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火吹山の魔法使い:スティーブ・ジャクソン&イアン・リビングストン



物語でもあり、ゲームでもある本。この本は多くの冒険を味わわせてくれるだろう。
どのページにも新たな挑戦があり、次に進む道を決めるのは君自身だ。
勇気と決断と幸運に恵まれれば、魔法使いの秘密の扉にたどり着くことができるかも知れない。
ここに登場する怪物は真に迫っていて、君を何時間もとりこにしてくれるだろう!


記念すべきファイティング・ファンタジー・ゲームブック・シリーズの第一作。
一作目だけあって、極めてルール 及び 背景を詳細に説明してくれているところが嬉しいです。
出てくるモンスターもゴブリン・トロール・オークにミノタウロス・吸血鬼など
実にオーソドックスなものばかり。でも当事はこれでも結構 目をひいたんだよなあ。

ストーリは、火吹山の奥深くに隠された魔法使いの宝を手にいれる、という
これまた実に基本に忠実なものなのですが、各種トラップを多種多様にちりばめることにより、
シナリオ全体に奥いきを持たせています。

なかでも後半に登場する迷路は、ゲーム・ブックの癖にマッピングしなければ脱出不可能なものに
仕上がってるだけでなく、ただエスケープするだけでは駄目で、この迷路の中をひたすら彷徨い、
宝箱を開けるのに必要な鍵を捜し回らなくてはいけないという、難度Aクラスのものになっています。
しかもゲーム・ブックだから辿ってきた道を戻るとかいう選択肢は当然ありえないのな。
たった一つの選択肢を間違えただけで、ゴール直前にして鍵が足りなくなって鬱死という、
悲惨きわまりない事態に陥り、何度この本を壁に叩きつけたことでしょう。

それでも再びプレイにひきずりこまれてしまう魅力の本質は、全体的な敵キャラの配置 及び
強度バランスの良さに加え、各トラップの文章的表現が秀逸であること、そして全体マップに
矛盾が見当たらないことにあります。

日本におけるゲーム・ブック・ブームの火付け役となった代表的な作品の一つに相応しい出来映え、
といえる一冊。




ギャラリー



二つ目の死体へと移動するはずみに床の上の3つ目の死体を蹴とばしてしまう。
死体の目があき、すばやく起き上がって尖った長い爪で君を引き裂こうとする。

極めてディティールに凝ったグール。ちなみにこれに引き裂かれるとパラライズ確定。




カギのかかっていた扉が勢いよく開いて吐気をもよおす臭気が鼻をつく。
室内の床は骨と腐った植物とぬめりに覆われている、
ぼろを着て髪をふり乱した老人が喚きながら突進してくる
ひげは長くて灰色で、古い木の椅子の脚をふりまわしている。
見かけどおりのただの狂人なのか、それともなにかのワナか

何かのワナなわけねえだろ。
あと、この状況下において声をかけて、なだめるバカものがいるならお目にかかりたい。




気がつくとずきずきする頭をかかえて周囲を見渡す。
部屋は8メートル四方というところで北と南に扉がある。君は南西の隅にうっちゃられている。
部屋の中央に四人の男がじっとたっている。少なくとも見たところは人間らしい

たぶん主人公は目が腐ってるンだと思う。

皮膚は緑がかった灰色である。服はやぶれてボロボロ。四人ともうつろな目を天井に向けている。
一人は棍棒を、一人は鎌を、一人は斧を、そして一人はつるはしを持っている。
完全に君を無視している

あ〜ゾンビ共にまで無視されます。そしてどこまでも虫です、あぎっ。




老人は君を見、君の挨拶に応えてすわれと言う。テーブルにむかうとじっとねめつけられる。
突き刺すような視線には催眠術的な効果があり、それに気づいた君は目をそらす。
老人が口を開くと年寄りの声の代わりに、驚いたことに壁そのものから発せられているかのごとき
力強い声が部屋中に反響する。老人にちらっと視線をもどすと目の前で変貌していくのがわかる。
どうどうたる長身である。ぼろぼろの服はビロードと金の衣に変わっている。
黒い目はまともに君の目を見据えている。君を待ち受けていたのだ・・・

なちゅらる・ボーン・インディアンとかそンな感じ。
そして、こンなんがラスボスだったりする。



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