くり
はら田園鉄道廃線を惜しんで
2006年7月16日(日)午前10時過
ぎ、無事栗原寺での出達式を終えると、生誕祭一行は、くりはら田園鉄道(通称くりでん)沢辺駅に向かった。
実は今年の義経公生誕祭には、もうひとつの目的
があった。それは近々廃線が決まっているくりでんの最後の雄姿を見ながら、栗駒駅まで向かうという趣向であった。
くりでんは、元々細倉鉱山の鉱石の運搬の
ために大正10年(1921)に運行されりようになった単線電車であったが、戦後には栗原地方の人々の通勤通学など、文字通り「栗原の人々の足」として重
用されてきたものである。
東北線石越駅と細倉駅の間25キロ余りを馬よりも遅いくらいのスピードで田園を分け入るようにしてのんびりと進む姿は、栗原地方
の風物詩のひとつにも数えられている。
近頃では、その長閑な姿を撮ろうと全国的の鉄道ファンがやってくるまでになっていた。しかし時代の流れには抗しがた
く、自動車の普及によって赤字化が進み、様々な試みがなされてきたが、県の助成も打ち切りが決まり、ついに来年(2007)3月の廃線が現実に近づいてき
たのである。
本日(7月16日)の「源義経公848回生誕祭」を、歴史的価値を持つ「くりでん」という近代の文化遺産を何とか存続させようと努力を続けて
きた「
くり
でん応援クラブ」(会長 鈴木健平氏)が後援し、くりでん側も粋な計らいで「くりでん義経号」を運行してもらえることになったのである。
午前10
時35分、くりでん石越駅で「鎧神興出達式」を終えた静御前一行と「くりでん応援クラブ」の面々は、沢辺駅で待つ義経公一行と沢辺駅で合流。義経号に乗っ
て一路栗駒駅に向かったのであった。