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仁王門の金剛力士像
(2004年11月21日佐藤撮影)
吉野に行ってみて、強く実感したことは、吉野というところが、近代の交通事情から隔絶された場所であるということだ。でもそれは悪い意味ではない。こんな狭い道路に、近隣からマイカーで人が押し寄せたら、たちまち渋滞してニッチもサッチもいかなくなる。だから当然人も車でなんか来ない。
すると普通であれば吉野へのバイパスを通せという地元の陳情があったりして、山を切り崩して、バイパス工事が始まるものだ。そして一旦国の巨大な力が動き出すと、環境問題が起きて、桜が枯れようが、崖崩れが置きようが、工事は粛々と進められて、当初に人が思ったのとは、まるで違う妙ちきりんな吉野が出来上がってしまうのである。
吉野にとって、「変わりようがない」というのは、実は大いなる幸いであった。吉野が吉野という地域のアイデンティティを形成することができたのは、信仰の力と地形的に変貌不可能な立地条件が相まっての奇跡ということもできる。
つづく
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蔵王堂の仁王門を過ぎると左手に絶景が広がる
(2004年11月8日佐藤撮影)
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蔵王堂正門
(2004年11月8日佐藤撮影)
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蔵王堂の偉容
(2004年11月21日 佐藤撮影)