川村渇真の「知性の泉」

この世の奇妙な事件事故


世界中では、事件や事故が毎日のように発生している。中には「ホンマかいな」というような信じられないような内容もある。とくに面白いのが、人間が関係する事件や事故だ。そこで、人々が興味のありそうなものを集めてみた。これらを参考にして、事件や事故に巻き込まれたときの対処方法を考えよう。


●豹変した埼玉県警を犯罪集団が絶賛

 桶川の女子大生殺人事件では、上尾署の警察官が被害者を鼻であしらい、結局は見殺しにしてしまった。しかし、あるテレビ番組の報道がきっかけとなり、社会の大きな問題に発展したため、埼玉県警も仕方なくミスを認めた。
 その後、被害者の両親は、国家賠償訴訟を起こした。それがきっかけで、埼玉県警の態度が豹変した。一度認めたミスを、真っ向から否定したのだ。そればかりか、ストーカー行為はなかったとか、被害者の状況は危険でなかったなどと、新たなウソを数多く織り交ぜた発言を繰り返している。どうやら、埼玉県警は“世紀の嘘つき集団”に変身したようだ。裁判では、白々しいウソでも平気で口にする警察関係者が、次々とウソの証言をしているという。
 そんな中、優秀なジャーナリストの取材により、被害者を鼻であしらった警察官の多くが、加害者が経営していた風俗店の常連客で、加害者から無視するように頼まれていたことが明らかになった。被害者を助けなかったのは、職務怠慢が理由ではなく、風俗店で優遇してもらいたかっただけのようだ。
 このことが世間に広まり、犯罪者の集団からは「埼玉県では、警察官に風俗店を斡旋すれば、どんな犯罪を犯しても安心」と思われるようになった。また、「我々にとっては、埼玉県こそ、犯罪やり放題の天国地区だ。とくに、埼玉県警の態度は素晴らしい」と、絶賛する声明を出した。
 今では埼玉県民の多くが「我々の地域は、いったいどうなるんだろう」と大きな不安を抱えている。しかし、埼玉県警の関係者は、そんな不安など知らないフリして、ウソの証言を言い続けている。

●過酷な選手起用を推進する高校野球甲子園大会

 高校野球の甲子園大会では、優秀な選手を過酷な起用でダメにすることなど、まったく気にしていない。とくに悲惨なのが、勝ち上がってきた投手だ。準々決勝あたりから毎日の連投が求められ、延長になると極めて悲惨になる。主催者側が、そうなっても気にしないのは、「体の酷使によって根性を鍛える」という画期的な精神鍛錬方法を推進しているためだ。もし体を壊して選手生命が絶たれたとしても、「強力な根性が身に付いたので大成功」と判断するらしい。
 しかし世間では、連投に対する批判がどんどんと大きくなっている。これに怒った主催者側は、根性の付け方を強化するために、大会の運営方式を改良することにした。今まで以上に過酷な選手起用で、もっと凄い根性を身に付けさせるルールへと。
 より過酷な選手起用を実現するために、究極の過密スケジュールが採用された。新しいルールでは、甲子園球場を24時間運営し、すべての試合を連続して行う。夜の試合は昼より有利なので、球場の照明施設を数倍に増やし、昼間に近い明るさを実現した。また、強烈な熱風を送る暖房装置を設置して、昼間の暑い状態との格差を是正した。
 これだけでは不十分だと考え、選手自らが率先して過酷な起用へ応える仕組みも加えた。最優秀選手に相当する究極根性選手を選んで、最終日に表彰する。賞金は、現金で10億円だという。さらに、受賞選手の監督と学校へも10億円ずつ与え、学校ぐるみで過酷な起用を優先する状況を作った。この賞の創設により、無理して連投する投手が激増した。多くの監督や選手が「優勝するよりも10億円の方がいいよ」と語っている。まさに、狙いどおりの効果だ。
 主催者側は、「甲子園大会の期間が約1/3に減り、選手や応援団の費用も削減する」と強くアピールし続けている。しかし、選手の体を気遣う多くの人は、「こんな甲子園大会なんて、何の魅力もない。無視していいんじゃない」と、あまりのひどさにあきれ顔だ。

●大学教官に分数テストを受けさせようとした学生達

 分数のできない大学生が話題となったとき、ある学生が「大学教官の中にだって、分数ができない人がいるのでは」と思った。続けて「だったら、俺たち学生だけでなく、教官にも分数のテストを受けてもらおうよ」と考えたのは、自然な発想だった。さっそく行動を起こし、賛同する学生の仲間を数多く集めた。
 数ヶ月後、学生が主催する分数テストへの参加を、各大学の教官に求めた。ところが、多くの大学が共同して、大反対の運動が起こった。主な反対理由は「大学教官を侮辱している」だという。もちろん、学生側は納得しない。あきらめずに要求し続けた。
 ある教官は、匿名を条件に、教官側の内情を教えてくれた。「オレは受けても構わないんだけど、分数のできない大学教授が出たらどうするんだって、不安がる意見が大半なんだ。分数ができそうもない教授が中心となって、反対しているんだけなんだけどね」と。また「ある教授なんか、最悪の場合を考えて、分数の勉強を始めたよ。今、オレが教えてるけど、理解力がイマイチだね。学生に教えるより大変だよ」とも語った。その教官は、分数のできない教官のために、「大学生のための分かりやすい分数教室」という支援サイトを用意した。もちろん、表向きは学生向けだが、本当の目的は大学教官の支援だ。その証拠に、サイトの扉ページには「名前を知られたくない学生のために、教官が代理で質問しても構いません」とある。
 この件を知った学生側も、対抗するサイト「大学教官のための分かりやすい分数教室」を開いた。分数のできる学生が、分数のできない大学教授に教える形の対話形式を採用している。大学教授の横柄な態度にもかかわらず、心優しい学生が丁寧に教えているという、皮肉を込めた設定での解説だ。学生達に大ウケしているのは、言うまでもない。
 大学の教官側は、学生の要求を却下し続けた。それと並行して、運動に加わっている学生に圧力をかけ、運動に参加すれば卒業させないと脅した。その結果、参加する学生が急激に減って運動は消滅した。残念だが、この事件は世の中に知られていない。その最大の理由は、教授の不祥事などが起こっても根本的に改善せず、徹底的に隠そうとする大学教官の得意技が発揮されたためのようだ。

●何でも食べてアピールする日本の大臣

 日本の大臣には、世界に類を見ない伝統がある。安全などを国民へのアピールとき、関係する何かを自分が食べて見せることだ。過去には、貝割れ大根がO157に汚染されていたとき、貝割れ大根を食べて見せた。また、狂牛病問題が発生したら、牛肉を食べて見せた。
 最近では、それがエスカレートして、何でもかんでも食べるようになった。国土交通大臣は、トンネル内のコンクリートが落下したとき、粉末状にしたコンクリートを食べて見せ、「このとおり、全国のトンネルは安全だ」と宣言した。財務大臣は、日本の国債が格下げされたとき、国債の紙を食べて見せ、「日本の国債は、美味しいので価値が高い」と吠えた。また、金融不安が大きくなると、1万円札を毎日1枚ずつ食べて見せ、「毎日食べているが、1万円札の味は落ちていない。日本の金融業界は絶好調だ」と毎日繰り返した。文部科学大臣は、曲解が多く含まれる教科書を認定したと責められると、その教科書を食べて見せ、「これだけ美味しい教科書に、間違ったことが書いてあるはずがない」と主張した。法務大臣は、他人による勝手な結婚届の痕跡が消せないことに文句を言われ、戸籍謄本の写しを食べて見せ、「私が戸籍謄本の写しを食べたので、もう何も心配ない」と意味不明な発言をした。
 これらの現象を見た専門家は、政治家の多くが「国民はだましやすいアホだと思っているから、こういった行動をするのでは」と分析している。また、「実際には、こんな方法でアピールしている大臣の方がアホなのに」とも付け加えた。

●縄文人がiMacを使っていたとの大発見

 日本の考古学学会には、歴史的な発見を繰り返す凄い男がいる。学会関係者には「加味(かみ)の手」を持つ男と呼ばれて尊敬され、遺跡から新しいものを次々と発見して、日本の歴史を塗り替えてきた。「加味の手」とは「どんな物でも味付けして考古学に加える手」という意味らしい。
 そしてついに、日本の考古学史上で最大の発見をした。縄文時代の遺跡の中から、iMacの筐体の一部を見付けたのだ。それを受けて考古学学会は、「縄文人はiMacを使っていた」という衝撃的な内容を、世界に向けて発表した。これを聞いて一番喜んだのは、iMacのパクリ商品を販売していたソーフェイク社だ。「我々はiMacをパクッたのではなく、縄文人が作ったパソコンを真似ただけだ」との声明を出した。
 翌月になると、「加味の手」を持つ男は、プログラムのソースコードが書かれた木簡を発見した。考古学学会も歓喜し、「縄文人はアルファベットを知っていたし、プログラミングもしていた。使っていた言語はC++だった」と発表した。
 こうした一連の発表は、日本の民族主義者を喜ばせた。その一部は、「我々の祖先の縄文人は、半導体を製造していたし、プログラミングも行っていた。凄く優秀だ。世界一優秀だと証明された」と、黒い車に乗って毎日スピーカーで怒鳴っている。多くの国民が迷惑がっているにもかかわらず。
 今後は、考古学学会が一丸となって、iMacを動かしていた電源装置や製造装置の発掘を目指すという。外国の考古学学会から冷たい視線が向けられているものの、気にする様子はまったくなさそうだ。

●旅行者に拳銃を渡す、米国の入国管理局員

 米国では、拳銃で撃たれて死亡する外国人旅行者が増えているものの、米国人の常識は「自分の命は自分の銃で守れ」なので、気にする人はほとんどいない。しかし、外国の政府があまりにもうるさいので、米国政府は仕方なく、米国流の対策を実施することにした。それが、入国する際に、拳銃と何発もの銃弾を渡す方法だ。
 当然、拳銃なんて撃ったことのない旅行者も多い。そこで、撃ち方の練習場を空港や駅に併設し、一定レベルに達しないと入国を許可しないルールとした。拳銃の撃ち方を習得すると、パスポートに合格印が押され、次回からは拳銃を受け取るだけになる。
 かわいそうなのは、飲み込みの遅い人。撃ち方の習得に何日もかかると、それだけで全日程を消費してしまい、入国できないまま帰る羽目になる。最近では、こんな現状が世界中に広まり、旅行者の特徴が変わってきた。拳銃を撃つのが目的の旅行客が増えて、旅行者同士の銃撃戦が市街で頻発しているという。命が惜しいなら、米国旅行は避けた方がよさそうだ。
 ちなみに、貸し出す拳銃と銃弾だが、もちろんダダではない。拳銃の借用料金に加え、撃った弾丸の消費料金を払う必要がある。ロビー活動の得意な全米ライフル協会を助けるための事業という性格もあるらしい。たいていの空港では、大金さえ積めば、バズーカ砲やロケット・ランチャーも貸してくれるという。どうやら米国は、戦争好きの人にとって、たまらなく楽しい国に変身したみたいだ。

●消火が終わったのに派遣された消防団

 某国の政府は、毎年巨額の費用を使って、独自の消防団を維持している。多額の資金を投じ続けたため、凄まじい消火能力を持った消防車や、名人のような技が使える消防士などが揃った。こんなに凄い消防団だが、世間で起こった火事を消したことはない。法律によって、政府の建物だけしか消火できないばかりか、その建物の外へも出てはならないと、決められているからだ。また、消防団とも名乗れないので、自消団(じしょうだん)という名前を掲げている。
 あるとき、凄い大火事が発生した。あまりにも大規模な火事だったので、既存の消防団だけでは短期間で消火できない。それを見た首相は、以前からやりたかったことが実行できると判断した。自消団を派遣して、大火事を消火させることだ。
 一番大変なのは、法律の改正。自消団の機材は非常に特殊で、消化の能力は極めて高いものの、消火作業で自消団員に大きな危険が伴う。「政府以外の火事を消火して、政府の仲間である団員が死んでもいいのか」という反対意見が絶対に出る。また、自消団員たちも、命をかけてまでは行きたくない。にもかかわらず首相は、必死で説得するとともに、強行突破で法律を変えてしまった。
 当たり前だが、新しい法律が採決されるまでに時間がかかった。その間に、例の大火事をほぼ消火し終わってしまった。しかし、首相の目的はあくまで、消火へ参加した実績を作ること。だから、消し終わったにもかかわらず、自消団の主力を送り出した。
 せっかく行ったものの、既に消火し終わった後なので、自消団にはやることがない。その現場にはまだ、一部の消防団が残っていた。自消団員たちは、そのまま帰るのが恥ずかしいと思い、「せっかくですから、帰り用のガソリンでも差し上げます」と、消防団の消防車にガソリンを分けてあげた。
 消防団の団員は「何しに来たんだろうね」と思ったが、ガソリンをもらったので、悪く言うのはやめにした。この件は国営テレビ放送のニュース番組で取りあげられ、消防車にガソリンを補給する様子が全国に放映された。大火事を消した場面は放映されないのに。その放送を見た首相は「自消団の素晴らしい活躍は、大いに役に立った」との声明を出し、非常に満足した様子だった。
 残念ながら、この国には、“活動の成果を適切に評価する”という伝統がまったくない。そのため、国民の多くが「何か変な感じだけど、まあいいかぁ」と思っただけで、問題として追求されることはなかった。

●多数の保守系国会議員が着ぐるみ姿で靖国参拝

 毎年8月15日になると、保守系の国会議員が靖国神社に参拝する。その際には、公人としてか私人としてかなど、どんな考えで参拝するかが問題にされる。また、公人でも私人でもダメなのでは、という意見も出ている。
 こうした批判を交わすために、「人間ではなくパンダとして参拝する」という議員が現れた。当然、「なんだよそれ〜」と突っ込む意見が続出。しかし、「当日になれば分かるさ」と不気味な笑いで答えるだけ。そして参拝の日には、パンダの着ぐるみ姿で登場し、周囲をあっと驚かせた。
 普通の人にはバカにされたようだが、他の参拝議員には「そうかぁ、この手があったか〜」と感心される結果に。次の年から、いろいろな立場で参拝する議員が続出した。「人間ではなく、明太子として参拝する」と表明した議員は、真っ赤な明太子の着ぐるみ姿で参拝した。「人間ではなく、ロウソクとして参拝する」と表明した議員は、大きなロウソクの着ぐるみを身に付けて登場。ロウソクの上部には実際に火がついていたため、火事にならないかと多くの人が心配した。「人間ではなく、ボーリングのボールとして参拝する」と表明した議員は、大きなボールの着ぐるみ姿で現れた。そのまま転がって回り、近くにいる人を倒しながら「ストラーイク」と叫んで、ひんしゅくを買っていた。「人間ではなく、便器として参拝する」と表明した議員は、和式便器の着ぐるみを身に付けていた。過激なウンコの臭いまで付けるほどの徹底ぶりで、その意気込みは感じられるが、周囲の人には臭くて大迷惑だった。着ぐるみの対象はどんどんとエスカレートして、新しい試みで世間を驚かす議員が毎年必ず登場する。
 このようにして、着ぐるみ姿で参拝する議員がどんどん増え続けている。8月15日の靖国参拝は、いまや保守系国会議員の着ぐるみショーと化している。新しい工夫を期待する熱狂的なファンまででき、着ぐるみ姿を見るためだけに、わざわざ遠くからやってくる。もっと凄いファンは、「国会議員の着ぐるみショー」という電飾付きの大きな看板を作って、当日に掲げるほどだ。
 こんな様子を見た専門家は、純粋な政治活動で成果を上げられない国会議員が、何とか目立とうとしているのでは、と分析している。夏の暑い最中に着ぐるみを身につけるのだから、相当に大変なはず。そこまでして自己アピールする努力だけは、分かってあげていいかも。

●イチロー対策でルール変更を検討中の米メジャーリーグ

 米メジャーリーグに行っても、大活躍するイチロー選手に、マリナーズ以外の球団が悲鳴をあげている。イチロー選手が日本製サイボーグではないかと疑い、レントゲン検査まで受けさせてしまった。結果は当然、普通の人間。しかし、多くの監督はいまだに信用しておらず、マリナーズのオーナーである任天堂が製作したと思っている。「普通の人間ではない以上、特別なルールを適用すべきだ」と言い出し、いろいろな特殊ルールの案を検討し始めた。
 最初に挙がったのは、イチロー選手のアウトだけ二人分として扱う案だ。たとえば、1アウトのときイチロー選手が三振すると、3アウトに達してチェンジとなる。しかし、この方式だと、イチロー選手が今よりも真剣に打つようになり、さらにヒットが増え、もっと打率が上がる可能性が高いとして、あっさりと却下されてしまった。
 次に挙がったのは、イチロー選手が打つときだけ2ストライクでアウトにする案だ。通常は3ストライクでアウトなので、並の選手ならかなり重いハンデ。しかし、イチロー選手は、ファールで逃げるという芸術的な技を持っているため、あまり効果がないと判断された。仕方がないので、ファールも5つ目でアウトになるルールを加え、何とか使えないかと再検討している。
 得点圏打率が非常に高いのも、イチロー選手ならではの特徴だ。これを阻止するために、イチロー選手が打席に入ったとき塁上にいたランナーは、自動的にアウトにするルールが考え出された。たとえば、ノーアウト満塁でイチロー選手に打順が回ると、ランナー全員がその場でアウトになり、即チェンジだ。もし2アウト満塁なら、単にチェンジになるだけでなく、余った2アウト分は次の回に繰り越され、2アウトのランナーなしでイチロー選手の打席が始まる。これは相当に良い案だと、各チームの監督から支持されている。
 ルールを変更する方法ではなく、物理的なハンデを与える案も検討されている。最初に挙がったのは、短いバットしか使わせない案だ。通常より30cmも短いバットしか与えなければ、いくらなんでも、ヒットを生み出す驚異的な技が使えなくなるだろう。ただし、30cmでは不十分で、少なくとも50cmは短くしなければダメだと、一部の監督から意見が出されている。「いっそのこと、イチロー選手だけ素手で打ってもらったら」と言う監督まで出る始末だ。
 別なハンデとして、1塁までの距離を3割増にする案も挙がった。0.5塁ベースを特別に用意し、1塁側ラインの少し遠くに置く。イチロー選手だけ、0.5塁ベースを踏んでから1塁ベースに行かせるハンデだ。1塁までの走る距離が増えた分だけ、内野安打が減るだろう。対戦相手の多くの内野手がホッとする案である。
 もう1つ挙がったハンデは、イチロー選手の両足に5kgずつの重しを付けるという案。こうすれば速く走れないので、内野安打や盗塁が減るというわけだ。ただし、素晴らしい送球やバットコントロールは邪魔できないので、手にも5kgずつの重しを付けるべきだと、数人の監督から意見が出されている。
 以上のように、イチロー選手の大活躍は、メジャーリーグに特殊ルールを検討させるまでに発展した。ここまでやらないと、イチロー選手の活躍は止められそうにもないからだ。もっと活躍すれば、さらに強力なルールが検討されるかも知れない。また、イチロー選手を日本製サイボーグだと信じる米国人が、今よりも増えるはずだ。
 なお、現地の専門家は「もし検討中の新ルールが採用されれば、次は佐々木投手への特殊ルールが用意されるだろう」と分析している。佐々木投手も昨年、日本製サイボーグではないかと疑われ、レントゲン検査を受けさせられたそうだ。もちろん、こうした情報はメジャーリーグの超極秘事項で、米国のマスメディアにすら公開されていない。

●赤ん坊による乱射事件が発生

 米国では、小学1年生が同級生を銃で射殺して世間を驚かせた。しかし、この程度の事件で驚いてはいけない。銃社会の米国には、信じられないことが次々と起こるのだ。小学一年生に続いて、3歳の子供が射殺する事件も発生した。専門家は「銃犯罪がどこまで低年齢化するのか、まったく予測できない」とコメントしていた。
 そしてついに、生まれたばかりの赤ん坊が銃で人を殺す事件まで発生した。何と、犯人の赤ん坊は、母親のお腹の中から、拳銃を持って生まれてきたのだ。生まれた瞬間に銃を乱射し、出産に立ち会っていた産婦人科医と看護婦を射殺してしまった。撃たれた医者と看護婦は、逃げる余裕など1秒もなかったという。気になる銃の入手先だが、未だに分かっていない。
 この事件は、米国の病院業界に衝撃を与えた。事件発生後には、どの病院の産婦人科医も看護婦も、防弾チョッキを着て出産に立ち会うようになった。また、出産前の妊婦を必ずレントゲン撮影して、お腹の中の赤ん坊が銃を持っていないか調べるようにもなった。さすがに銃社会を自慢する米国、生まれる前の赤ん坊にまで銃が普及しているとは恐れ入った。あまりの凄さに言葉が出ない。

●上尾市民が近隣地区の警察署に駆け込む

 上尾市で起きたストーカーによる殺人事件の真相を取り上げたテレビ番組によって、市民が助けを求めても、鼻であしらう上尾警察署の態度が明らかになった。市民が証拠を持参して訴えても、相手を告訴してお願いしても、警察は真剣に聞いてくれない。それどころか、告訴を取り下げるように言われてしまうだけだという。
 こんな態度を知った市民は、困ったことが起こっても、上尾警察署には行かなくなった。代わりに、隣の地区の警察署へ飛び込み、何と助けてほしいと訴える。困惑したのは、飛び込まれた近隣の警察署だ。管轄外なので、上尾警察署に行くようにと言うしかない。しかし、市民は引き下がらない。「上尾警察署に助けを求めても、見殺しにされるだけです。実際、桶川の○○さんは殺されてしまいました。私は死にたくありません。アナタも人間でしょう。管轄外なんて言わず、何とか助けてくださいよ〜」と命乞いをして泣き続ける。あまりにも可哀想なので、忙しいにも関わらず捜査するのだという。逆に上尾警察署のほうは、暇を持てあまして開店休業状態らしい。
 今回の事件をきっかけに、犯罪者のほうでも、上尾市で事件を起こせば警察が捜査しないかも知れない、と考えるようになった。最近では「犯罪するなら上尾市で」が合い言葉になっているとか。こんな状況では、市民の不安が増すばかり。今後どうなることやら。

●コンクリートのカナヅチ検査員を100万人も緊急募集

 新幹線トンネルに代表されるコンクリート落下事故を防止しようと、コンクリートの検査を徹底することになった。すべてのコンクリートを毎週1回の頻度で検査するのが目標だ。日本中のトンネルや橋桁などを検査するには、全国で約100万人もの検査員が必要となる。人間の命に関わることなので、やらずに済ますわけにはいかない。100万人の緊急雇用が、政府主導であっさりと決まった。雇用の財源には、得意としている赤字国債の発行で対応するらしい。
 カナヅチでたたく検査方式のため、大工の経験者を優先して採用するようだ。しかし、それだけでは大幅に不足する。素人の中から、カナヅチのたたき方が上手な人を選ぶしかない。こうした募集内容を公表し、全国的な募集が始まった。発表された後、再雇用を手伝っている企業が中心となり、カナヅチのたたき方を教える講習会を開きだした。リストラなどで解雇された人も、何とか採用してもらおうと、カナヅチでたたく練習を自宅で始めている。
 そのため日本中の至る所で、カナヅチを持って何かをたたいている人を見かけるようになった。山手線の車内では、約2割の乗客が、カナヅチで何かをたたきながら乗車しているほどだ。都会のレストランでも昼食時になると、食事客の約3割がカナヅチでテーブルをたたきながら食事をする。テレビ番組でも、カナヅチで上手にたたく方法の紹介が、高視聴率を出し続けている。リストラを進めている企業では、辞めてほしい人にカナヅチをプレゼントするのが当たり前となった。
 長年の手抜き工事が、現代社会にここまで影響を及ぼすとは、あまりにも凄まじい。その道の専門家によると、日本では手抜き工事が今でも横行しているので、コンクリートの早期劣化による事故は永遠に続くという。カナヅチ検査員の地位は、当分安泰のようだ。
 なお、100万人の雇用に合わせ、講習用や予備も含めてカナヅチを300万個も緊急発注したという。おかげでカナヅチ業界は、落下事故景気に沸いている。

●常軌を逸した世紀末的カリスマ・ブーム

 出版社が中心となって仕掛け、ミーハーな人が調子に乗って生み出したのがカリスマ現象。大したことない人まで含め、何でもカリスマと呼んでしまうのが最大の特徴だ。最初のうちはカリスマ美容師やカリスマ・ゲーマーが対象で、それなりに納得できるテクニックを持っていた。しかし、普通の人にまで対象が広がって、カリスマOLなどを生み出した。
 この傾向がエスカレートし、とんでもない人までカリスマと呼ばれるようになった。代表的なのがカリスマ警官で、その人に逮捕してもらおうと、本人の前で人を襲ったり何かを盗む人が現れた。また、カリスマ・ホームレスと一緒に路上で寝泊まりする多数の女子高生が、週刊誌の話題をさらった。カリスマお産婆さんに夢中になった男性は、お腹に綿を詰めて妊娠したと訪問するほどだ。
 こうしたカリスマ現象はさらに過激さを増し、人間以外も対象となった。代表例は、東京駅のトイレにあるカリスマ便器で、そこでウンコしたいミーハー女子高生が長い列を作って毎日並ぶ。ある老人が持っているカリスマ・ハエ叩きも話題となり、それでたたかれたい多くのミーハー小学生が休みのたびに通っている。カリスマ・バキュームカーが置いてある車庫には、それに吸い込んでもらおうと社会人が何百人も訪問する。週刊誌で話題となったカリスマ・紙オムツも売れに売れ、幼児用の紙オムツだが、いい大人が何人もズボンの上からはいている。かなり奇妙な姿に見えるものの、本人たちはまったく気にしてないらしい。
 これだけ大きなカリスマ・ブームだが、最初にカリスマと呼ばれた人の一部は、単なるブームでしかないと理解し、醒めた目で見ている。大きく騒いでいるのは、出版社の編集者とミーハーな読者だけのようだ。こんな風に常軌を逸した行動が続くのを見て、普通の人は世紀末を感じている。

●住宅密集地の安アパートの一室でウラン臨界事故が発生

 原発材料のコスト競争がしだいに激しくなってきたので、できるだけ安く生産しなければならない。究極の低コストを目指す企業では、ボロい安アパートの一室で作業することを選択した。ステンレスのバケツを使うのは当たり前。人件費を低く押さえるために、原子力のことなどまったく知らない素人ばかりを作業者として集めた。もちろん、危険を知っている企業幹部は、遠く離れた場所に住んでいる。
 普通に考えると、安アパートの一室での生産など認められるはずがないと思うだろう。それは大間違い。作業場所を申請するとき、検査担当者を料亭で接待すれば簡単に許可される。いかにも日本的な抜け道だ。こうして、安アパートでのウラン燃料の生産が可能となった。
 当然のことだが、安アパートの近所に住んでいる人には、原発材料を生産していることなど知らせない。そしてついにウラン臨界事故が発生し、多くの人が放射線で被曝した。アナタの近所でも、原発材料を隠れて生産しているかもしれない。日本国内で放射線被曝の心配から逃れるには、人里離れた山の中とか、誰も住んでいない離れ小島に移住するしかなさそうだ。

●電車の利用者へ強制的にヘルメットをかぶらせる

 トンネル内を走行中の電車にコンクリート破片が落ちる事故は、世間に大きな衝撃を与えた。電車には安心して乗れないと思う利用者が増えたため、対応を迫られた鉄道会社では、何か対策を実施しないと世間体が保てないと悩み、画期的な解決方法を生み出した。電車に乗る全員に、乗車中はヘルメットをかぶらせる方法だ。コンクリート破片の落下は避けられないと判断し、ヘルメットをかぶらせる対処を選択した。もし利用者が拒否すると、筋肉モリモリの乗務員が現れて無理矢理に着用させるので、抵抗しても無駄。素直に従ったほうがよい。
 ヘルメットをかぶることで、いろいろな問題も発生している。女性はヘアスタイルが乱れるため、電車を敬遠するようになった。また、カツラを付けている男性だと、ヘルメットを取るときにカツラまで一緒に外れてしまい、バレて恥ずかしい思いをする。こんな男性も電車を敬遠するようになった。しかし最近では、電車を避けるとカツラだと思われるので、誰もが我慢して乗っているらしい。
 こういった状況にも関わらず、鉄道会社は高らかに安全を宣言した。「全員のヘルメット着用で、コンクリート破片が落ちてきても大丈夫。安心して電車に乗ってください」と。もちろん、バカバカしくて誰も信じていない。変な対策しかできないのは、それ以外にどうしようもないからだ。鉄道会社の広報担当者は、本音で「手抜き工事のために、こんなに苦労するなんて。とほほ」と話している。工事を担当した企業は、どれぐらい危ないのか知っているため、社員の電車利用を裏で禁止しているという。専門家によると、何も知らない普通の人だけが被害を受けるという典型的な例だとか。

●有名大学の学生になった、奈良の大仏様

 日本の某有名大学は、超人気芸能人を入学させ、ほとんど出席しなくても気にしないことで世間の話題をさらった。これに負けまいとして、別な有名大学では新たな行動に出た。世の中で有名なら、人間以外でも入学を認めることにしたのだ。大学の理事会で検討し、「どうせ人寄せパンダなんだから、何だっていいんじゃないの。人間以外でも」との結論に達したという。白羽の矢が立ったのは奈良の大仏様で、大学のほうから入学を誘った。実際の通学は無理なので、管理者にお金を払って入学を認めさせただけのようだ。別の有名大学でも同じ制度を作り、対抗意識をむき出しにしている。「うちは世界規模で物事を見てるからね」と、自由の女神像、ナイアガラの滝、エジプトのピラミッドなどを次々と入学させている。入学希望者向けのパンフレットで「自由の女神と一緒に勉強しよう」と宣伝し、学生を集めようとする大学まで現れた。日本の大学は、ついに未知なる領域へと踏み出したわけだ。本当に凄い!

●コメの銘柄名をその場で記入する、良心的な米屋

 多くの人が知っていることだが、コメの有名ブランドであるササニシキやコシヒカリは、実際の生産量の何倍もが流通している。本物よりも偽物のほうが多い状況なのだ。コメの銘柄が袋に書いてあっても、たいていの人は信用していない。
 こんな現状なので、思い切った売り方を始めた米屋が現れた。透明な袋にコメを入れておき、お客が注文した銘柄名と産地名を、マジックで袋に書く方法だ。お客が「魚沼産のコシヒカリをください」と言えば、目の前で「魚沼産のコシヒカリ」とマジックで袋に書く。もしお客が「やっぱり、秋田のひとめぼれがいいな」と途中で変えたら、「魚沼産のコシヒカリ」の部分を黒く塗りつぶして、その下に「秋田のどっか産のひとめぼれ」と書くだけだ。こんな売り方に文句を言うお客も、たまにはいる。そんなときは「他の米屋は、ニセの袋を仕入れて使っているが、ウチでは使ってない。中身が同じなのに、袋の分だけウチが安い。非常に良心的だろう」と豪語するだけ。お客のほうも「どこで買っても偽物ばかりだしなぁ。まあ、いいかぁ」と買っていくようだ。また、店員が忙しいときには、「買いたい銘柄を自分で書いてよ」とお客自身に書かせる。「カリフォルニア産のコシヒカリ」や「南極産の極上ササニシキ」と書いたお客もいたという。
 こんな売り方でも、成功したために業界の注目を集め、大手のスーパーやコンビニも採用する方向で検討している。いろいろと問題の多いコメの販売方法だが、新しい時代へと確実に向かっているようだ。本物かどうかさえ気にしなければ、誰もが好きな銘柄米を食べられる時代が、もうすぐ来るだろう。

●警察の採用試験に殺到する盗聴マニア

 盗聴法が成立したのを、盗聴マニアが見逃すはずはない。「合法的に盗聴できるなんて夢みたいな生活だ。警察って、いいなあ。オレも入ろっと」と考え、警察が盗聴マニアに注目され始めた。正規に就職するだけでなく、臨時雇いやアルバイトなどで、何とか入り込もうとしている。おかげで警察の採用試験の受験者は、半分以上が盗聴マニアで占められるように変わった。盗聴技術が凄いマニアは、腕に自信があるので、“いかにも”という格好で試験を受け、一発で合格する。そこそこの腕しか持たないマニアは、真面目な格好や言動で受験して何とか入り込む。
 警察に入った盗聴マニアの多くは、既存の警察官に盗聴の面白さを教えて、盗聴マニアに育てる。こんな風にして、だんだんと盗聴マニアが増えるわけだ。その道の専門家は、20年後には警察官の半分以上が盗聴マニアになるだろうと予測している。
 盗聴マニアは、どんなときでも盗聴をし続ける。そんな盗聴マニアが組織内に増えると、身近な人を誰も信用しなくなる。電話や電子メールだけでなく、普段の会話も盗聴されてる心配があるからだ。20年後の警察内部では、誰も言葉を喋らず、何でも筆談で済ませるようになるという。普通の筆談だと紙として証拠が残るため、書いた内容がすぐに消える用紙や装置にしか書かない。異様な雰囲気の組織になるだろう。
 しかし、合法的に盗聴ができる環境は他にないので、盗聴マニアにとって天国なのは変わらない。だからこそ、日本全国の盗聴マニアが警察への就職を目指している。今や、盗聴マニアにとってのステータスは警察官となった。

●米国防省に侵入したミサイルマニア

 航空機マニアが本物の航空機を操縦したいと思って起こしたハイジャック事件は、いろいろな所に影響を及ぼしている。そんな影響を受けた一人が、あるミサイルマニアだ。核弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイルを発射してみたいと、米国防省に侵入しようとした。
 手口をしっかり真似て、出刃包丁まで買い込み、国防省へ忍び込んだ。偉そうな上級士官をを出刃包丁で脅し、「この手で、大陸間弾道弾を発射したい。発射スイッチのある場所まで案内しろ」と命令した。しかし、周囲には銃を持った兵士がたくさんいて、あっという間に撃たれてしまう。国防省に出刃包丁で押し入るのは、かなり無謀だったようだ。
 数カ所を撃たれはしたものの、運良く急所は外れていたので一命を取り留めた。治療している最中も夢をあきらめておらず、「核軍縮で余ってるんだろ〜。1発だけでも撃たせてよ〜」とお願いし続けている。病的なマニアというのは、この程度のことでは、まったく懲りないようだ。

●盲導犬の代わりに盲導ゾウを提供された、犬嫌いの盲目少女

 目が見えなくなった少女は、部屋に入ったままで外出しようとしない。以前のように明るい姿に戻そうと、親は盲導犬を与えようとした。しかし、少女は犬が大嫌い。そこで、盲導犬の代わりに盲導ゾウを用意した。おかげで少女は外出するようになり、明るい姿を取り戻した。
 喜んだのもつかの間、盲導ゾウが大きすぎて、小さな商店に入ろうとすると店を壊してしまった。行く先々の家を壊し続けたため、少女は外出しなくなった。仕方がないので、盲導ゾウの代わりに盲導ライオンを用意した。今度は家を壊さないので、少女は外出するようになった。ところがある日、少女をいじめようとした男性が現れたため、盲導ライオンは男性に襲いかかって殺してしまった。おかげで少女は、再び外出しなくなった。ゾウもライオンもダメだとわかり、今度は盲導ガラガラヘビを用意した。少女が外出するようになったものの、周囲の人がガラガラヘビを見て逃げ回るので、またまた少女は外出しなくなった。次は、どんな盲導動物を与えたらよいのか、親は相当に悩んでいる。

●軍隊を常駐させて乱射事件を防ぐ米国の学校

 学校での乱射事件が何件も起きている米国では、生徒が安心して通えないと大問題になっている。親と生徒を安心させようと、学校に軍隊を常駐させることに決まった。何カ所かに監視塔を設け、マシンガンを持った兵士が常時監視している。数人の狙撃兵もいて、秘密の場所に隠れている。芝生は立入禁止に決め、地雷を埋めて「地雷原のため立入禁止」との看板を立てた。さらに大型の戦車も投入し、キャンパスを走り回らせる。こうして、生徒が犯罪行為をできないように万全の体制を整えた。
 しかし、不振な動きを見せる生徒は必ずいて、監視兵や狙撃兵に撃たれてしまう。また、ふざけているうちに誤って芝生に入り、地雷を踏んで手足を失う生徒もいる。確かに乱射事件は起きなくなったが、生徒の死傷者数は遙かに増えてしまった。どうみても失敗としか思えないが、画期的な対策だと宣伝したために中止できず、兵士に撃たれて死亡する生徒が今も出続けている。

●クリスマスの待ち合わせで相手が来ず、何年も待ち続ける男性

 クリスマスイブを楽しく過ごそうと約束しても、相手が待ち合わせ場所に来ない人もいる。通常なら、どんなに長く待っても数時間であきらめるだろう。しかし、相手が絶対に来ると信じて疑わない男性は、何日も何日も待ち続けてしまう。待つ期間が長いと、雨の日も寒い夜もある。外に立ち続けるのは大変なので、テントを買ってきて設置し、待ち合わせ場所で生活するようになった。拾った紙や木材で火をおこし、飯ごうでご飯を炊き、バーベキューなどもやる。こうして何年もあきらめないため、同じような人がどんどん増えた。おかげで、渋谷のハチ公前のような有名な待ち合わせ場所は、テントを張って生活している人だらけになってしまった。いつになったら、あきらめるのだろうか?

●患者と間違えて看護婦を手術した医者

 日本の病院では看護婦不足が深刻で、多くの看護婦は過労で疲れている。ちょっと休憩するつもりで、手術台の寝てしまった看護婦がいた。最初は短い時間のつもりだったが、あまりにも疲れていて、かなり長い時間寝てしまった。
 そのうち手術の時刻になり、患者の到着が遅れたせいもあって、寝ていた看護婦を患者だと勘違いして手術を始めた。麻酔をかけ、主治医が胸をみたとき、少し驚いて言った。「あれ〜、患者は男じゃなかったっけ」と。一緒にいた同僚の医者が「ここに来る前に性転換でもしたんじゃないでしょうか。最近は、医学が発達してますから。わっはっは」と返事をしたら、主治医は「なーんだ。そういうことかぁ。がっはっは」と納得して手術を始めた。
 体にメスを入れ、摘出する予定の腎臓を見たときに再び驚いた。「あれ〜、ずいぶんと健康そうな腎臓だなぁ」と。一緒にいた同僚の医者が再び「表向きは健康そうに見える場合もありますから。わっはっは」と返事をしたら、主治医は「なるほど。そうかもしんないなぁ。がっはっは」と納得し、腎臓を摘出した。
 手術の終わり頃に、本当の患者が運ばれてきた。「済みませ〜ん。遅れました〜。エレベータが故障してたもんですから。こちらが手術する患者で〜す」と。主治医たちの顔は真っ青に変わり、数分の沈黙が手術室に広がった。その後、何事もなかったかのように、本当の患者の手術が続けられた。さすがにプロだ。
 数日後、病院の掲示板には新しいポスターが張られた。そのポスターには、「病院関係者の皆さんへ:手術台では寝ないでください。誤って内臓を摘出されることがあります。もしそうなっても、病院側では一切の責任を取れませんので、あしからず」と。さすがに、この種の対応もプロだ。ただし、腎臓を摘出された看護婦の消息だけは不明らしい...。

●同部屋力士が多数で対戦が悲惨に

 相撲界では、同部屋の力士は対戦しなくて済む。そのため、上位力士の多い相撲部屋に入ると、強い相手と対戦する数が減る。当然、成績も向上するというわけだ。
 このメリットに目を付け、横綱や大関の多い部屋では、他の部屋に属する力士の勧誘に力を入れた。「ウチの部屋に来ると、強い力士と対戦しなくてもいいんで、成績が上がるぞ〜。いいだろ〜」と。誰もが番付を上げたいので、こんな誘惑には勝てない。一部の力士を除いて、多くの力士が1つの部屋へ移籍した。主力力士の全員が移って抜け、実質的に吸収されたも同然の部屋まで現れる始末だ。結果として、相撲界の約7割の力士が1つの相撲部屋に属する状態になった。
 大変なのは、取り組みを作る人。同部屋の力士は対戦できないので、横綱の対戦相手にすら苦労する。主流部屋に属する横綱の相手は、幕内だけでは足りずに、十両の力士も対戦相手に選ぶしかない。同様に主流部屋の平幕力士の相手は、十両でも足りずに、三段目や二段目の力士まで相手を広げる。こうして下に降りていくと、対戦相手がいない力士も現れる。主流部屋の三段目以下の力士は、相手が見つからずに、15日の全部が休みになってしまう。ただし、相手が見つからずに休みなので、番付が下がることはない。
 こうした取り組みの作り方のため、主流部屋の力士だけは、格下の相手と勝負する機会が多く、どんどんと勝って番付を上げる。そうでない力士は、強い相手とばかり当たるので、番付けを下げ続ける。下がるのがイヤな力士は、主流部屋への移籍を決心してしまう。このような流れが続くので、主流部屋の力士の比率はだんだんと向上する。現在は約7割だが、そのうちに8割、9割と進みそうだ。専門家は、最後には全力士が1つの部屋になると予測している。そうなったら、横綱ですら対戦相手がいなくなり、15日間で取り組みが1つもない場所が実現するだろう。どんなに年を取っても番付が下がらず、死ぬまで安定した位置にいられる理想的な状況に変わる。相撲界も、いよいよ新しい時代を迎えそうだ。

●門限が午後2時の家庭

 家族で過ごす時間が非常に大切だと思い、家族全員の門限を午後2時に決めた家庭がある。お父さんは、午前中だけ職場にいて、正午になったら急いで家に帰る。同僚には「ウチの門限は午後2時なんで、お先に失礼するよ」と言うようだ。医者なので手術中のこともあるが、「皆さん、申し訳ありませんが、ウチの門限は午後2時なんで、この辺で帰ります。あとはヨロシク」と言い、手術途中の患者を放って家に帰ってしまう。専業主婦のお母さんは、すべての買い物を午前中に済ませ、近所付き合いも午前中だけ。息子と娘は中学生で、午前中の授業と給食だけ出て学校から帰る。給食を食べてから帰るのは、食費を少しでも浮かすためだとか。もし学校の父兄面談が午後にあると、お父さんは「その時刻じゃ、行けねえな〜ぁ」と断ってしまう。こんな風に、ちょっと変わってはいるが幸福に生活していた。
 しかし、門限ルールが大きな不幸を引き起こした。息子が家庭内で大きなケガをし、その時刻が午後2時半だったので、救急車を呼ぶのをためらい、翌日の午前中まで待って救急車を呼んだ。当然のごとく治療が手遅れになり、息子は帰らぬ人となってしまった。その後、この事故を反省し、門限の時刻を午後3時にずらした。変えた意味はほとんどないと思うのだが...。

●覆面プロ野球選手が過激に活躍

 プロレスの覆面レスラーからヒントを得て、覆面をかぶったプロ野球選手が登場した。本名を明かさず、「ミスター○○」とか「○○マスク」といった名前で選手登録している。日本で覆面選手といえば、やっぱり悪役。そんな観客の期待に応えるために、過激な悪役プレーを何度も繰り返す。たとえば、スライディングでは、ベースでなく相手の選手をめがけてキックする。判定が気にくわないと、用意していたロープで審判の首を絞める。捕球の寸前にキャッチャーを押してパスボールさせる、といった具合にだ。相手の選手がケガをすると、大声で叫びながらグラウンドを1周する。
 平凡なプレーに飽きていた一部のファンには大好評で、熱狂的な声援を送っている。こんな状況を見て、覆面選手が次々に登場してきた。この傾向は、大学野球や高校野球にも広がると専門家は予測している。高校野球で覆面選手が数多く出るようになったら、さぞかし壮観だろう。プロ野球に刺激を受けてJリーグでも、一時期だけ覆面選手が登場した。しかし、悪役プレーはレッドカードで即退場させられ、そのまま人数が減ってチームが不利になるので、残念ながら定着しなかった。

●覆面総理大臣が米国大統領にガツンと言う?

 覆面プロ野球選手の活躍と人気からヒントを得て、ついに覆面政治家が登場した。「オレが米国の大統領にガツンと言ったるわい。顔を出してだと何も言えないけど、覆面かぶってるから何でも言えるわい!」と表明し、ダントツのトップで当選した。議員になっても同様の主張を続け、あれよあれよという間に日本の総理大臣まで上りつめた。
 覆面プロ野球選手と同様に、悪役プレーを忘れてはいない。先進国首脳会議などに出席したときは、気に入らない首脳に蹴りを入れる。四の字固めなどのプロレス技も得意で、テレビカメラの前だと、たまたま近くにいた首脳に技をかけたがる。ついに米国の大統領との対談が実現したものの、技をかけるのに夢中になり、ガツンと言うのを忘れてしまった。それが原因で急速に人気を落し、政界から消え去ることとなった。最後に残ったのは、他国の首脳に与えた悪い印象だけだったようだ。今までの総理大臣も大したことなかったので、前と似たようなものとも言えるが...。

●対佐々木投手・試合放棄事件

 日本のプロ野球で最高のストッパーといえば、横浜ベイスターズの佐々木投手。大記録を次々と作って“あまりにも強すぎる”ので、リードした試合の最終回に佐々木投手が登場すると、相手チームの選手やファンは「あ〜あ、この試合ももう終わりだ〜。家に帰ってクソして寝るしかない。とほほ〜」と思ってしまう。当然、ほとんどの打者は対戦したくない。その思いが、ついに爆発した。リードされたある試合の最終回に佐々木投手が出てきたとき、試合途中にも関わらず選手が家に帰りはじめた。最後には選手全員が帰ったため、監督は試合を放棄するしかなかった。翌日選手に帰った理由を尋ねたら、「どうせ打てないし、打率がさがるのヤダもんね〜」との回答。それを知った他のチームの選手も、同じような状況になると、試合が終わる前でも家に帰るようになった。試合を放棄したくない監督は、投手でも誰でもいいから打席に立たせようとするが、投手さえも家に帰ってしまうので打つ手がない。
 問題を深刻に受け止めた各球団とリーグの首脳は、「佐々木投手と勝負したら、1打席あたり10万円のボーナスを出す」との打開策を発表した。さらに、シングルヒットを打ったら10万円、二塁打なら30万円、三塁打なら50万円、ホームランなら100万円の賞金も用意された。これでやっと、佐々木投手と勝負する選手が出始め、表向きだけは正常な試合へと戻った。このボーナスや賞金がなくなるのは、いつのことやら..。

●W杯チケット不足事件

 サッカーのワールドカップ・フランス大会で起きた、出場と観戦のチケットが不足した事件。サポーターの観戦チケットだけでなく、選手用の試合出場チケットまでもが不足した。チケットが手に入らず試合に出場できない選手は、チケットを手配した旅行代理店に強く抗議した。「せっかく勝ち抜いて出場権を得たのに、チケットがないから出場できないなんて、ファンに何と言ったらいいんだ。何とかしろ!」と。抗議の様子はテレビで中継され、旅行代理店の担当者は「済みません。私らも被害者なんです。勘弁してくださ〜い」と泣きながら謝っていた。仕方がないので、出れない選手に一戸建ての住宅を贈呈するなど、代わりにモノを差し出すことに決めた。
 サポーターの分と同様に、世界中で一番不足したのが日本選手の出場チケットだ。これを知ったサポーターの一部が、選手にチケットを譲り、出場してもらおうとした。しかし、選手用のチケットではないと言われ、結局は観戦するしかなかった。この結果、フォワードの主力選手が出れなくて、決定的なシュートチャンスをことごとく外し、3戦全敗に終わった。チケットの手配を担当した旅行代理店は「4年後は絶対に確保します」と涙顔で訴えていた。


下の飾り