川村渇真の「知性の泉」

浮遊思考記録−2002年10月


●2002年10月25日

気持ちを変える自分なりの方法を用意する

 人生は長く、いろいろなことが起こる。その中には、落ち込んだり、悲しくなったり、怒りが爆発する出来事もある。そんなときは、いかに早く復帰するかが重要だ。ある程度長く生きてきて、それが一番だとの結論に達した。長く落ち込んだり悲しんだり怒ったりしても、時間を浪費するだけで、何かが得られるわけではないからだ。この種の経験は大切だが、それを長引かせる価値はほとんどない。
 素早く復帰するためには、状況に応じた方法を用意すればよい。元気の出る、安らぐ、冷静になるなどの方法を。これらの具体的な方法は、人によって少し異なるだろうから、自分なりの方法を用意するしかない。

 多くの人に共通しそうな方法もある。それは、目的に適した音楽を聴く方法だろう。もちろん、人によって曲は違うし、得たい効果によっても曲が異なる。1曲だけだと飽きやすいので、何曲も用意した方がよい。
 私の場合、元気の出る曲として、キース・ジャレット・トリオの「Standards Vol. 1」に含まれる「God Bless The Child」を一番使っている。他に、ビル・エバンスなどジャズ系のライブ演奏がある。安らぐ目的の曲としての一番は、キース・ジャレットのソロ演奏「ケルン・コンサート」のPart 1だ。冷静になる曲は、残念ながら見付かっていない。効果は小さいものの、ジャズ系で演奏を静かに聴かせる曲を、今は利用している。
 こうした役割の曲は、普段聴いているときに見付ける。聴いた後でどんな風に自分が感じるかを冷静に判断し、役立ちそうな曲を選ぶ。こんな意識で聴いていると、目的に適した曲が見付かりやすい。

 気持ちを変える他の方法として、何かに集中するのも効果がある。代表的なのは趣味への没頭だろう。好きなことを続けると、気分が良くなりやすいからだ。
 集中する対象は、趣味に限らない。好きなことを考えるのも良い方法だ。私の場合は、面白いと強く感じられるライフワークを持っているので、その時点で一番興味のあるテーマについて、深く考察する方法を用いている。これは、怒っているときに一番効果がある。とはいうものの、最近では昔より相当に怒らなくなったので、効果を使う場面は少なくなった。
 怒らなくなったのには理由がある。セコイ行為などをする人間は、相手をする価値のない、レベルの低いアホだと思うことに決めているからだ。当然、そう思うだけの理由があるので、無理矢理に信じ込ませるわけではない。この方法も、気持ちを変えるのに有効だ。
 他にも、探せばいろいろ見付かるだろう。それらを複数用意すれば、一緒に用いて大きな効果が得られる。種類が多いほど厳しい状況の際に役立ち、より短い期間で抜け出せる。

 以上のような方法だが、それだけでは大きな効果を発揮しにくい。そのため、自分の状況を冷静に分析して、このまま悩み続けたり怒り続けることに価値があるかを考えてみる。おそらく、続けることに関しては、価値がないと判断できるだろう。自分にとって損なことだと。
 このように考えることが、実は重要なのだ。そのうえで、自分に合った気分転換方法を実施すれば、その効果を最大限に拡大できる。すべては、自分の気の持ちようなのだから。


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