川村渇真の「知性の泉」

浮遊思考記録−1999年10月


●1999年10月10日

脳ぐちゃは一種の思考トレーニング

 本サイトの中で、もっとも浮いているというか、違和感が大きいのが「脳味噌ぐちゃぐちゃルーム」のコーナー、略して「脳ぐちゃ」だ。こんな内容がなぜ含まれているのか、疑問に思っている方も一部にいるだろう。
 もっとも大きな理由は、この種の“病気のノリのジョーク”が大好きだからだが、それ以外にも重要な理由が1つある。実は、思考のトレーニングとしても積極的に利用しているのだ。こう聞いて驚く人がいるかも知れないが、本当にそうなのである。当然、見る人にとってはトレーニングにならず、あくまで作る側にとってのトレーニングだ。
 もう少し詳しく説明してみよう。世間が注目するような話題が登場したとき、それをもとに何かネタを作れないかと考える。どのように味付けするのか、どんな風に変な感じを持たせるのか、どうやって面白がらせるのか、話の内容をどのように発展させるのか、頭脳を総動員して考えるわけだ。思考の際には、自分が普段用いている思考方法や思考の道具を順番に適用する。そんな風にして試行錯誤を繰り返すと、一定のレベルに達した内容をいつかは思い付く。良いネタが思い付いた瞬間は、なかなか良い気分だ。
 このような思考の試行錯誤を繰り返すと、物事を考えるときの柔軟性が増してくる。正解のある問題ではなく、新しいものを創造または想像する種類の問題なので、学校の試験問題よりは、世の中の難しい問題のほうに近い特徴がある。別な角度から見たり、いろいろな要素と組み合わせたり、様々な視点で考えなければならないからだ。
 この種の問題を普段から扱っていると、真面目な内容を考える際にも、とくに意識しなくても思考の視点が広がる。簡単に表現するなら、広い視点で考える癖を付けるといったところだ。もちろん、思考に用いる方法や道具に偏りがあるため、全部の方向の思考が鍛えられるわけではない。それでも、正解のある問題を解くよりは、格段に良いトレーニング方法といえる。
 しかも、扱っている内容が内容だけに、気楽な気分でできるメリットがある。思い付かなくても困らないし、話題は数多くあるのでどんどんと変えられる。本当に楽しみながらできるのが、仕事とは根本的に異なる点だ。この特徴は大きい。
 このようにして考えた脳ぐちゃのネタは、かなりの数を常にストックしてある。準備中ページの分も含めると50個ほどだろうか。保存形式はメモ程度の箇条書きで、それを元にして公開前に文章として仕上げる。実は、脳ぐちゃのコーナーを更新するのは、忙しくて他のコーナーを更新できないときだ。2つか3つのネタを選び、短時間で文章を書く。このようなパターンなので、脳ぐちゃが更新が多いときは、忙しい状況だと思って間違いない。「うーん、時間がない。今度の更新は脳ぐちゃで済まそう」となってしまう。
 以上のように、視点を変えれば、いろいろなものが思考トレーニングになり得る。皆さんも、自分なりの変わったトレーニング方法を考えてみたらいかがだろうか。もちろん、できるだけ楽しめることで。

●1999年10月31日

貴重な時間を奪うネットサーフィン

 インターネットといえば、電子メールとウェブページが重要な機能として認識されている。ウェブページを見て回るのがネットサーフィンで、以前はそこそこの時間を費やしていた。しかし、かなり前からほとんどやらなくなった。ときどき見るサイトが固定化し、そこを訪れるだけだ。
 ネットサーフィンをしなくなった理由は簡単。時間がかかる割に、得られる内容が少ないからだ。自分にとって面白いサイトが少ないことに加え、表示するまで待たされる時間が長すぎる。我が家はISDNで接続しているが、それでも遅くてイライラする。普段から忙しい自分にとっては、待っている時間がもったいなく感じてしまう。
 もちろん、待ち時間が少しでも減るようにアクセス方法を工夫している。ウェブブラウザのウィンドウを複数開いて、異なるサイトに並行してアクセスし、先に表示したサイトから操作する。こうすれば時間も通信費も節約できて、一石二鳥だ。しかし、こうした工夫にも限界がある。複数のサイトを一緒に見るとは限らなし、遅いサイトで待たされる時間自体が減らないからだ。やはり、素早く表示できてほしい。
 表示が遅くなる原因はいろいろあるが、もっとも大きいのは画像の多用だろう。見栄えを向上させるために、テキストで済むところまで画像にしている例が目立つ。日本の通信事情を考えたら、重いページを極力避けるのが、訪問者への配慮だと思う。
 重いページの最大の欠点は何かと尋ねられたら、「表示が遅いこと」ではなく、「訪問者の貴重な時間を奪うこと」と答えるだろう。見栄えがどんなに良くても、2回目以降の訪問ではインパクトがあまりない点も合わせて理解し、訪問者の時間を奪わないサイトが増えてほしいと願っている。
 別な配慮不足として、見たいページへなかなか行けない点が挙げられる。目的のページがどこにあるのか分かりにくいとか、何度もクリックしないと行けないとか、ページ構成や情報が上手に整理されていないために起こる。これも訪問者の時間を奪う原因の1つだ。
 こんな考え方なので、本サイトも公開当初より段階的に軽くし続けている。なくても済む画像は極力減らし、同じ画像も色数を落とした。HTML自体も、少し凝った形式から、よりシンプルなものへと変更した。また、最初のほうの内容を素早く表示するようにも考慮してある。サイトの構成もコーナー分けし、階層数を最小限にした。このように、限界まで軽くした結果が現在の状態だ。
 通信環境が改善されるか、軽いページが増えない限り、ネットサーフィンはほとんどやらないだろう。定額制でのアクセスが可能になっても、通信料金の問題は解決されるが、貴重な時間が奪われる問題は解決しない。当分の間は、ネットサーフィンをたまにしかしない生活が続きそうだ。


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