A/Cのレトロフィット(その3)

レトロフィット作業例

事前準備として、R-12ガス回収と壊れたコンプレッサを外す作業はBMWディーラで行いました。ディーラではいろいろレトロフィットについて教えて頂いたのですが、結局私は部品を自前で調達しそれを工場に持ち込んで整備してもらう方式にしました。コンプレッサは新品のR-134a用社外品を中心とし、レトロフィットのコースとしては「竹」セット+α程度の予算です。
しかしこれはだんだん欲が出てオーバーしてしまいましたが。
掲示板でお知り合いになったM535iのREOさんも、奇しくも同時期に通販の社外コンプレッサキットによるクーラー修理の貴重な情報をお寄せいただいたので、レトロフィット作業例として2例紹介いたします。

私のレトロフィット例         REOさんのレトロフィット例


私のレトロフィット例
 
部品はBMPの社外コンプレッサキット、あとはOEMのドライヤ、およびいくつかのホースや小物交換です。BMPのキットは400ドルとかなり安く、送料を入れても国産車のコンプレッサ単品と同額以下なのは魅力的だったのですが、世の中そんなにうまい話ばかりではない。なんとこれはR-12用コンプレッサでした。これについての顛末は以下に示します。

R-12用のコンプレッサが来てしまった時の対策

2001年3月時点でのBMPおよびMesaのBMW用コンプレッサキットは、R-134aには対応しないR-12用であり、カタログやWeb広告のR-134a用という言葉は明らかに誤りですのでご注意を。

用意したもの
  • コンプレッサキット(社外品)
  • コンプレッサ(seltec製:自分でオイル交換しR-134aとしたもの)
  • エンジンマウントキット(M30エンジンとコンプレッサをつなぐマウントプレートとボルト、ブラケット一式)
  • Vベルト(DYCO製: 1/2 x 33 インチ=838mm)
  • ホースアダプタ3個とOリング2個
  • ドライヤ(OEM:台湾製)
  • コンデンサ(純正のHELLA製:リフレッシュを兼ねて)
  • ホース(純正:コンプレッサ高圧口とコンデンサ間の2本)
  • Oリング、R-134a用アダプタ、低圧ホース(純正:これは工場にて用意していただきました)

  • その他(OEM電動ファン温度スイッチ:91℃と82℃の2個)

    施工時の難点として、コンプレッサキットは、

  • 添付のマウントボルトが合わない。(別途用意)
  • マウントするとラジエタ下ホースと干渉する。(ブラケット加工)
  • 低圧ホースジョイントが純正サイズではない。(ジョイント溶接加工)

  • 等の課題がありましたが、いずれも工夫により無事装着出来ました。
    施工は今回もTWT-BPさんにお願い致しました。(色々ご厄介おかけしました)

    施工とその結果
    コンプレッサキット一覧。

    右はマウントに仮り組みテストした状態。

    左はマウントキットのマニュアル(1枚だけ)

    右はドライヤ+高圧スイッチとコンデンサ、および高圧ホース2本。

    左はオリジナル低圧ホースのフレア(1+1/16インチ径)を割ったもの。これに7/8インチジョイントを溶接すると右のようになりました。ホース取り回しを考慮し、微妙な角度で溶接。
    この低圧ホースの反対側は7/8インチであり、ガス注入アダプタが付いています。
    コンプレッサをエンジンにマウント。ラジエタ下ホースとの距離を稼ぐためブラケットを切削加工し装着。
    なお、真空引きは入念に。(1時間以上推奨)

    右は配管完了したところ。

    左はドライヤ。赤いキャップがR-134a用高圧ポートアダプタ。下から装着している緑のが高圧スイッチ。

    右は低圧ホースライン。今回はガソリン冷却ラインのないものに置換。青いのがR-134aガス注入用アダプタ。

    裏技の82℃と91℃のファンスイッチ。ノーマル規定の99℃より8℃低いのでやや早いタイミングで電動ファンがHighモードになります。
    右はR-134a冷媒ラベル(緑)。注入量は825g表記。左奥にあった古いR-12用赤ラベルは剥しました。ダミーのU字ガソリンラインはおしゃれ。

    注入したR-134aガスは約800g。R-12規定量より少なめに。4月中旬では低圧側で0.6kg/cm2、高圧で14kg/cm2ぐらいとちょっと低めです。サイトグラスからは少し白い気泡が見えますが、冷え具合はいまのところだいだいR-12のころと同じぐらいです。


    REOさんのレトロフィット例
     
    REOさんもちょうど私と同時期にコンプレッサキットを海外通販で購入。私がBMPともめている(^^;)うちに一足お先の完成となりました。キットはMesa performance parts の物です。このキットもR-134aコンパチブルとwebでは紹介されているのにR-12用のSANDEN SD-508コンプレッサが送られてきたとのこと。(アメリカの通販キットのやり方はみんなこうなのでしょうか?  困ったものです。) 

    その他ジョイント用ホースを確保されたりとご苦労された様です。また、Mesaのエンジンマウントキットや付属のジョイントは私のBMPキットと同じもののようなので、REOさんの施工例は大変参考になりました。(どうもありがとうございました)

    REOさんのレトロフィットはサンケンのR-134a転換キットによるもので、R-12コンプレッサオイルをR-134aガスが溶ける性質に転換する方式です。キットには転換剤の他、R-134aアダプタやシール洩れ止め剤も添付。

    施工後も問題なく冷えているとのことです。

    施工例
    MESAのコンプレッサキット。マウントはBMPのと同じようですが、ブラケットはBMPのよりやや短いようにも見えます。(BMPのは長すぎ)

    右はコンプレッサ。 SANDENのSD-508(R-12用)。マウントはseltecと同位置です。

    左がJOINT用高圧および低圧ホース。1m 2500円とのこと。
    右は装着後の様子。

    他にドライヤ、コンデンサ<-->ドライヤ間のホースを新調とのこと。

    左はコンプレッサとホースのクリアランス。ちょっと狭いですが私のよりは多少広いような..
    右は低圧ライン。MesaのLジョイントとホースでの接続です。既存のラインにはガスチャージポートがあったのですがこれはコンプレッサ本体からチャージへと変更。
    ガスチャージの様子。コンプレッサ本体の低圧側R-12用ポートにアダプタを装着してチャージされています。
    R-134aガス800gを注入。


    おわりに
    純正のレトロフィットを選択せず、社外品によるレトロフィットを選択したことは、経済効果はまあまあでしたが、R-12用が来たり、すんなり付かなかったりと、それなりの代償があったかもしれません。まあ良い勉強になりました。
    夏本番での冷え具合は未知数ですが、ホース類等ある程度のリフレッシュも出来たので、これでしばらくは問題なくクーラーを使用出来そうです。

    レトロフィットについて以下の方にお世話になりました。ここにお礼申し上げます。

    Special thanks TWT-BPさん
    Special thanks REO さん
    Special thanks ヘラルドさん
    Special thanks 大塚専務さん
    Special thnaks Mr.Brian

    2001.05.15



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