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バルサスの要塞:スティーブ・ジャクソン



恐怖の妖術使いバルサスは<柳谷>の善良な民を滅ぼすべく、いまにも攻撃を
始めようとしている。必死の頼みにほだされた君だけが谷の人々の唯一の希望だ。
<太古の大魔法使い>の一番弟子で魔術の名人である君だけがこの任務を受け、
バルサスの悪夢の世界の心臓にくさびを打ちこめるのだ。
どんなすさまじい妖怪が君をまち受けていることか!


リビングストンとの共作ではなく、S・ジャクソン個人により書かれたこの作品の一番の特徴は、
プレイヤー側に魔法という概念が加わったことです。
選択肢に項目がある場合のみにしか、魔法を使用できないという限定条件が、コンプリートを
より難解なものにしています。

魔法は、
妖怪うつし・千里眼・火炎・愚者の黄金・目くらまし・浮遊・開運・防御・技術回復・
体力増強・怪力・骨抜き
などの13種の中から、自分の原魔法点分だけ所持する事が可能なのですが、
重要な魔法(回復系)は複数持たなくてはいけない為、いかにしてそのネーミングから使えそうな魔法を
絞り込むかという選択眼が重要になってきます。
でもって”骨抜き”なんて全然重要そうに見えないンだけど、これを後半になって持ってないと
困ったりするところが、かなり意地悪はいってます。

今回は舞台が岩山につくられた要塞ということもあり、立体的な建造物内や中庭を抜ける前半面と
上へ上へと続く尖塔にチャレンジする後半面における場面変換の多様さ、スピード感が、いやがおうにも
その冒険を盛り上げてくれます。

そして魔法にスポットを当てているだけあって、それ関連の場面説明やギミックの面白さも秀逸。
新しい世界観やシステムづくりが得意なS・ジャクソンの特徴がよく表われた、前作に勝るとも
劣らない名作といえるでしょう。




ギャラリー



扉は開き、君は大きな円形の部屋に入る。そして当惑して頭を掻く。
部屋の中央には幅の広い溝にぐるりとかこまれた小さな<島>が見え、その上に留金にカギのかかった箱がある。
溝は飛び越すには幅がありすぎるし、とても深い。扉のすぐ内側に縄がひと束ある。
君が入ってきた扉とちょうど反対の位置に、出口の扉がある。君は
・箱を無視して溝を迂回し、もう一つの扉へむかうか?
・<怪力>の術を用いて溝を飛び越えるか?
・縄を拾いあげて計画を錬るか?

こういう状況は好きだなあ。いかにもTalk型RPGって感じで。




君は室内を見まわす。唯一の明かりは君の松明だ。かなり大きい部屋なのに嗅ぐはほとんどなく、
平たい輪切りにされた大岩がテーブルを、そのうしろの小ぶりな岩が一種の腰かけを思わせるだけだ。
かたすみに岩の山があり、泥でつき固められている。なぜそんなことをしてあるのかわからないが、
その山の上に木の箱が三つ乗っている。
松明の光りがとある扉のそばに立っている、それこそ石でできているような大きな妖怪を照らしだした
ので君は飛びあがる。ほぼ人間の形をしているが、大きさの点ではかなり上だ。
目はじっと君に向けられているが、本当に見えているという確信はもてない。

文字というツールがいかに多くの情報を伝え得るかという証明。
あと、こンなチャーミングな石ゴーレムもそうそういないと思う。




君は部屋の中へ吸い込まれる。魔法でもかけられたかのように松明の炎がゆらめいて消える。
室内は真っ暗。どこからともなく、しかもいたるところから嘲り笑う声が響いて部屋を満たす。
「愚かな冒険者よ」別の声がしゃべりながら高音から低音へと移行して言う。
ガンジーのすみかへようこそ!気の毒だがここがおまえの目にする最後の部屋だ・・・
 ああ、いや、おまえにはなにも見えぬだろうな、ええ?だがわしらにはお前が見える、
 なあ、兄弟たちよ?」
笑い声がそこらじゅうから聞こえる。とつぜん、白く光る亡霊めいた顔が君めがけて飛んでくる。
君は嫌悪にひるみ、地面にうち伏してひどい恐怖を覚える。

おそらく歴代のゲーム・ブック史上においても最強の敵。つうか敵にしちゃいけないのか・・
それにしてもこーゆう詳細な背景説明の部分に外人特有のセンスの良さを感じるなあ。




君が聞きつけた足音は、本当は<手首>と呼ぶべきだが、3人の円盤人のもので
3人はいまや通路を転がってきて君を扉まで追いつめる。

ひでえ! こんなんに追い詰められてる自分もひでえ!

円盤人は奇妙な生き物で、足のかわりに手がもう2本ある。
移動のしかたは体を支えて横転するというもので、このやり方で相当な速さをだせるのだ。

ありえねえ!




テーブルによりかかって君に目を据えているのは、バルサス・ダイアその人だ!
体格ひとつをとっても圧倒さえる。身長は2メートルはゆうにあり、肩幅が広く、
腕も筋骨隆々で雄牛を思わせる。
戦闘用の革上着を着て、幅の広いビョウを打った鉄甲をはめているところは、
妖術使いというより戦士だ。

こンなんがラスボスです。突き出た髪の毛がチャーム・ポイント。



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