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雪の魔女の洞窟:イアン・リビングストン



氷指山脈の<水晶の洞窟>の奥でアランシアの恐るべき雪の魔女が
この世に新たな氷河期をもたらし、みずから世界を支配すべく魔力を駆使しはじめた。
君はなにも知らなかったが、君が探していた凶暴な怪物の爪にかかった猟師が死にぎわに
君に重要な任務を託す。
だが時間は残り少ない。期待に応えるならすぐに出かけねばならない。


リビングストンのおなじみアランシア・ワールド冒険シリーズ第7弾。

なんか挿し絵が今までの雰囲気とは少し違う感じで、全体的に版画がかっていて、
パラパラっと見ただけでも妙にノスタルジーな気分にさせてくれる1冊です。

さて、今回のストーリーの特徴としては、過去の冒険に出てきた様々な地名や人物のことが、
冒険の途中のところどころで語られることにより、今まで極めて断片的だったアランシアの全体像が
徐々に繋がってくる部分にあると思います。

冒険途中にでてくるドワーフから語られるダークウッドの森(3作目)の下りとか、
呪いを解く過程で登らなければいけない山が火吹山だったりする部分だとか(1作目)、
一連のシリーズ・ファンがプレイすれば「うんうん」と頷いてしまうような場面がポツポツ登場します。
まあ同時に、過去の作品をプレイしていないユーザーをわりと突き放した作りにもなっていますので
いままでに1作目と3作目をプレイしたことがある方は必ず抑えとこう、とかそンな感じで。

で、冒険の中味そのものの出来なんですが、肝心かなめのボスを中盤ぐらいであっさりと撃破し、
うわなんつうショボい展開か、とか思っていたらメインの冒険はそこから始まるわけでして、
くたばったと思っていた魔女が精神体となり逆襲、それをやっとの思いで粉砕したかと思えば
今度は魔女の死のトラップにひっかかりボロボロにされちゃうという感じで、今までの冒険の中でも
1・2を争う悲惨なストーリが展開されていきます。

特に面白い箇所としては、呪いを解呪するためにフラフラになりながらも、癒し手とよばれる
呪い師を探し彷徨う辺りが、ちょっと今までの正当派な冒険とは毛色が違っていてナイスです。
いわゆる「瀬戸際もの」が好きな方にはオススメ。




ギャラリー



君の前の人陰がまた一歩進み出る。カンテラを掲げているので近付くとぞっとするような顔だちが見える。
顔には血の気がなく、目は灰色の皮膚が2ケ所、たるんで眼下に落ちこんでいるにすぎない。
君は夜歩きのくらい縄張りにふみこんでしまったのであり、戦わねばならない。

なんか「イーーーーーッ!」って感じの敵キャラ。さんまと命名。
こんなのと戦わなければいけない己の不幸を呪うしかない。





とつぜん、洞穴の奥のほうでぞっとするような女の泣き声が聞こえる。
悲しげなむせび泣きはしだいに高まってすさまじい怨念の絶叫となる。癒し手がバンシーの声だとささやく。
バンジーとは醜悪な妖怪で顔も手も萎びており、歯は1本きり、鼻孔も大きいのが一つあるきりだと言う。
恐れずに通りすぎれば無事にすむと癒し手は教えてくれる。

話しかけても、手をふれても、存在を認めてもいけない

君はさらに洞窟の奥に入りこみ、ついに恐るべきバンシーをまのあたりにする。
目の縁を赤くしてしゃがみこんだところは癒し手の描写をうわまわる醜悪さだ。


こえー! バンシーバンジーも両方すげえ怖えー死ぬ−! キャーホホ!キャーホホ!
って発狂してもおかしくないくらい嫌だ。




君が出くわしたのは奇妙な眺めだ。
床に小さな池が2つあり、静かに湯気を立てているのだ。
いっぽうの池からは剣の柄が、もういっぽうからは槍の柄が突き出ている。
壁ぎわにオークが1人かちかちに凍っており、硬直した腕をのばして剣をゆびさしている。
池に近づくと氷の床に詩文が刻まれているのが見え、こう書かれている。

剣と槍と 力と恐怖 いかに選ぶや 勝利と負けと

君はたったまま詩の内容を考えめぐらし、どうすべきかきめかねる。

これぞゲームブックの面白さの醍醐味というべき選択シーン。
これはココを見ている方々にもチャレンジしてもらいたいっス、キシシ。

君は
剣を池から引き抜くか?
槍を池から引き抜くか?




君が石棺に近づくと女の無気味な笑い声が部屋にこだまする。
白い毛皮をまとった美しい女がゆっくりと棺の中からおきあがるが、
微笑したときにまぎれもない牙が見え、君は雪の魔女が吸血鬼だと悟ってぞっとする!

「キシャアアアアアアアアア!」って感じのラスボス。
こいつ自体はあっさり死ぬんだけど、その後の怨霊攻撃がたまらんス。



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