日本の神話

花の姫と石の姫

地上を治める神オオクニヌシは、自分の国を最高神のアマテラスにまかせることにしました。そこでアマテラスは、ホノニニギという神を地上に送ります。一応この神が、現代にまでつながる天皇の祖先ということになっています。

ホノニニギは、コノハナノサクヤヒメ(木花之佐久夜姫)という美女にひとめぼれし、彼女の父オオヤマツミに結婚を申し込みます。オオヤマツミは、「それならば姉のイワナガヒメ(石長姫)も一緒に」と言って、姉妹をホノニニギのところに送ります。

ところが、このイワナガヒメが非常に醜い女性だったので、ホノニニギは彼女だけ親許に送り返してしまうのです。神様もやっぱり顔で選ぶんですね・・・。
そこで怒ったのが、父親のオオヤマツミ。「あなたの命が石のように長く続くようにとイワナガヒメを送り、木の花のように栄えるようにとコノハナノサクヤヒメを送ったのに、あなたはイワナガヒメを拒絶してしまった。あなたの命は、咲いては枯れる花のようにはかないものになるだろう」。

こうして、本来不死だったはずの神さまにも、寿命ができてしまったというわけです。

この話は、一見「外見で判断してはいけない」という教訓のように思えますが、実はコノハナノサクヤヒメは「植物」の象徴、イワナガヒメは「石」の象徴で、永遠に残る「石」を捨ててしまうストーリーによって、人間に寿命がある理由を説明したものだとされています。

コノハナノサクヤヒメ
彼女はのちに海幸彦(ホデリ)と山幸彦(ホオリ)を生みます(海幸彦と山幸彦)。一晩だけの性行で妊娠してしまったため、夫ホノニニギから「自分の子ではないのではないか」と疑われるという話までついています。

人間に寿命がある理由
インドネシアも似たような話があります。人間が神から与えられた石を「食べられない」といって拒絶し、次に来たバナナを喜んで受け取ったことから、人の命はバナナのように短い話になってしまったというものです。石と植物の対比から人間の寿命を説明する神話は世界各地にあり、学問の世界では「バナナ型」と呼ばれているそうです。



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