川村渇真の「知性の泉」

浮遊思考記録−2005年01月


●2005年01月31日

忘れるのを前提とした学習方法

 システム開発の世界では、新しい技術が次々と登場する。そのため、新たに学習しなければならないことは多い。大事だと判断した技術に関しては、使う予定がなくても学習するようにしている。ただし、忘れるのを前提とした方法で。
 忘れるのを前提とするとは、忘れて困る度合いを減らすという意味だ。後から思い出せるような手立てを、学習しながら残しておく方法で達成している。実際に行なっているのは、学習内容を要約メモという形で残す方法。これを作っておくだけで、後から思い出すのが容易になるし、安心して忘れられる。
 実際に使わない技術は、忘れたくなくても忘れてしまう。せっかく学習しても、それが無駄になるのなら、学習する気が失せやすい。そうした点を改善する効果も、忘れるのを前提とした学習方法は持っている。

 この学習方法の鍵となる要約メモは、テキストファイルの形で残している。作る際に一番考慮しているのは、後から思い出しやすい形で記録すること。これに尽きる。そのため、大事な点だけを箇条書きにして、階層構造で整理する。こうした形式だと、後から見るときに、目的の内容を見付け出しやすい。
 意外に大事なのは、どの程度まで詳しく書くかの判断。その都度考えるが、あまり詳しくは書かないようにしている。主な理由は、要約メモを全体的に見ることで、関連する内容を思い出すことが多いからだ。そうした細かい点よりも、忘れると困るような本当に大事な注意点を、優先して書き残している。この方が、後から役立つ度合いが大きい。
 要約メモの作成効率も大事なので、学習しながら作ることは必須。学習しながら、要約メモを作り進む。こうすると、余計な手間がほとんど生じず、要約メモが作れる。学習の進み具合に対応して、要約メモの内容も増える結果になる。

 要約メモを作る作業には、別な利点もある。要約メモを作る際には、学習内容を整理する必要性が生じ、このことが学習の質を向上させる。この点も、要約メモを作る理由である。
 要約メモには、さらに別な利点もある。学習を途中で中断するのが容易となることだ。その時点まで学習した内容を、要約メモの形で残しておくので、後で再開する際には、要約メモを読んで思い出してから始められる。効率良く再開できるわけだ。こうした方法に慣れると、安心して中断できる。
 実際、途中まで学習して中断したままの技術が、いくつも残っている。大事な技術では、途中まででも学習しておくと、いろいろな話題を理解できるレベルに達するので、かなり有効だ。

 以上のような学習方法に切り替えてからは、暗記する必要性も少なくなった。要約メモを残しておくと、その技術の要点を短時間で調べられるからだ。年齢とともに記憶力が低下するので、忘れるのを前提とした学習方法は、今後さらに役立つことだろう。


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