日本の神話

生き返るオオクニヌシ

オオクニヌシはその名「大国主」のとおり、地上を治めるエライ神になったのですが、なぜか兄弟たちにひどく嫌われ、いろいろイジメを受けます。旧約聖書のカインとアベル、ヨセフとその兄弟の例にもあるように、どうも兄弟というのは昔からあまり仲の良くないものだったようで。
オオクニヌシの場合、美人のお姫様が結婚相手にオオクニヌシを選んだので、怒った兄弟たちが何と殺害計画を企てます。
まずは、「我々が山から赤いイノシシ追い出すから、麓でそれを受けとめろ」というもの。兄弟たちは赤く焼けた巨石を転がし、それをしっかり受けとめたオオクニヌシは焼け死んでしまいます。
ところが、オオクニヌシは生き返ります。母親が天上の神に頼んで、生き返らせてもらったのです。
兄弟は再び殺人計画を企てます。
大木に割れ目を作ってクサビで止め、オオクニヌシを中に入れると、クサビを抜いてバン!と割れ目をふさいでしまったわけです。当然、オオクニヌシはつぶれて死んでしまいます。ところが今度もまた母親がオオクニヌシを生き返らせます。

その後オオクニヌシは地下の国に行ってスサノオの娘を嫁にもらって来たそうです。

なんでオオクニヌシがこんなに簡単に生き返ったりするかというと、別に古代の妙薬や魔術があったわけではなくて、彼が農業の神だから。生えては枯れ、枯れては生える植物を見ていると、「復活」だの「再生」だのというのは、ごく自然なことに思えてくるのかも。

生き返る神
有名なのがエジプトのオシリスです。彼も兄弟のセトに憎まれて殺されますが、妹で妻のイシスに助けられ、よみがえって死者の国の王となります。オシリスの遺体が入った棺はビブロス(現在のレバノン)に流れつき、1本の大木が棺を包み込んで成長し、その大木が棺ごと神殿の柱に使われたという、不思議な話もあります。
農業の神
ギリシャには1年のうち3分の1を地下で、また3分の1を地上で、残りの3分の1を自分の好きなところで暮らしたアドニスという神がいます(ちなみに彼は、イノシシに襲われて死んでいます)。このアドニスも、植物の再生を象徴する農業の神だったのです。エジプトのオシリスも死者の王であると同時に、農業の神だったとのこと。


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