消火器の取り扱い

家庭用消火器ってどんなもの?

消火器01 現在、家庭用消火器として出回っているのは『粉末ABC消火器』といわれるものがほとんどです。
消火器を見て頂けると判りますが、3つの丸い印が付いています。

消火器02
白い丸:普通火災用
黄い丸:油火災用
青い丸:電気火災用

それぞれ、使用できる火災の種類を表しています。
普通のご家庭における初期消火には、ほぼ万能と考えて頂いて結構です。

消火器の種類と概要も参考にして下さい。


知っていますか?消火器の構造と操作方法

消火器の中には、二酸化炭素のガスボンベと粉末の消火剤(リン酸アンモニウム)が入っています。
消火剤は粒子の細かい粉末であり、人体には無害ですが、人に向けて放射してはいけません。
消火器の操作方法は、次の3つを順番に行います。非常に簡単です。

消火器03 1. 安全ピンを上に引き抜く。
 安全ピンが付いたままの状態では、どんなにレバーを強く握っても消火剤は出て来ません。

消火器04 2. ホースの先端を消火器から外し、火元に向ける。
 消火剤の出る勢いはかなり強いので、先端をしっかり持って、火元に向けて下さい。
消火器05
左の画像のように、ホースを上に引っ張ってもホースは外れません。
右の画像のように、先端を持ち上げるようにして外して下さい。

消火器06 3. レバーを握る。
 レバーを握ることにより、レバーの下についている針が炭酸ガスのボンベに穴を開けてます。
 消火器内に炭酸ガスが充満し、その圧力で粉末消火剤がホースから外に押し出されます。

消火器07  尚、女性の方等、握力が弱い方はレバーの上に手を置き、肘を伸ばして体重をかけるようにすれば簡単に押すことが出来ます。
 また、消火器は一度消火剤の噴射を始めると、たとえレバーを戻しても途中で止めることは出来ません。
 全て使いきって下さい。


消火器の能力ってどれくらい?

鍋 消火剤の出ている時間は、消火器の大きさにより異なりますが、家庭用の消火器の場合、10〜20秒程です。
それでも、てんぷら鍋3個分の火災程度なら消し止められます。
1度に3個の鍋を同時に使われることは無いでしょうから、十分な能力といえます。


実際に火事が起きたら・・・

1. まず、大きな声で、『火事だ〜〜〜!!』と叫ぶ。
 実際の火事の場合、しなければならない事が沢山あります。
 消防署への通報、初期消火、家族等の非難誘導、貴重品の持ち出し、等数えればきりがありません。
 まず、家族や隣近所の人等回りの人に火事を知らせるのが第一です。
 また、大きな声を出すことにより、度胸が据わり、次の行動が落ち着いて出来ます。
2. 初期消火。
 小さな火事なら消火器一本で十分消せます。
 1)消火器を持ち火元の2メートルぐらい手前まで前進します。
  最初から消火剤を出してしまうと、10〜20秒程度で無くなってしまうので、火を消す前に消火剤が無くなります。
  後は、前に述べた操作方法に従い、3つの操作を順番に行います。
 2)安全ピンを抜きます。
 3)ホースの先端を消火器から外し、火元へ向けます。
  ホースの先端にキャップが付いた消火器もありますが、外す必要はありません。圧力で自然に外れます。
消火器08

 4)レバーを握ります。

  消火の際の注意点。気を付けて!!

a. 姿勢は低くし、煙を避けて。
  煙は視界を遮るだけでなく、有毒です。姿勢を低くし、煙を吸い込まないように注意しましょう。
b. 常に、逃げ道を確保して。
  初期消火が不可能となった時に、いつでも逃げられるように、非難口と火元の間に位置しましょう。
c. 炎の先端では無く、火元を消火。
  どうしても、燃え盛る炎の先端に目が行き勝ちですが、火元に消火剤を撒かないと火は消えません。
d. ほうきで掃くように。
  消火は火元と空気を遮断するば出来ます。消火剤の粉末で火元を覆うようにします。
e. てんぷら火災等の場合、鍋には直接噴きかけない。
  火の付いた油が飛び跳ねて、自分に噴きかかる場合があります。
  鍋の向こう側の壁に噴きかけ、その反射を利用して覆うようにしましょう。

3. 避難する。
 火が天井まで広がったら、初期消火は不可能です。
 即時に避難して下さい。
 また、一度避難したあと、貴重品の持ち出しを忘れたとかで、家の中に戻るのは絶対止めて下さい。
 あなたの命まで無くしてしまいます。


火は完全に消えましたか?

消火器は、火元と空気の間を遮断することにより火を消します。
消火剤は粉末であり、可燃物の中に、水のように沁みこんでいくわけではありません。
従って、たとえば布団などをタバコの火の不始末で焦がしてしまい、消火器で消し止めたような場合、表面上は火が消えたように見えても、火種が内部に残っている場合があります。
火が消えたと安心していて、1〜2時間たったらまたくすぶりはじめ、火事になってしまった、再燃火災の例はかなりあります。
火が完全に消えたことをもう一度確かめましょう。


消火器の保管場所は?

消火器の保管場所として適当な場所をご存知でしょうか。
火を使う場所の近くが適当ですが、ガスコンロのすぐ脇ではいけません。
実際の火事の時に、消火器に手が届きません。
台所の入り口付近の目立つ所が適当でしょう。
自分ばかりでなく、隣近所の人が助けてくれることを想定して玄関脇に置いておくのも良いでしょう。
直射日光を避け、湿気の少ない、目立つ場所が最も適しています。
特に湿気は厳禁です。
消火剤は粉末ですので、湿気で固まってしまったり、また消火器の容器の底の部分が腐食する恐れがあります。
消火器は使用の際に内部に高圧ガスが発生するため、最悪外容器が吹き飛んでしまい、大怪我や死亡事故にも繋がりかねません。実際、年に数人の方が事故で亡くなっています。


消火器の寿命はどれくらい?

消火器00 消火剤は一般的に5年を目処に交換して頂けるようお勧めしております。
消火剤の詰め替えは専門の業者にお願いして下さい。
消火器本体の寿命は保存状態にもよりますが、10年を目処としております。
従って、新品を購入されてから5年後に消火剤の詰め替えを、さらに5年たったら本体ごと買い替えをお勧めしています。
また、容器に傷や錆びがある場合は、絶対に使用しないで下さい。
尚、消火器の廃棄は専門の業者に依頼し、一般ゴミには決して出さないで下さい。
業者が判らない場合には最寄の消防署にお問い合わせ下さい。


消火器はどこから買うの?

消防署では消火器の販売等は一切しておりません。
時折、『消防署の方から来ました』と言って消火器を販売して回る人がいますが、『方から』とは『消防署のある方の道を通って』という意味ですから、お間違えの無いようにお願いします。
また、『一般家庭でも消火器の設置は法令で定められている』等の説明をする人もいるようですが、そんな法令はありません。
ただ、万が一の備えのために、消防署では消火器の設置をお願いしています。
購入に際しては、自治会などで実施している一括購入の時に申し込まれるのが安全かと思います。


防災訓練への参加のお願い

季節毎に、自治体や自治会が中心となって、防災訓練が実施されています。
消防署、消防団では訓練に際して初期消火訓練として、消火器の取り扱いについても指導しております。
一度でも使ったことがあるか無いかでは、実際の火災に際して、心構えが全く違ってきます。
防災訓練があった時には、積極的に参加して頂き、是非取り扱い方法の指導を受けて頂けますよう、宜しくお願い致します。


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