日本の神話

天の岩戸

天から追い出される前、スサノオは天を治める姉のアマテラスにさんざん嫌がらせをしました。
水田をメチャメチャにしたり、御殿を糞で汚したり、それでもアマテラスは優しい人だったので、怒ろうとしなかったとか。
ところがあるとき、アマテラスたちが機織りをしていると、スサノオが屋根の上から死んだ馬の皮を投げ入れて、驚いたアマテラスの侍女の一人が死んでしまったのです。
さすがのアマテラスも、「もうイヤだ」と言って、岩戸の中に引きこもってしまいました。何しろアマテラスは太陽の神だったので、彼女がいなくなって、天も地も真っ暗になってしまったのです。
困った他の神たちは相談し合い、アマテラスをひっぱり出すため岩戸の外でお祭り騒ぎを始めました。
不審に思ったアマテラスが岩戸の中から「何事か」と尋ねると、神たちは「あなたより立派な神が現れたので、お祝いをしている」と答えました。
アマテラスが好奇心にかられて外をのぞこうとすると、そこはさすが他の神様の賢いところ、岩戸の外に鏡を用意しておいたので、アマテラスが見たのは自分自身の姿。彼女がびっくりしているすきに無理矢理岩戸から引っぱり出し、世の中に光が戻ったとか。
お察しのとおり、これは日食を基にした話ではないかとされています。

スサノオの乱暴
この侍女は機織りの道具で陰部を突いて死んだという、不思議な話になっています。これは、スサノオがアマテラス自身に乱暴したという話の変形なのではないかという人もいます。ちなみに、ギリシャ神話のポセイドンは「馬に姿を変えた姉のデーメテールを追い、自分も馬になって無理矢理犯した」そうなので、「姉と弟」「馬」というモチーフが、酷似しているのです。
岩戸に隠れる太陽
太陽神が岩戸に隠れるという話は、インドや中国にもあります。そこでも太陽神は女性です。ちなみに、アマテラスを呼び出すきっかけとなったのは、アマノウズメという女神がヘンな踊りをしてみんなを笑わせたせいですが、よその国の話では、ニワトリの鳴き声が、太陽神の気を引くという話になっています。夜が明けると鳴くニワトリが、「太陽を呼ぶ」というイメージになったのでしょう。


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