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運命の森:イアン・リビングストン



ダークウッドの森深くへと、曲がりくねった奇怪な道が続く。
そのものかげには、いったいいかなる怪物達がうごめいているのだろうか。
君の指名は、失われた伝説の”ストーン・ブリッジのハンマー”を探し出すことだ。
そのハンマーこそ、平和を愛するドワーフたちを、昔からの敵から守るためにつくられたものなのだ。
君にはその森に足を踏み入れる勇気があるか!


リビングストンが描く「アランシア」というファンタジー・ワールドの世界観が、この辺りで
おぼろげながらも、その全体像を現しはじめます。

今回の冒険の場所となるダークウッドの森も、アランシア中央部に広がる森林地帯の一地域であり、
この先のシリーズでもリビングストン作のものは、このアランシアのいずれかの地域が冒険の舞台に
なっているものがほとんどです。

リビングストンが書くシナリオの特徴としては、新しいファクターやパラメータなどの冒険部分は
控えめなものの、基本に忠実かつ詳細まで丁寧につくりこまれていて、非常に安心して楽しめるものに
仕上がっている、という点があげられます。
オーソドックス・スタイルのリビングストンと、新しい世界観やシステムづくりが得意なジャクソン、
両者が描くシナリオ・バランスのハーモニーがF・Fシリーズをゲーム・ブックのスタンダードにまで
名らしめた要因ではないでしょうか。

さて、この”運命の森”のシナリオのポイントは、頭・柄の二つに分離してしまったハンマーを
探し出すために、今回の舞台となるダークウッドの森のあちこちを歩き回らなくてはいけない
ところにあります。冒頭で魔術師より購入できる様々な薬を、どのように選択するかがクリアに
つながるキー・ポイントになっています。

今作は森が舞台なので前2作よりはるかに開放感がありますし、洞窟・小屋・井戸・しげみ・林など、
森のあちこちで発生する奇妙なイベントがプレイヤーを飽きさせません。
アイテム集めにおける分岐ルートがいまいち単調なような気がしますが、それ以外は安心して楽しめる
優良作となっています。




ギャラリー



君はトンネルを降り、ほら穴の入り口へと突進する。ほら穴の天井はトンネルとおなじくらいの
高さしかないから、立っていられない。ほら穴はとてもせまく、小型の家具や骨董品、そのほか
あらゆる種類のものがちらばっている。
ほら穴の中央に立っているのは、体が小さいくせに頭が異様に大きい緑色の皮膚をした二人の怪物だ。
尖った耳と長い鼻を持ち、麻でできた服を着ている。彼等はとてもおどろき、短剣で君に攻撃をしかけてくる。
君はグレムリン達に戦いを挑まなければならない。

グレムリン? ってのはもっとかわいくなかったっけ?
ギズモが私の脳内ディレクトリのデフォルトなんだけど・・




前方を見ると、かわいた泥でつくられた大きな小屋の入り口のところで道が終わっている。
小屋の屋根はドーム状になっていて、窓は一つしかない。君が窓からのぞいてみると、
小屋の中央にあるテーブルに黒い肌の大男がすわっている。
胸をむきだしにして、両腕の筋肉をもりあがらせてる

兄貴ィィィィィィ! 後ろ向けえっ! あぎいいいいいいいい!




君がつぎのくぼみ部屋にたっしようという最後の一段に足をかけたそのとき、炎が噴出して、
君の行く手をはばむ。鼻の穴から炎を噴きだしながら、巨大な黒いかげがくぼみ部屋からあらわれる。
黒煙が宙に舞いあがる。その野獣は人間のような形をしているが、翼を持ち、片手に炎の剣、別の手に
ムチを携えている。頭の上には黄金の冠をいただく。それは階段の上のほうでじっとしたまま君とむかい
あっている。とつぜん、ムチをふりあげ、炎の剣をかざす。大洞窟から抜けでる道はただひとつ、階段の
最上段にあるだけだ。そこへ行くために、君はクローン戦士の親玉、火の魔王と戦わなければならない。

これまたあらゆる意味でひどすぎるモンスター。鼻の穴から炎って。
ちなみに本体は、かぶっている王冠だったりする。




一歩一歩踏みしめるようにして注意ぶかく階段を降りはじめる。だんだん暗闇に目が慣れてきたので、
階段の一番下にあるものの形がはっきり見えてきた。君はいま、天井のひくい真四角の小さい部屋に
立っている、部屋の床はほこりが一面に積もっているし、どこもかしこもクモの巣だらけだ。
部屋のまんなかに石でできている箱のようなものがある。きっちり幅1メートル、長さ2メートルの
長方形の箱だ。その箱の上には大きな平べッたい石板がおかれている。
ざらざらした石の壁のひとつに小さなくぼみがあって、ろうそくが立てられている。

今シナリオにおける最重要場面。
結局ボスは挿し絵としてヴィジュアル的に姿をあらわすことはないが、
それでもその前の状況説明および挿し絵により、充分それを想像することは可能。
こういう情報のリンクによって増幅される想像力こそがゲーム・ブック最大の魅力だ。



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