[MySelf]


5月31日

<離島プレイ、その10>

あの日常ほのぼのアニメの決定版「たまゆら」が今度は映画化されたということで、
「ぽって〜ぽって〜」と身悶えながら床上を転げまわる素敵ライフを絶賛満喫中の
サカイです、どうも。ハートフル・テイストも度を超えすぎるとほぼ狂気と近似すると
いうことを如実に実感しつつある今日この頃です。今回はその映画版が丁度上映中って
ことでそれにかこつけて、昨年その巡礼と組み合わせて行った「安芸灘とびしま海道」の
レポを上げてみたいと思います。

と書いたところで一般的に考えたら「安芸灘とびしま海道?それどこ?」ってなるのが
普通の反応ですよね。はい、こんな場所です。



広島・愛媛間にあって各々の島が橋で繋がっている群島と言えば「しまなみ海道」が
最も有名ですが、その西側のすぐ近くにもう一つ、似たような感じの面白そうな場所が
あったわけですね。しかもその島々が「たまゆら」の舞台になっているとあっちゃ、
離島スキーとしてもアニオタとしても訪問しないわけには行きませんて。なのでなので。



てことで広島県は呉市の川尻町から「安芸灘大橋」を渡って、こことびしま海道の玄関島である
「下蒲刈島(しもかまがりじま)」へとアクセス。



でもってまず向かったのは「松濤園」と呼ばれるこの島の郷土資料館的な場所。



んで、まずこちらが江戸時代の末期に建てられた町屋風の古民家。
土地価格的な問題で今の都内じゃまずお目にかかれない中庭とか、2階の出窓付近に
見られる特徴的な板庇とか、そこから見える蒲刈大橋の景観だとか、ザ・古民家って感じで
いちいち味わい深いすな。ひと月くらいならちょっと住んでみたいかも。



今旅はたまゆら巡礼メインなので、通常観光と並行して各シーンのモデル地もガンガン
探していきます。こちらはOVA版のOPワンカット、富山県は砺波地方の代表的な商家
造りである有川邸前で佇んでいるカメラマンお姉さん。



同じく松濤園の敷地内から。OVA2話より、ここ下蒲刈島と次島・上蒲刈島とを
繋いでいる「蒲刈大橋」メインのワンシーン。右端に見切れているのは当時の番所の復元家屋。



で、こちらはその蒲刈大橋をバックにしてのぽって。なのでーなのでー



続けてこちらもOVA2話より。てか松濤園、メチャメチャ使われてますね。



で、これがここ松濤園でのラストカットかな。
漢文が刻まれた記念碑の前で憧れのカメラマンお姉さんと談笑するぽって。



そんじゃ次に行きましょうってことで、すぐ近くの「蘭島閣美術館」へと徒歩移動。
横山大観や福田平八郎・須田國太郎など日本を代表する画家の、それも瀬戸内海をテーマにした
作品ばかりを展示している美術館だそうで。



この美術館はOVA2話やTV版2期10話などのカットで使われているんだとか。



んで次に向かったのは、これまた徒歩圏内の「白雪楼」。
とある豪農が江戸時代末期に建てた漢学研鑚の場を移築したものだそうで、たまゆら劇中に
おいてはやはりOVA2話で使われているそうな。



実際の門構えと中の部屋の様子はこんな感じ。
高台の上に建っているという時点で既に好物件臭がプンプン。



でもってその天井にはうなされるくらいのレベルで漢文がびっしり。



そし襖を開ければ… 絶好の眺望キター! 



島々の間に広がる瀬戸内海とその海峡越しにある次島・上蒲刈島の西部が一望とか。
下部にちょい見切れてる蘭島閣美術館の屋根もこの好風情に一役買っていますな。



少しはたまゆら巡礼以外の観光も、ってことで次に見たのは「長雁木」。
港に造られた階段みたいなもので、岸壁と違って潮の満ち干きによる水面の上下に係わらず
昇降や荷役が出来るため、小型船中心だった近代以前の船着場で多く見られた構造物だそうで、
こちらのそれは豊臣秀吉の七本槍の一人である福島正則が幕命により作ったところから
「福島雁木」とも呼ばれているんだとか。てかこれあると海水浴とかしやすそうだよね。



さて、ここ下蒲刈島を去る前に、これから渡る蒲刈大橋を真下アングルから眺めてみる試み。
ここ、劇中のそれとの一致度が今までで一番高いんじゃないでしょうか(OVA2話)。



はい、てことで蒲刈大橋を渡って、次の「上蒲刈島(かみかまがりじま)」へと。
海岸線から車窓越しに山合を眺めていたら、やたらと目立つ白い山肌がそこらにポツポツと。
てことは採石が盛んな島なのかな?



この島での観光といえば、島中央部を走る「七国見山」の登山か、島東南部の先端にある
「県民の浜」での海水浴らしいんですが、今回の一泊二日な強行軍の中じゃ流石にそんな時間は
ないってことで、その七国見山の中腹にある「西泊公園展望台」から県民の浜海水浴場を眺めて
お手軽かつ手っ取り早くこの島の山と海を制覇することに。
ちなみにこの展望台、背後の山肌に観世音菩薩様と思わしき石像が屹立しまくりなせいもあって
霊山関連に付き物のある種異様な雰囲気がありました。ここ夜に来たらメッチャ怖いだろうなと。



ほい次・次ってことで、今度は「豊島大橋」を通って次島「豊島」へとサクサク移動。
丁度橋を渡りきったところにあったみかん販売所で休憩しつつ、豊島大橋&海峡の光景を
ゆっくりと眺めることに。(みかんの一大産地なだけあってこれがすごく安い!)



広島本土と5つの島とで構成されているこことびしま海道には5つの海峡があるわけで、
その全てがシャッターポイントでもあるのですが、その中でもここ上蒲刈島〜豊島間の
海峡風景は頭一つ抜けて素晴らしかったかも。海峡沿いのなだらかな丘にあるみかん段々畑の
存在が全景の良いアクセントになっていましたね。



そいじゃそろそろ本命巡礼地へ向かおうってことで、ここ豊島の中央部・山岳地帯へとゴー。
徐々に勾配度数が上がっていく山道にワクテカしつつ、時折路肩に車を寄せて「ここから島の
集落が一望できるー」とかキャッキャしていた…、そんな時期がこの私にもありました。



そんなこんなでOVA3話におけるハイライト地「十文字山公園」へと到着〜
と、このテキスト上においては「そんなこんな」の6文字で移動完了しておりますが、
実際には対向車が来たらほぼジ・エンドと思われる細い山道を泣きそうになりながら走り〜の、
その上やたら分岐してる道を何度も迷い〜ので目的地まで辿り着くのにえらく苦労しました。



それだけに到着の喜びもひとしおでした。
実際、この大絶景を見れば、全てが報われた気持ちにもなるってもんですよ。
遠方にうっすら見えている大地はおそらく愛媛県かな。
でもって直近に見える島は尾久比島、いちおう無人島ということですが、その空いた土地を
有効活用すべく豊島農家の人々がみかんを栽培しているそうで。



そこから視点をちょいと右へずらせば、今度はこれまで通過してきた島々が一望ときたもんで、
ホントこの場所気持ちいいすわー。細っこい山道を抜けた先によもやこんな天空要塞があったとは。
トンネルを抜けるとそこは…の川端さんの気持ちが少し分かったような気さえしましたわ。



こちらはこれから向かう予定の「大崎下島」の姿。
あ、なんか思ったよりも山深い感じが… 山間部ルートは避けた方が無難そうですな。



気分↑↑状態なことも手伝って、せっかくなので劇中シーンを再現してみることに。
……の筈が、あれ?なんだか全然空気が違う… なんだろう、この劇中にはない無駄な哀愁感… 
…うん、おっさん二人の後ろ姿には切なさという重みがありすぎましたね…



ちなみにこの展望台、ドーム形状の中心部にちょっとしたステージがあったりするんですね。
願わくばここでたまゆらライブを開催キボン…とか少し思ったりしたのですが、駐車スペースの
狭さを考えれば劇中のぽって達同様、オーディエンスはここまで徒歩移動せざるをえないわけで、
そうするとただでさえ体力不足な我々萌え豚はたぶんライブ前に息絶えるね…うん却下……



豊島集落への帰り道、同じくOVA3話に出てきた「雄こんの滝」にもちょいと寄り道。



…の筈が滝へと至る奥歩道の存在を見逃してしまい、肝心の滝へは辿り着けず。
劇中シーンとの一致場所を探すことのみで頭一杯になって、実際の見どころである滝の存在とか
完全になにそれ?状態になってましたね。アニメの聖地巡礼旅あるある〜
(後で調べたら、落石の恐れありで滝へと至る遊歩道は現在立ち入り禁止になっているとか)



それでは本日四本目「豊浜大橋」を渡って、早速ネクスト・アイランド「大崎下島」へ〜



の筈だったんだけど、そろそろ陽の傾きかけてきた太陽さん事情により、本日はこの島スルー、
大崎下島の観光は明日に回して、今は島北部の湾岸道路を突き抜けざま、ここ広島県と愛媛県
との境界線でもある「平羅橋」&「中の瀬戸大橋」&「岡村大橋」を渡っていざ…てか多いわ!
なんか橋の数、急に増えだしたし?



そは何事かと思って調べたら、大崎下島と岡村島間に在る二つの無人島の存在がその原因。
その複雑な地形が造りだす海峡美はかなりの景勝だそうですが、遠方から俯瞰で見ないとよく
分からないとのことなのでこれも明日回し。今はともかく「岡村島」へと。



てことで、まずはこの島一番の景勝地とされる「ナガタニ展望台」へと。
先程の十文字展望台と同じくこれまた随分と立派な外観… 
そこから見る景色のみならず、その建築物自体が観光対象として成立してるっぽいというのは、
そりゃ印象度が高くもなる筈だわと。



んで肝心かなめの景色はこんな風。
眼下の岡村港とその湾内を行きかう船舶や、観音崎と呼ばれる半島部分が一望できるその様に
しばし見入っていたら… んん?観音崎の先に見える対岸の白っぽい塊みたいなものは一体?



というわけで帰宅後、拡大&画像処理した上で、推測位置をグーグルマップと照合。
んーと愛媛県は今治市にある「波方ターミナル」という石油会社の持ちタンク群っぽいですな。
まずはその場で視覚的に楽しめて帰宅後も地形照合で楽しめるって、眺望道もなかなか奥が…
(深い的な…)(というかますます地形マニア化してきたような…)



陽が落ちかける中をそのままギリまで観光続行。
こちらは展望台への道すがらに見つけたコンクリート擁壁上の巨大画「お汐と亀松」。
この手の背景話は悲劇と相場が決まってるもんで、これも御多分に漏れずそうなんでしょと
思っていたら、息子の亀松に全財産を譲りたい母はその妹のお汐がとにかく邪魔、それに心を
痛めた亀松はお汐を連れて家出、しかし念願の善光寺詣を済ませた直後、お汐が病気に… 
って、やっぱりそうなんじゃーん…! その後、同行二人の心で旅を続けた亀松はやがてこの
島に辿り着き、海難事故の相次ぐ観音崎の御堂にて海上交通安全を祈願、めでたしめでたし…
いや、同行二人の心構えは素晴らしいけどそれ以前に妹病死の設定いらなくね?



最後に、ここ安芸灘とびしま海道の最終島である岡村島の更に最奥地たる島東端より、
その向こう岸の「小大下島」を望んで、本日の観光メニュー、終了。
しかしまあ広島領土揃いなとびしま海道内にあって唯一愛媛な岡村島の立場を考えたら、
ここに橋を造って小大下島分の愛媛領土を増強してやれよと思わずにはいられませんでしたね、
たぶんこの二島の海峡間200mくらいだし、そんなに難易度高くないんじゃ…



ついでに思ったんですが、愛媛の今治市から、同県のここ岡村島まで陸路で行こうと
思ったら現状青ラインの超々大回りートを辿らなければいけないわけですが、赤丸部分の
島々間(岡村島〜小大下島〜大下島〜大三島)がちょいと橋で繋がるだけで…



ちょ、近…! すごい近!
というわけで、現状はドン詰まり感甚だしく、かなり中途半端な造りと断ぜざるをえない
ここ「とびしま海道」が、尾道〜今治を結んでいる人気ラインの「しまなみ海道」と繋がれば、
かなり面白いんじゃ… とか考えてみた次第。いつか成るといいなあ…


<二日目>



はい、てことで二日目〜
本日は「大崎下島」、それも江戸時代より潮待ち・風待ちの港町として賑わったとされる
「御手洗町並み保存地区」にて、たまゆら1期4話に重きをおいた巡礼観光をすることに。



まずは港近くの脇坂屋前駐車場より。
逆光で残念なことになっちゃってますが、シーンの一致度はかなり高いんじゃないかと。



そしてこちらが「千砂子波止」と呼ばれる石組み防波堤のシンボル的存在の高燈籠。
当時においては高さ6mのこの塔が灯台の役目を果たしていたんだとか。



この防波堤の先端から御手洗の町並みを眺めた構図がこちら。んむ、風情アリアリやわー
右の写真はその町並みの一角に居を構える御手洗最後の船大工・宮本国也さんとその作品。
昭和30年代当時はこのおちょろ船と呼ばれる小船で遊女たちを運んだのだとか。



で、こちらが海運の神様を祀っている「住吉神社」。
劇中においては神社がメチャ見切れてるというか、ほぼ鳥居しか写っていないですな。



右側に海を見やりつつ、そのまま町並みを歩いていくと見えてきたのが、
なんちゃって口笛少女こと桜田麻音の実家モデルとされている料亭旅館「なごみ亭」。
ちな、この店の一押しメニューは「あなご丼」。たまゆら巡礼者が必ずレベルで訪れる
定番中の定番地にふさわしく、店内にはたまゆらコミックも完備されていました。



更に歩を先へと進めると、やがて見えてきたのが2期10話で使われた「恵美須神社」。
遠方に見えるは、ここ大崎下島とお隣の岡村島とを繋いでいる二つの無人島及びその橋々。



同じく恵美須神社より、今度はその鳥居を思いきり真横から見た構図。
一致感はいまいちだけど、町並みの港町感が如実に出ている景色が見れたので良しと。



で、ここから今まで散策してきた港近辺を離れて町の奥へと入っていくわけですが、
その前に御手洗の全体図を確認と。一般旅行者から見れば特になんてことのない風景
でしょうが、巡礼者的には一致度が高いというただそれだけでテンションの方もダダ上がり。



そしてこちらは伊能忠敬が測量に訪れた際に泊まったとされるかつての庄屋邸「旧柴屋」。
一致度的にはかなり低めだけど、古い町並み感は出てるし、まあ雰囲気雰囲気。



その邸宅内には、かおるとのりえのふざけ合いの小道具に使われた旧々電話機が。
その他、「ももへの手紙」の等身大ポップとかも置いてあったり。



更に奥へと進んだ先にて、オスの本能的には少し気になるのれんのかかった屋敷を発見。
ここは日本最古かつ西日本一の遊郭とも呼ばれていた「若胡小屋」という、要は江戸時代の
ソープみたいなところで、かつては120名程の女郎や花魁を抱えていたとか。
120て、新宿や渋谷の歓楽街クラスやん、今でこそ閑静な港町に見えるけど昔はこの近辺、
メチャメチャ賑わっていたんですね。



中に入るとここにもドデンと「ももへの手紙」の等身大ポップが。もも推し激しいなー
そして隅の方にはこの店に売られた当時の女郎の様子を描いた遊郭漫画が。遊女切ないなー



はい、続けて近くの路地より、かおるとのりえのふざけ合いシーン。




んでこちらはほぼ町はずれ、菅原道真公を祀神とする「天満宮」の境内にある「可能門」。
願いを込めてくぐるとそれが叶うそうで、まあいい歳こいた毒男が願うことなんて所詮は…
(と言いつつガチ祈願、健康!金運!女運!)




今度は来た道とは別の道で港側へ戻ろうってことで、その道すがら見つけたのが、
この「新光時計店」。機械式の時計修理店としては全国有数の技術を持つ由緒正しき
お店だそうで、制作元のメーカーが修理不能と返してくる時計ですら直してしまう凄腕の
4代目店主さんがいらっしゃるんだとか。



んでもってそのすぐ近くにあったのがこの「乙女座」と呼ばれる映画館兼演芸座。
たまゆら劇中においては1期の4話と11話、2期においては10話と登場回数も多く、
ストーリー上においてもターニングポイントとなることの多い巡礼最重要地ですな。




その中はこんな感じ、あ、わりと広々。でもって畳キター!
畳の上に胡坐をかいて映画を見るって新鮮そうだけど、でもこれ結構疲れそうな…
ちなみに次回の上映作は「男はつらいよ・浪花の恋の寅次郎」という、この雰囲気に
合わせたっぽいチョイスでした。そりゃまあここでハリーポッターとか厳しいよなー



そいじゃ締め括りにメインディッシュを、ってことで、この近辺じゃ一番高度があると
思われる「歴史の見える丘公園」にて、存分に眺望プレイを楽しむことに。
まずこちらが1期の11話で使われた全景シーンで…



でもってこちらがリアルのそれ。
昨日行った十文字山公園のそれに勝るとも劣らぬくらいのくらいの絶景すな。



次は1期6話のそれと比較しつつ、昨日の夕方に岡村島へ行く時に渡った「中の瀬戸大橋」
&「中ノ島」の部分をクローズアップしてみる試み。



続けて視線を右の方へと移せば、眼下には御手洗港の高燈籠、その向こう側の対岸には
岡村島の観音崎。更に遠方へと目をこらせばしまなみ海道の右端・伊予大島と愛媛本土とを
結ぶ「来島海峡大橋」がおぼろげながらも視認出来たり。こりゃ確かに気持ちいいわー

てことでたまゆら巡礼と合わせて安芸灘とびしま海道を巡る旅、終了〜
一泊二日の弾丸旅程で回った割には特濃な内容で至極満足、しまなみ海道を既に訪問済な
方においては特にオススメしときたいコースかも。


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