7月23日(金) 19日にニューヨークから帰って来て、なんだかバタバタしていました。 で、ニューヨークですが、いろんな意味で非常に楽しく、かつ意義深かったです。まず、驚いたことをふたつ。何か面白いイベントやってないかなぁ、ということで街角で手にしたヴィレッジボイスをめくっていたら、なんと『PEEP "TV" SHOW』の主人公の一人、萌の写真が大きく載っていたのです!勿論、映画の紹介も書いてありました。あのヴィレッジボイスに俺の映画が紹介されてる!スゲェー、カッコイィィ!!というわけで、すっかり気を良くした私は、そのヴィレッジボイスに告知されていたコニーアイランドのライヴイベントに行くことにしました。ちなみにレビューですが、後から調べてみたら ニューヨークポストや何とかかんとかという雑誌にも写真入りで載ってました。 で、コニーアイランドですが、すっかりイイ感じになってしまっていた私は、全く柄にもなく上半身裸で砂浜を歩いていたりしていたんですが、突然、「オー、ユー、アー、ロッテルダムにいた映画監督!」みたいな感じでヤングニューヨーカーグループに呼び止められたのです!スゲェー、世界の土屋だ!とすっかりその気になってしまった私でした。 ところで、肝心の上映ですが、こちらもまたいろいろとエキサイティングでした。メディアに載った効果や最終日の夕方18時半からの上映ということで、お客さんの数は300名くらいの規模の会場がほぼ満席でした。前回の日記にも書きましたが、映画では9.11テロを扱っているので、どういう反応があるだろう?とかなり不安だったんですが、案の定、テロ現場の直接的な映像や音声のあるシーンや「その光景はあまりに美しく・・・」云々のシーンでは、なんだか会場がざわついたような、殺気だったような感じがあって、後から聞いたら2、3人の観客は怒って帰っちゃったみたいでした。で、恐怖のQ&Aですが、「この映画をどういうつもりでニューヨークで上映したのか(ケンカ売ってんのか、オイ)」みたいな質問や「WTC崩壊のシーンを見てヒロシマ・ナガサキを思い出さなかったか」とかいう質問がありました。また、「哲学的に聞きたいのだが、あなたにとってリアリティとは何か」というのもあったりして大変でした。しかし、「世界の土屋」としては全てにしっかり答えなければいけないので、真摯にこちらの考えや意図を伝えたのでした。 それでまたQ&A後が大変で、「ホントはWTCから10ブロックしか離れていない所に住んでいる人だってこの映画の登場人物のようにリアリティを感じていない。重要で貴重な映画だ」とか「この映画のテーマはアメリカン・リアリティショ−についてであって9.11テロについてではない。アプローチの方法が非常に斬新で面白かった」とか「いろんな議論を呼ぶ映画なのでもっとQ&Aの時間が欲しかった」とか「ヒロシマ・ナガサキと結びつけてる人がいたけど、アイツはバカじゃないか」とか、とにかくいろいろ、しかも当然英語で話しかけられ、死にそうでした。とにかく、ニューヨークで9.11テロについて語ることは非常にナーバスな問題であるということを実感させられたのでした。その雰囲気は、『PEEP "TV" SHOW』上映後に誰かが書き込んだ掲示板みたいなところで読み取れると思います。 ビジネス的にも今までで一番収穫があり、シアトルの劇場での公開が決まるかもしれません。それからアメリカでのDVDリリースの話も持ちかけられました。 まだまだ書きたいことはたくさんあるんですが、ニューヨークの話はこの辺で。 明後日、スペインはカナリア諸島のパルマ島というところで開かれるFESTIVALITOという映画祭に参加する為、日本を発ちます。ホントは明日出発の予定で、チケットは向こうの映画祭側が予約してくれるハズだったんですが、話は二転三転して、結局、やっと昨日、自分でチケットを予約しました。こういう映画祭側とのやりとりも結構面倒なものなんですが、私の場合、誰も助けてくれないので全部自分でやらなければなりません。驚いたというか笑ってしまったのは、最近、インドネシアのSemarang International Film Festivalという映画祭への出品が決まったんですが、向こうの担当者が「上映用のテープと一緒に、キタノの座頭市のDVDも送ってくれないか?お金は後で返すから」とメールして来たんです!全く彼の個人的なお願いです。返事はまだしてません・・・ あと、それから、昨日、ハンガリーの人から「PEEP "TV" SHOWのこと、こっちのネットで読んだんだけど、どうすれば観られる?」という問い合わせのメールがありました。ハンガリーでも紹介されてるのにどうして日本ではほとんど紹介がないんだろ・・・まぁ、劇場公開が決まってないんで仕方ないんですが・・・ では、今日はこの辺で。次は、8月3日の帰国後になります。 |
7月10日(土) 皆さん、はじめまして。映画『PEEP "TV" SHOW』監督の土屋と申します。 ネットで日記、というのもなんだかなぁと思っていましたが、皆さんに『PEEP "TV" SHOW』のことを応援して頂けるように今日から書きます。と言っても毎日は無理なので、なるべく週イチくらいのペース(ホントか?)で映画周辺の出来事を書こうと思っています。 で、『PEEP "TV" SHOW』ですが、今まで10ケ国の海外映画祭で招待上映されてきましたが、いよいよ今月18日、ニューヨークで上映されます。なぜニューヨークが特別か、と言うとこの映画のテーマと関係があります。 「WTCに火の玉が突っ込んで、2,843の人間が地獄行き。その光景はあまりに美しく、ボクはビール片手にテレビに釘付け。すべてが気狂いじみている。だからボクは、瓦礫の下の死体を覗く」 これは、この映画の主人公、長谷川が劇中の彼のサイトに掲げる宣言文です。2001年9月11日の出来事を私達はどのようなリアリティを持って受け止めたのか?このことがこの映画の大きなテーマのひとつとなっているので、ニューヨークでの上映は私にとって非常に大きなイベントなのです。勿論、上映には立ち会うので、上映後のQ&Aが今から楽しみです。 また、ニューヨークという街には個人的な思い入れもあります。1997年にインディペンデント・メディアの状況を知る為に一度だけ行ったことがあるんですが、その時のリサーチがきっかけで私のもうひとつの仕事、「VIDEO ACT! 」というプロジェクトを立ち上げることが出来たのでした。当時はリサーチのついでに自分の作品をあっちこっちの関係団体に一人で売り込みに行って迷惑がられたりしていたんですが、今回は逆に招待を受けたということで感慨深いものがあります。 そう言えば、今日、ニューヨーク大学の学生が VIDEO ACT! のことを聞きに事務所に来ました。立場逆転。何とも変な感じです。 ニューヨークは14日〜20日なんですが、一度東京に戻って来て、今度は24日から8月1日までスペインのカナリア諸島で開かれる映画祭に行くことになっています。 映画祭でなければきっと死ぬまで行くことはなかったであろう場所なので、ちょっとはしゃいでしまい、海パンを買ってしまいました。こう見えても私(私の容姿を知っている人は極少数だと思いますが)、スキューバ・ダイビングの免許を持ってるんです! というわけで、7月は遊んでばかりで関係者の方々には御迷惑をお掛けしますが、まぁ、一応、これも仕事のうちなので、何卒御容赦下さい。 それから、『群像』(2004年8月号)に初の小説(になっているかどうかは甚だ疑問ですが)、「クロナガアリのIDコード」を書きました。ヒマでどうしようもなかったら読んで下さい。あと、『AERA』今週号のゴスロリ関連記事に『PEEP "TV" SHOW』の脚本協力、雨宮処凛さんと出演者、アキコさんが紹介されています。こちらは是非、お読み下さい。 では、そういうことで、今後ともよろしくお願いします。 |