川村渇真の「知性の泉」

浮遊思考記録−2003年10月


●2003年10月31日

降水確率の数値が誤解されないための配慮

 天気予報に含まれる情報の1つに、降水確率がある。雨の降る確率を10%刻みで数値化し、0〜100%までの11種類の数値で示す。
 こうした値で気になるのが、0%や100%の意味だ。素人的に考えるというか、その数値だけを見た場合(つまり、10%刻みという点を意識しないで、単純に数値だけを見た場合)、0%は「雨が絶対に降らない」で、100%は「雨が必ず降る」ではないだろうか。

 実際の意味を調べてみたら、思ったとおりだった。降水確率の数値を予測し、10%単位で四捨五入した数値を、天気予報で使うという。つまり、0%は「0以上で5%未満」で、100%は「95%以上で100%以下」となる。
 このような解釈は、科学に関係する分野をある程度まで学んだ人にとって当たり前である。10%刻みなら、%値の1桁以下を四捨五入しているはずなので、0%は5%未満だと推測できる。間違っても絶対的な0%だとは思わない。
 しかし、そうでない人にとっては、絶対的な0%や100%と誤解する可能性が生じる。理想的には、適切な解釈を、世の中の全員に覚えさせる方法だろうが、実際には不可能だ。だとすれば、誤解を防ぐような伝え方を工夫するのが、現実的な対処となる。

 どのような伝え方が考えられるだろうか。1つは、表現を改良する方法だ。「0%」ではなく「ほぼ0%」というのはどうだろう。絶対的な0%ではないことが伝わる。ただし、数値以外の文字が入るため、少し変な感じを与える。
 別な方法として、0%と10%の区切りを変える手はどうだろう。5%未満ではなく、1%未満とか2%未満に変更する。こうすると、0%と表示されるのが、本当に0%に近い場合だけになる。絶対的な0%だと解釈する感覚に近付く。また、余計な言葉を加えないで表現できるので、非常に良い。
 0%に関してだけ説明したが、100%の場合も同様に考える。区切りを変える方法なら、90%と100%の区切りも、95%以上ではなく、98%以上や99%上に変更する。

 実際の天気予報を見ていると、0%が出る機会がかなり少ない。もしかしたら、0%と10%の区切りの意識的な変更を、すでに導入しているのかも知れない。だとしたら、なかなか良い判断だと思う。
 天気予報のように誰もが利用する情報は、値の正確さよりも、誤解を防ぐ意味も含めた解釈の正しさを優先すべきだ。そのために、工夫できる点はいろいろあるだろう。


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