[MySelf]


12月2日

<メス豚交響曲>

皆さんは、自分の体で一番臭くなりがちな箇所を御存じであろうか?
まずは脇の下か、それとも耳や尻の穴? もしくは足のくすり指と小指の間?
はたまた陰茎や大陰唇を覆う包皮の内側であろうか。ほとんどの人間は直感的にそう考える。
だが正解はそうではない。これらの箇所は「汚れやすい」というイメージが常にあるからにして、
大抵の人間は必要以上に入念な洗浄を行いたがるものなのだ。
このように本人はすこぶる分かっているつもりでいて、だがその実、それが実際と隔たって
いるというようなお話は、往々にしてよくあるものである。

それが分かっていながら、のうのうと実家に出向いた私も確かに悪かった。
そもそも30過ぎ独身男が自分の生誕日を平穏に過ごそうと思ったなら、ひたすら家に
引き籠っているに限るという大原則をついうっかり無視してしまったことも大きく響いた。
だが祝ってくれる相手など一人もいないだろうからせめて私達だけでも、という親心を
無下なく断るのもはばかられたし、まあここは一つ大人になって久々に顔でも見せてやるのが
人の道だろうと、そう柄にもなく思ってしまったことが、よもやあのような悲劇を招くこと
になろうとは、この時点では思いもしなかった。

それにしたってだ。チャイムを鳴らした後、しばらく間をおいてようやく玄関が開けられた
かと思いきや、いきなりクラッカーがパーン!って。と同時に今年幼稚園に入ったばかりの
妹の娘達が「おじさん、おめでとー」「おめでとー」って更にクラッカーをパーンパーン。
思わず今年一番、いや、今までの人生の中においても一、二を争うほどの真顔になった。
挙句の果てにゃ母親が興奮ツラしつつ「どう?この、サプライザー?」とこうきたよ。
間髪おかず親父が呵々大笑しながら「母さん、それはサプライズだろ?」って、アハハハー

無理だわー

いや、親の気持ちそのものは骨身に染みるレベルでありがたい。半ば強引に盛り上げようとして
くれたその意図も十分すぎるほどよく分かる。だが本人達には本気で分かっていないのだ、その
行為が私にとってはお祝いどころか、もはや虐めをも超えた嬲りレベルになってしまっていると
いうことを。これを笑顔で受け止め、かつ流せるほど私は大人になりきれていない。即、きびす
を返してその場からダッシュで逃げ去りたいところではあったが、そこはどうにか大人モードで
踏んばった。が、あまりのいたたまれなさには抗えず、結局その場は1時間ほどで後にすること
となった。帰り際、妹が俯きながら「…ごめん、止めたんだけど」って駄目押しの一言。せめて
クラッカーだけは阻止してほしかった。そして靴の中には何故か万遍なく敷き詰められた一円玉が。
イヤッハハ、本当に子供って無邪気やねー

最寄りの駅に着いた直後、あまりに落ち込んでる自分自身にびっくりして、こりゃ本気でいかん
と思い、近くのスーパーで特上寿司パックを二つ購入。食す際、強引にテンションを上げようと
テーブルに箸袋を叩きつけたらその勢いで飛び出た同梱のつまようじが手首に突き刺さって
のたうち回る転げ回る、あまりの楽しさに顔がひしゃげた。それでも太陽は東から昇り、月は
夜空に煌々と輝き、東方は赤く燃え、暁は朱に染まり、そしてなお屹立するというのかこの陰茎が、
この野郎!この野郎!いっそ下半身さえなければいい、下半身さえなければいい!そうわめきながら
擦り続けることの、おお、この喜びったら。

ちなみに正解は「耳の裏」である。
先日、会社の後輩の耳の後ろをひとさし指でグイっとこすって「な、存外にクセーだろ?」ってやったら、
案の定口を聞いてくれなくなった。明日でそろそろ一週間になる。


12月19日

<大丈夫>

最近、とみに「大丈夫」が信用できない。

だって考えてもみてよ。刑事ドラマとかアニメの登場人物がこのセリフ言って大丈夫だった
試しってある?実はあまりないでしょ。大抵が無理しすぎて死んじゃったり、よくて入院とか
になっちゃったりしてない?

だから思うんだよね。
実は「大丈夫」を使うときって、ほとんどが「大丈夫じゃない」ときなんじゃないかって。

例をあげてくとさ。ちょっとMっ気のつよい友人がいるんだけど、そいつはオルドの営みに
入る際、まず「み、皆がいじめる…ママっママッ…!」って叫びながらおもむろに床の上を
転がりはじめるんだって。で、ひとしきりのたうちまわった後、自分の彼女に「よしよし、
大丈夫だよ☆」って頭を撫でてもらうんだって。 なんだかねえ、どう考えても大丈夫じゃ
ないのに。

あと別の知人の話。30過ぎて独身どころか会社もサボリまくってて、でもコミケは命です!
みたいな真性の声優オタ、まあ僕のドッペルゲンガーみたいな奴なんだけど、そいつとこの前
将来不安にならない?みたいな話してたら、「大丈夫、二次元は裏切らないよ?」って即返し
されたもんで、思わず「おい、頭脳パン買ってこい」って真顔で命令しそうになった。

もちろんインド人の「大丈夫」も信用できない。
進捗確認の度に「ダイジョウブ」って言ってた割にゃ、いざ期限の日になってみたら案の定
一部機能が動かないし。どーすんの?って若干キレ気味に問い詰めたら、自信満々の目つき
で「シニヤシネーヨ」って至極あっさり流された。確かに!いや、目から鱗が落ちたね。なんか
大丈夫な気分になってきたよ。肌が茶褐色の人はやっぱし言うことが違うなあ。

肌の色つながりであげるなら、ロナウジーニョもわりと「大丈夫!」って顔つきしてるよね。
だってほら、どんなピンチの時だってロナウジーニョはいつも笑顔だし。何せ茶褐色に出っ歯
だもんね、たぶん最強に大丈夫だわ、これ。そういう意味じゃ、明石家さんまとかパンチ佐藤、
それから汗だくんなってボクシングしてるマッチョの黒人とか、まあこの辺の人たちは大概
「大丈夫!」って感じだよね。

そいやこの前、天狗で飲んでた時のこと。
食べ物を運んできた際にうっかり引っ掛けでもしたか、店員のお姉さんが僕のズボンの上に
醤油の瓶を落としちゃったのね。で、慌ててお姉さんが僕に聞くわけ。「大丈夫ですか!?」
余裕で中身がかかってて実は全然大丈夫じゃなかったんだけど、ほら、そこは僕も男の子、
あえて笑顔で「大丈夫です!」って返したのね。したら「良かった!割れてませんでしたか〜」
あ、そっちなんだ。僕のズボンじゃなくて醤油の瓶の方なんだって、ちょっと疑問に思ったり。
そんな「大丈夫」違いもたまにはある。でも、僕は大丈夫だよ?


12月28日

<メリー!>

ゆかりんのライブに行ってきたおーミ☆



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