ペンギンの種類


 ペンギンの分類のしかたにはいくつかの説がありますが、1科6属16種に分けるのが、一般的なようです。さらにこの他に亜種があり、やっぱりこっちも諸説あるのですけど、ここでは割とメジャーな、ロイヤルペンギンと、ハネジロペンギンだけを取り上げました。

エンペラーペンギン属
エンペラーペンギン
キングペンギン

アデリーペンギン属
アデリーペンギン
ヒゲペンギン
ジェンツーペンギン

キガシラペンギン属
キガシラペンギン

フンボルトペンギン属
ケープペンギン
マゼランペンギン
フンボルトペンギン
ガラパゴスペンギン

マカロニペンギン属
イワトビペンギン
シュレーターペンギン
フィヨルドランドペンギン
スネアーズペンギン
マカロニペンギン
(ロイヤルペンギン)

コガタペンギン属
コガタペンギン
(ハネジロペンギン)
by Yutaka Kobayashi 

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エンペラーペンギン属

 エンペラーペンギン Aptenodytes forsteri(JPEG12K)

 コウテイペンギンというほうがなじみがあるかもしれない。
 体長120cm、体重23-43kg(小学校2年生くらいか)の最大のペンギン。最大の海鳥でもある。最も純粋な南極の住民であり、繁殖地も南極大陸に限られる。巣は作らず、卵はオスの足の上にお腹の皮を被せた状態で暖める。抛卵は60日にもおよぶが、この間メスは遠い海まで食事に出かけてしまうため、オスは完全に絶食状態になる。抛卵期の終わりにメスがかえってくるとオスは長い絶食から解放される。
 最も寒いところで暮らすペンギンであるため、体の大きさの割にはくちばしなどの突起部が小さい。このため、デザイン的にはずんぐりした印象をうける。ヒナのデザインはとっても特徴的。
 長崎水族館のフジを失って以来、日本国内では見ることができないでいたのだが、1998年春に、南紀白浜アドベンチャーワールドに20羽も登場した。

 キングペンギン  Aptenodytes patagonicus King.jpg(8K) (JPEG 8K)

 王様ペンギン。体長85-95cm、体重12-14kgの2番目に大きなペンギン。フォークランド諸島、サウスジョージア島、マックォーリ島など亜南極の島々に広く分布する(南極大陸にはいない)。
 エンペラーペンギンに良く似ているが、くちばしなどの突起部分がやや大きく、勾玉色の斑紋の黄色もよりあざやかで橙に近い。エンペラーと同じように巣は作らず、卵は足の上で暖める。比較的海に近い場所で生息しているので、抛卵はオスメスで交替して行うことができ、長期間の絶食はしなくてすむ。
 かなり寒いところにすむペンギンなのだが、上野動物園では高温多湿の東京で屋外飼育を行なっている。しかも、繁殖にも成功しており、3代目のヒナも生まれた。Penguins Millができた当時は、この子はもこもこ状態だったんだけど、もう、親とほとんど変わらなくなってしまった。上野動物園のページに彼の成長記録があるので、見に行ってほしい。
 非常に美しいデザインなので、多くのキャラクタやマスコットに使われてきた。アデリーのように、白と黒のみでデザインされてあまりにシックなものよりも、黄色や朱が使えるキングのほうがデザイン的にも遊べるということもあるだろう。玖保キリコの「バケツでごはん」の主人公ギンペーも王様ペンギンという設定(4巻p.141)だ。

 


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アデリーペンギン属

 アデリーペンギン Pygoscelis adeliaeadelie.jpg(13K)(JPEG10K)

 体長75cm。体重4-6kg。南極大陸およびその周辺に生息。 比較的傾斜がゆるやかな氷崖のふもとの露出した岩場に小石を集めて(他にめぼしいものはない)巣を作る。その小石さえも見つからないと、となりの巣から石をとってくることもある。卵はオスメスが2週間交替で暖める。抛卵の間は絶食。卵は36日ほどでかえる。ヒナは集まって集団でクレイシをつくる。怒ると頭が三角になる。
 白と黒とのみで構成されたいかにもペンギンらしいペンギン。ファンも多い。「ペンギンペンギンかわいいな」のサンスターのTVコマーシャル以来、日本人に親しまれている。なお、アデリーというのは、かつて南極を探検したジュール・セベスチャン・セザール・デュモン・ド・ウルヴィルという長い名前のフランス人が、発見した土地に奥さんの名前をつけアデリーランドとよんだことに由来する。それが、そこにいたペンギンの名前に継承されたわけだ。

  ヒゲペンギン Pygoscelis antarctica (JPEG28K)

 体長75cm。体重4-6kg。英語ではChinstrap penguin(アゴヒモペンギン)というように、あごひも状の模様が特徴。一度見たら忘れない顔だ。ジェントルな雰囲気なんだけど、実はなかなかけんかっぱやい性格で騒がしい。ヒナはクレイシを作らず、家庭内で養育される。
 白と黒とのみで構成されるところはアデリーに似ているが、「ひげ」のデザインが面白い(ちょっとあざといきらいもあるけれど)。意外なことにヒゲペンギンをキャラクター化した例がない。もっととりあげられてよさそうなのに。...なんていってたら、天然水族館のぺん太っていう強力なキャラクタが登場。しぶいぞ。

  ジェンツーペンギン Pygoscelis papua gentoo.jpg(27K)(JPEG27K)

 体長75cm。体重4-6kg。頭の天辺を通り両目の間を結ぶ白い線で識別できる。南極大陸周辺および亜南極圏の島々に分布する。性格は温和。草の生い茂る小山や小高い丘の上にルッカリーを作る。巣は、雑草、木の葉、小枝、小石(空き缶や空薬莢も)などでつくる。9月から10月にかけて2個の卵を産む。性格は温順(かつてオンジュンペンギンとよばれた)とされるが、好奇心も非常に強い。飼ったら楽しいだろうね。
 頭の白い線は、このペンギンのみの特徴。くちばしは黄色っぽいオレンジ、足はオレンジイエロー、つめは黒い。玖保キリコの「バケツでごはん」のミントちゃんはたぶんジェンツーだろう。


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キガシラペンギン属

 キガシラペンギン Megadyptes antipodes (JPEG24K)

 体長75cm。一属一種。目も黄色いのでキンメペンギンともいわれた。もっと古くはグランドペンギンといわれていた。マオリ語ではホイホ(なんかかわいい)。ニュージーランド南東部の限られた地域でしか繁殖しない。やぶや木々が生い茂った傾斜地、時には森の中に巣を作る。場合によっては1kmもやぶの中を通って海までいくこともある。最近、数が激減している。
 ペンギン類の中では最も祖先に近い形を残している種と言われており、生態も面白い種なのだが、わたしの主観では最も色っぽいフォルムのペンギンだ。
 なお、「ペンギンのペンギン」には、Mikiさんによる、ニュージーランドオタゴ半島で生で見られるキガシラペンギンのレポートがある。


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フンボルトペンギン属

 ケープペンギン Spheniscus demersus Cape.jpg(14K)(JPEG14K)

 体長63cm。灰色と白とで構成されたペンギン。アフリカ南部沿岸地域にのみ生息する。ケープをはおっているわけではなく、ケープタウンの辺りにすんでいるのである。  これも、動物園ではおなじみのペンギンで、上野動物園では2ヶ所に分けて飼われている。

  マゼランペンギン Spheniscus magellanicus magellan.jpg(26K)(JPEG26K)

 体長70cm。白と黒とのしまが非常にくっきりしている。フォークランド諸島、パタゴニア沿岸、ホーン岬、ステイン島並びにそれに連なる島々の海辺で繁殖する。
 ルッカリーの場所は非常にバラエティに富み、草の生えた傾斜地、林、砂丘、海岸の断崖など、さまざまだ。このため飼育しやすいのか、動物園でもよく見かけるペンギンだ。
 巣は、水の進入を防ぐために3m近い深い穴の中に作る。巣の材料は、小石、小枝、木の葉、羽毛などだ。

  フンボルトペンギン Spheniscus humboldti (JPEG12K)

 体長68cm。南アメリカ大陸西側のフンボルト海流に表われる島々で繁殖する。アンチョビーなどの小魚を主食とする。糞はミネラルに富むグアノ(糞化石)の原料となるため、人間に多く利用されてきた。
 これも、動物園でよく見かけるペンギンだ。葛西臨海水族園では、泳ぐ姿をガラス越しに見ることができる。静岡市立日本平動物園にもいることをつけくわえておく。義理があるのだ。
 SCIaS '97 1/03 号によれば、日本の動物園には2300羽ほどのペンギンがおり、そのうちの1200羽ほどはフンボルトだそうだ。さらに、その90%は日本国内で生まれたものである。野生のフンボルトが減少しているときに、日本が率先して種の保存を行なうべき状況にあるようだ。

  ガラパゴスペンギン Spheniscus mediculus

 体長50cm、体重2.5kg。熱帯のガラパゴス島にのみ生息する。生息域が北半球にかかる唯一の種。全ペンギン中もっとも稀少な種でもあり、個体数は2000弱にすぎない。
 寒流が流れるとはいっても、気温の高いところで暮らすペンギンであるため、フリッパーが長いなど、放熱処理を考えたデザインになっている。エンペラーの対極だ。
 1998年のエルニーニョによる気温変化により、絶滅が深刻に危惧されるようになってしまった。


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マカロニペンギン属

 イワトビペンギン Eudyptes chrysocome iwatobi.jpg(25K)(JPEG25K)

 体長63cm。南極大陸周辺、亜南極圏の比較的暖かい地域にすむ。マカロニペンギンに良く似ているが、冠羽はたれさがり左右はつながらない(つながり眉毛ではない)。目は真っ赤。ペンギンの中で最も攻撃的な種で、侵入者に対しては満身の力を込めて襲いかかる。ルッカリーは、沿岸沿いの岩場に作り、小石や雑草などで作った巣に青みがかった白い卵を2個産む。ぴょんぴょん飛び跳ねながら歩くところが命名の由来。3つの地域的品種(学者によっては亜種に昇格させている)がある。
 日本では1996年から、一躍脚光を浴びているペンギンである。資生堂スーパーハードのコマーシャル(「ロッキー」と「ホッパー」)にはじまり、UFOキャッチャーの景品にもなったし、ヘリウムで浮かぶ風船(クラレ&エポック社)も新登場した。なんだか、イワトビキャンペーンの様相を示している。新世紀エヴァンゲリオンに登場する温泉ペンギンのペンペンも、元々のデザインはイワトビのような気がする(性格もね)。
 上野動物園では、キングペンギンと同じところで飼われていた。哲学的な表情をしたキングペンギンの回りで、じたばた騒いでいたんだけど、京都市動物園に養子に出されてしまった。

 シュレーターペンギン Eudyptes sclateri(31K)

 体長70cm。冠羽が完全に逆立っている唯一のペンギン。目よりも下に垂れ下がっている冠羽はない。このためマユダチペンギンともいう。オーストラリアおよびニュージーランド近海に住む。巣は、波打ち際の高潮線すれすれぐらいのところの岩や岩だなのぬかるんだくぼみに淡い水色の卵を2つ産む。だが、そのうちの1つは巣の外に蹴りだされてしまい、残ったひとつだけが抛卵される。なんで、こんなへんなことをするのかはわかっていない。

 フィヨルドランドペンギン Eudyptes pachyrhynchus

 体長50-70cm。くちばしは短く、頭の上のほうについている。冠羽は鼻の穴のあたりから後頭部に向かって生えているが、目の後ろにはあまり垂れ下がらない。スネアーズペンギンに似ているが、スネアーズにあるくちばしの根元にピンク色の皮膚は、こちらでは見えない。また、頬に白い羽毛がある。

 スネアーズペンギン Eudyptes robustus

 体長73cm。ニュージーランド南方のスネアーズ諸島でのみ繁殖。フィヨルドランドペンギンに似ているが、少し大型で、体が黒ずんでいる。くちばしの根元に皮膚は見えず、頬に白い羽毛もない。

 マカロニペンギン Eudyptes chrysolophs

 体長70cm 。イワトビペンギンよりも一回り大きい。冠羽の左右がつながって、つながり眉毛になっていることでもイワトビと区別できる。また、イワトビの冠羽がレモンイエローなのに対して、こっちは山吹色だ。写真などではわかりにくいのだが、生きている彼らではかなり色の違いの印象がつよいので、このほうがわかりやすい。
 太平洋やインド洋の亜南極海域にある島々に分布している。英語のマカロニっていうのは洒落者の意味があるのだが、このペンギンはヤギのような強烈な匂いがするそうだ。いやな洒落者である。

 ロイヤルペンギン Eudyptes schlegeli (JPEG 29K)

 体長70cm 。マカロニペンギンの亜種とする学者と、独立した種とする学者とがいる。マックォーリ島にかなりの数が生息するが、そこ以外ではほとんど見られない。冠羽を持ったペンギンの中で唯一、頬からのどにかけての部分が白い。これが優雅にみえるのでRoyalの名前がついたという説もある。名前の由来にはもうひとつもっとばかばかしい説もあって、マックォーリ島でキングペンギンと一緒に暮らしているからだというのだ(わたしはこっちの方が好きだ)。


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コガタペンギン属

 コガタペンギン Eudyptula minor kogata.jpg(9K)(JPEG 9K)

 体長40cm、体重1kgのもっとも小型のペンギン。アヒル程度の大きさしかない。かつてはコビトペンギンと呼ばれた。オーストラリアではフェアリーペンギンと呼んでいる。体色は青みがかった灰色(青鼠色)。オーストラリア南部海岸、タスマニア、ニュージーランドチャタム諸島などに分布。

 ハネジロペンギン Eudyptula albosignata

 コガタペンギンの亜種とする学者と、独立した種とする学者とがいる。コガタペンギンよりも一回り大きく体重は1.5kg程度になる。翼(フリッパー)に白い縁取りがあるのが特徴。

by Yutaka Kobayashi 

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