ同時期に名古屋・福岡のドーム開催もある
わけで準備にあたるシティのスタッフはご苦労様というところではあるが、そこまでやってもねぇ、と率直に思ってしまうのであった。
今回がラストのコミックキャッスル。サークルスペースには、ワールド・インポートマート、文化会館合わせて4つの
ホールを使用して、計約1500スペースというコミックレヴォリューションとほぼ同等の規模と過去最高。主催者側目標の1万5千人には届か
ないまでも(ちなみに、この数字は前回のあの大混雑のコミックレボリューションに匹敵する数値である)、一般参加者もその規模に見合う
だけの来場がありこちらも過去最高。男性向けのサークルが重点的に配置された文化会館2F通称「ウナギの寝床」は、かなりの混雑を見せた
。
とはいうものの「コミックレボリューション」ほどにはオフセットの新刊は多くはなく、まあそこそこというところ。大手では、日本ワル
ワル同盟、パワーグラデーションといったところが新刊を出していた。その他列になったのは、ラスト記念のブロッコリー製作の限定グッズ
。後は、大コピー本大会(笑)。時間限定の少部数のコピー本があちらこちらで販売され、そのたびに列が出来てはアッという間に完売、と
いうパターンが午後まで続き、さぞ場内整理のスタッフはお疲れであったと思う。だが、やっぱりキャッスルのスタッフは手際悪すぎ。特
に、最近売り出し中のニガヨモギのコピー本では、無理矢理列を作ったために人が将棋倒しになりかけるは、列にあぶれた参加者とスタッフ
の間で口論になるは、限定80部のため、人数の確認をするのだが、あわてていて二人がかりで何度も間違えるわ、最悪。以前から思っている
のだが、キャッスルの会場運営は、なんで列の移動をあんなに嫌がるのか不思議。ニガヨモギの列だって、11時から販売を待つ列で通路が完
全にふさがれているのに、口だけで列を解散させようとする(ちなみに会場は10時半)。そんなの無理に決まってるじゃん(笑)。だったら、
さっさと館の外にサークル動かした方がなんぼか周りのサークルの迷惑にならないし、よっぽど安全である。
その他の本で、目に付いたのは、bolzeの力の入ったコピー本。後、個人的にとてもうれしかったのは高根亜希さん(Far
East Cafe Club)の半年ぶりのCCさくら本。彼女、前回のコミケ直後に大病を患っていたため、同人活動はしばらくお休みだったわけだが、
久しぶりの復帰。楽しい本に仕上がっていたおり、おススメ。後、ここ最近どんどん壊れていく壊れっぷりが見事なのが(おいおい)、篤見
唯子さん(薄荷屋)。絵柄とギャグのアンマッチの妙が楽しい。
さて、去年末刊行された別冊宝島「私をコミケに連れてって」の拙稿(「デパートから専門店へ」)において、コミケット以外の即売会を
紹介した際、コミックキャッスルのポジショニングの微妙さについて私は以下のように指摘した。
「ゲーム製作会社とのタイアップも多く、それが強みのひとつではあるが、ゲーム関係は権利の複雑なビジネスである。もし、イベ
ント参加者とゲーム会社の間で何らかのトラブルが発生した場合、ゲーム会社からの圧力も予想されるが、その中でどこまでイベントとして
の自主性を発揮できるか、厳しい状況に陥る可能性は否定できない。」
この問題については、何の情報の裏付けもなく書いたものだが、その認識はまったくもって大当たりだったわけである。元々代表の木谷氏
は、かの山一証券を脱サラした方であり、同人誌が好きでこの世界に入ったわけではない。そういう意味で、同人誌即売会というビジネスに
過度の思い入れはないわけで、深刻なトラブルが起きる前の撤退については、冷静な商売上の判断があったように思われる。とはいうものの、
もちろん、現在のようなキャラクタービジネスを展開する上で、コミックキャッスルというのが事業の当初の基盤を作ったことに間違いはな
く、そういう意味でのコミックキャッスルへの愛着はひとしおであっただろう。そうでなければコミックキャッスルの作り上げた「場」の継
承に今回のようにこだわらなかったはずである。
さて、その継承問題だが、最終的には、コミッククリエイションの主催者である(株)コミケプランニングサービス(略称CPS)が、サンシャ
インクリエイションという形で引き受けることになった。この継承問題に関しては、何社かが名乗りを挙げたようだが、各社の思惑が色々絡
み合い、かなり生臭かった模様。どこに落ち着いても、他社やこれまでの参加者の納得はとても得られそうになかったようで、最終的に、もっ
とも人畜無害な(苦笑)コミッククリエイションに話が持ち込まれたようだ。当日販売のカタログに、CPSのあいさつ文とサンシャインクリエイ
ションの申込書が織り込まれ、会場の入り口付近に設けられたCPSのブースでは、CPSのスタッフが同じチラシを配布していた。しかし、個人
的な感想を言わせてもらえば、「クリエイション」の名前は使わない方が良かったように思う。コミックキャッスルは、一応オールジャンル
即売会ではあるが、事実上ゲーム系及び男性向け主体の即売会であり、独自のカラーを持っていた。その継承イベントに、他の既存の同人誌
即売会の名前の一部である「クリエイション」を冠するのは、せっかくの継承性を薄めることになるのではないか。しかも、率直に言って「
コミッククリエイション」がお世辞にも集客力のある同人誌即売会ではないことは、サークルにも参加者にも既に認識されていることであり、
そのイメージがある段階で、「クリエイション」という名前を使うのはゼロからはじめるどころかマイナスイメージから始めることになるの
ではないか? それなら、全く新しいイベントとした方がまだよかったのではないだろうか? 配布されたチラシも淡泊でいかにもクリエイ
ション的なチラシであったが、これも、極端な話、ゲーム系の大手作家やプロに土下座してでも(笑)絵を取ってきて、インパクトあるモノに
すべきだったであろう。キャッスルのウリの一つは、七瀬葵を起用したことにもあったわけだったし。最初はハッタリでも参加者の目を引く
ことは大事だったように思う。少なくとも、現状のやり方ではサンシャインクリエイションがコミックキャッスルの継承イベントであるとは、
参加者側に思わせることには失敗しているのではないだろうか?
もちろん、サンシャインクリエイションにはガンバってもらいたいと思っている。しかし、早速独自にキャッスルの後釜を狙って、同じサ
ンシャインでコミックストーリー(バックには、K-BOOKSが存在しているらしいが)も開催されるというように、状況は楽観は許されない。
継承イベントとしての優位が発揮できるのは、最初のうちだけ、特に第一回目開催までである。しかし、日程的には最悪に近い日程なのは否
めない。サンシャインクリエイションの2週間後には、ギャルゲーオンリーイベントの中でも最有力即売会である「ときめきパーティセンセ
ーション4」が今回は偶然にもサンシャインで開かれるし、その直後には、男性向け系即売会の孤峰「コミックレヴォリューション」も開か
れる。これらの即売会はキャッスルの既存の参加者層(サークル・一般とも)と完全にバッティングするわけで、彼らがサンシャインクリエ
イションをスキップする可能性が非常に高い。何か、有力な仕掛けを考えないと、これまでの繰り返しになりかねない。主催者のさらなる努
力に期待したい。
まあ、何はとまれ、一つの同人誌即売会が終わった。4年間も同人誌即売会を継続開催するというのは、大変なことであり、関係者の労苦
は、察するに余りある。まずは、ご苦労様というところであろうか。
・一般行列その1[写真上左]
・一般行列その2。階段で休んでいるのではなく、これが一般参加者列。[写真上右]
・開場前。嵐の前の静けさ。これが開場と同時に人並みで埋まる。[写真中央左]
・非常階段を使って文化会館4階から2階へ。そして、さらに延びるうたたねひろゆき&齋藤会の列。[写真中央右]
・今回最長? 今が旬「CUT A DASH!!」の長い列。この写真の前にさらに百メートル近い以上の行列がある。[写真下左]
・というわけで、列があまりに長いので、通路確保のために途中で列を切ったところ。おなじみの「最後尾じゃありません」看板。[写真下右]
コミックレボリューション開催史上最高の一般参加者を記録したのがこの回。主催者関係者によると、通常の一般参加者が
1万2千人ほどなのだが、今回は、1万8千人くらいいてもおかしくないとのこと。おかげで一般行列はスペイン階段を下り、カタログは開場前
に完売という有様。ここ最近の「ギャルゲー」ブームを反映して、比較的年齢層の低い参加者が増えているのが目立つ。人気を集めたサークルと
言えば、まず毎度おなじみのうたたねひろゆき&齋藤会。文化会館4Fから裏の階段を使って2階へ、そしてさらに2階の回廊へという相変わら
ずの人気ぶり。そして、この行列に勝るとも劣らないのが、今人気絶頂の「CUT A DASH!!」。そこそこの部数を持ち込んだ上での一人一冊の冊数
限定を実施したため、ごらんのような大行列となった。その他、前回麻雀卓を持ち込んで、東南西北4人に合わせて列を4本作り、上がった人に
対応する列に上がった点数に応じての人数分コピー本を配るというお遊びに出た有馬○太郎は、今回は、福引き。知り合いの十数サークルに抽選
券を置かせてもらい、抽選の結果当たった人だけが本をもらえるという趣向。本当に東急ハンズで、福引き台を買っての気合いの入った遊び心に
は大いなる誉め言葉を差し上げたいところ。「大バカモノですね(爆笑)」。
Cレヴォというと、文化会館2F(通称:ウナギの寝床)に男性向けサークルが配置され、ここが修羅場と化すのが通例。ところが、今回はご
時世故にギャルゲーの館にも客が流れ、さらに、文化会館4Fにもそこそこ混雑するサークルを配置され、特定の館だけが地獄を見るようなこと
がなかった。これが過去最高の一般参加者を迎えながらも、それなりにスムーズな運営が出来た最大の要因だろう。このように今回は配置がうま
く成功し負荷分散が行われたが、ちょっと間違えて配置が偏れば大混乱・大爆発、という可能性は以前にも増して高くなっている。加えて、サン
シャインで男性客を分け合ってきた「コミックキャッスル」が6月をもって一応終了ということもあり、サークル及び一般参加者の集中が「Cレ
ヴォ」にさらに高まることは必至の情勢でもある。かつてのいろいろな経緯もあって、「Cレヴォと言えばサンシャイン」というのがトレードマ
ークだったのだが、規模に合わせて会場を見直すか、現在のスタイルそのものを見直すかに迫られた今回のように思われる。
懲りずに久しぶりにまた赤ブーブー通信社ネタだ(爆笑)。このゴールデンウィークのスーパーコミックシティ7に合わせて発行された赤
ブーブー通信社の申し込みセットで、この秋までの即売会開催予定が公表されたのだが、これが凄い。その理由は3つある。
1つ目は、10月10日に、ナゴヤドームを使って三千スペース募集、参加費1500円でコミックシティinナゴヤドームを開催するのだが、これがな
んと赤ブーブー通信社の単独開催。これまで、赤ブーブー通信社は、名古屋においては、シティ&ライブという形でずっとコミックライブ(スタ
ジオYOU)と共催の形で即売会を開催してきた。元々名古屋での覇権を巡っては、コミックライブと東京文芸出版の間の抗争があったわけだが、
赤ブーブー通信社と東京文芸出版の関係悪化後は、赤ブーブー通信社がシティ&ライブという形で、コミックライブを支援してきた。そういう意
味では、「名古屋はライブの『シマ』」だったわけである。
しかし、東京文芸出版倒産後は、赤ブーブー通信社として別段コミックライブへの支援を行う必要もなくなった。また、コミックライブとして
も、一番勢力を持っている名古屋での即売会が赤ブーブー通信社と共催という形では、旨味が薄れてしまう。というわけで、「敵の敵は味方」と
いう関係が、「敵」がいなくなった後も継続されなかった。ただし、他の地方では、両者共催のイベントも残っており、全面対決というわけでは
ないようだが、かように露骨な赤ブーブー通信社の攻勢に、コミックライブ側も心中穏やかではないだろう。
公式的には、この即売会、秋のインテックス大阪でのコミックシティの会場が確保できないことの代替案ということらしいのだが、その後も11
月に2回、名古屋国際展示場での単独開催も決まっているのを見ると、それは言い訳と見るのが妥当であろう。
2つ目は、11月3日に、コミックシティin福岡ドームが、福岡ドームで三千スペース募集で単独開催される。名古屋同様福岡は、九州中心に即
売会を開催しているコミックネットワークが本拠地にしている。コミックネットワークはこれまでは赤ブーブー通信社とはつかず離れずの微妙な
関係を保ってきた。ところが、この姿勢を、赤ブーブー通信社は、コミックネットワークは地理的な問題を理由に日和見を決め込んでいる、と思
っていたようだ。また、最近のコミックネットワークの中国地方への積極的進出も快く思っていなかったらしい。実際、岡山では直接的ではない
のだが、いわゆる代理戦争のような状態にもなっていた。
ということで、首都圏以外で二千スペースを越える規模で即売会が開かれている地方で、赤ブーブー通信社が参入していない場所は新潟のみ、
というのがこの秋からの即売会状況となる。新潟に赤ブーブー通信社が参入していないのには、いくつかの理由が推測される。まず、新潟におい
ては、ガタケットという新潟独自の即売会が、教育委員会とも良好な関係を持つことに代表されるように、非常に強固な基盤を地元に有している
こと。次に、新潟は同人誌即売会以外をも含めて大規模な屋内イベントを開催できる場所が事実上一カ所しかなく、ガタケットですら会場確保が
できないという現実的な日程的な問題。最後に、まだ赤ブーブー通信社の気がそこまでまわっていないのであろう(笑)。
さて、最後の3つ目は、夏のコミケット直後のコミックシティin関西が、8月22日、23日と2日間開催、2万スペース募集の規模で開催される
。現状、関西圏は競合する規模の即売会もなく、赤ブーブー通信社の独壇場であり、収益的にもかなりのウェイトを占めていると推測される。そ
の中でも特に集客力のある夏のコミケット直後のコミックシティin大阪を2日間開催とすることで、さらに収益をあげようという目論見だと思わ
れる。しかし、関西圏のサークルはともかく、暑さと3日間開催の夏のコミケットで疲労している首都圏等のサークルが、果たして思惑通り参加
してくれるかは、かなり微妙であろう。
以上が、今回発表になったこの夏・秋の赤ブーブー通信社の動向だが、これには明白な傾向が読みとれる。すなわち「なりふり構わぬ地方展開」
である。現状、首都圏のコミックシティは、非常な落ち込みを見せている。先日のスーパーコミックシティこそ前年比の数は減ってはいるものの
のそれなりの入場者を得たが、3月末のHARUコミックシティや、毎月の即売会などは、サークル数、一般参加者数ともにボロボロ。「買う本がな
い→本が売れない→本が売れないから即売会に出ない→買う本がない」というデス・スパイラルは現在も続いている。これは、女の子系パロディ
の低調さに起因する問題であり、この構造的問題は、これまで女の子系パロディにベッタリ依拠してきた赤ブーブー通信社だけでは如何ともし難
い。それならば、首都圏で無理をするよりは、このような状況でも着実に収益が見込める地方展開を重点的に行った方が得策、という考えがうか
がえる。その目的のためには過去の他即売会との協力関係をも全面的に見直す、というところなのであろう。
短期的にはこの戦略は、赤ブーブー通信社としては間違ってはいないであろう。しかし、長い目で見た場合、こういう焼き畑農業的な形には限
界がある。企業として同人誌即売会の規模を追求し、効率のみを追いかけてきたコミックシティには、「売る場」は提供できても「場」の提供は
出来なかった。いや、むしろ、「場」の提供は積極的に切り捨ててきた(これは、武田氏が、いくらカタログの巻末で吠えようが、偽りようのな
い事実である)のが実態であろう。同人誌即売会というのは、はっきり言って辛いモノである。休日の朝早くから交通の不便なところに行き、ず
っと長時間並んで入場し、さらに本を買うためにさらに列に並ぶ。それでもそこに行きたい、と思わせるには、それなりの魅力が必要である。こ
れまでは、その魅力はサークルが本を出すということだけで、クリアしてた来たわけだが、新世紀をコミックシティが生き残っていくためには、
イベントそのものの魅力が要求されるはずである。コミックマーケットの企業ブースという試みも、有明西4ホールというデッドスペースの有効
利用という第一義的な問題はさておき、本来有している「場」としての機能の再活性化を目論んでいるのは明々白々である。
しかし、そういう「場」を作るのには、時間と手間と人手と、そしてなにより能力と愛情が必要であるが、こういう価値観への投資というのは
極めて難しいように思われる。
そう、即売会にも「愛される理由」があるのである(うーん、ちょっとハズした時事ネタ)。
・開場前の光景[写真左]/「YOUNG KING OURS」創刊記念原画展入場口[写真右]
ここ最近春のコミティアはサンシャインシティでの開催が続いていたが、今回はいつも通りのTRC(東京流通センター)での開催。創作系中心の
イベントだが、今回やけに目についたのが美少女系の同人誌。以前から微増傾向にはあったのだが、一気に増えた感じ。スーパーシティとコミッ
クレヴォリューションの間の開催という日程の影響もあるのだろうが、ちょっと驚いた。列が出来た人気のサークルは「NINE STATE SYSTEMS」、
「あんず屋」だが、ともに部数が少ないためアッという間に完売。
併設の企画は、少年画報社の「YOUNG KING OURS」の原画展。「クラダルマ」、「ジオブリーダーズ」、「トライガン・マキシマム」、「コミ
ックマスターJ」といった、人気連載の生の原稿を見ることが出来るとあって、多くの来場者を集めていた。企画として面白かったのは、日生
かおるの「ブルヴァール」の1エピソードを題材に、第一稿、第二稿、完成原稿と全ページをそれぞれ並べ、編集者と描き手のやりとりの中で
どのように作品ができあがっていくかを見せた展示。どれも、コミティアに参加しているクリエーターにはいい刺激になったように思う。
・会場の光景[写真左]/今回最長行列。小田切ほたる強い!(販売スゲー遅いけど)[写真右]
スーパーコミックシティ7の2日目。ジャンルは、アイドル・音楽系、ゲーム系、創作系が中心。初日よりもさらに入場者増。ゲーム系は、
「ファイナルファンタジー」系もさることながら、密かに盛り上がりつつあるのが「ゼノギアス」。ただ、あんまり読者受けするような作品
じゃないような気もする。今回最大の行列は、冬水社系の雑誌で人気の小田切ほたるのサークル。女の子向けのサークルでここまで熱烈なフ
ァンを抱えているサークルは現状そう多くない。
その他、印象的だったのが、印刷所が各サークルに撒いているチラシの熱心ぶり。各印刷所のパンフレットともあの手この手を駆使して、
分かり易く親しみやすい物を狙っていて、顧客獲得に真剣である。 裏返せば、そうまでしなければお客が集まらないわけで、印刷所の経営の
厳しさを肌で感じてしまった。
ところで、1日目・2日目と大迷惑だったのが、フジ・サンケイグループ主催の「フランスまつり」。西地区しか使っていないのにガンガン
宣伝したおかげで入場規制がかかるは、ビッグサイト周辺の道路は渋滞で混乱するはさんざんな状態だった。
・会場の光景[写真]
スーパーコミックシティ7の1日目。ジャンルは、アニメ・まんが・小説系のパロディが中心。HARUコミックシティが、一般参加者がとって
も少ないお寒いイベントだったのに比べれば、そこそこの入場者。それでも去年よりは明らかに数は減ってる。サークル数も減っていて、ここ
最近の東京でのコミックシティの退潮は、スーパーシティでも例外ではない。
ジャンル的には「レッツ&ゴー」が相変わらず元気。他にそこそこ盛り上がっていたジャンルは「封神演義」と「名探偵コナン」。特に「コ
ナン」は、この春くらいから急に盛り上がって来ていて、新規参入がさらに増えそう。
発行された本の中で、一番の話題作はあの尾崎南の「め組の大吾」本。A4版100Pを越える「神の領域」というド派手な本なのが、いか
にも尾崎らしい。ただ、今まで、「あしたのジョー」とかの冗談半分の作品はあった尾崎だが、C翼以外の本格的なパロディはこれが初めて(
もちろん初期のバクシンガーとかゴッドマーズなどは除く)である。この本、誰が描いているかは一目瞭然なのだが、一応、別サークル名、別
ペンネームになっている。これは、今後、どういう風に活動していくかについて、結構慎重なのでは? と思わせる。尾崎自身、自分がこうい
う本を出して、ファンからどう思われるかについては、とても気にしているだろうことは間違いないだろうし。しかし、いつもの血反吐を吐く
ようなトークがこの本には全然ないので、よぽど尾崎、この本が楽しいらしい。それはそれで、好きなことを楽しめているのだから、とてもい
いことだとは思う。
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