川村渇真の「知性の泉」

たまに見かける困った人


世の中にはいろんな人がいるもので、「おい、おい」と言いたくなるような人をたまに見かける。本人は一生懸命なのだが、周りからは困った人だと思われてしまう。まれに、困った人が人気者だったりするから面白い。で、気になるのは、どんな人がいるかってこと。というわけで、世界中から困った人を集めてみた。


●3塁から2塁へと盗塁する、盗塁王の野球選手

盗塁王を目指す選手は、機会があったら1回でも多く盗塁したいと思っている。3塁まで到達すると、本塁への盗塁しか残っていないが、それは無謀に近いので誰もやらない。発想を大きく変えて、3塁から2塁へと逆方向に盗塁する方法を思い付いた。逆方向の盗塁で美味しいのは、相手の野手が殺そうとしない点。もし1回でも殺そうとしたら、次回からは盗塁しなくなるので、殺せる場合でも見逃してくれる。見方選手からはブーイングだが、「また3塁まで行けばいいんだろぉ」と言うだけ。こうやって盗塁王になっても、自慢できないと思うのだが..。

●判定に困って「分からん」と言う、野球の審判

「アウト」か「セーフ」か判定できないとき、「分からん」と言ってしまう審判がいる。正直に告白する点はいいのだが、そんな判定だと選手は困ってしまう。試合を進めなければならないので、審判は「ジャンケンで決めよう」と言い出す。選手は不満顔だが、審判に逆らうと損すると思い、最終的にはジャンケンに応じるしかない。大変なのは、ジャンケンが終わってから。負けた側の監督や選手が「こんなの、ありかよ〜」と文句を言い出し、収拾がつかなくなって試合が中断する。こんな大問題に発展するが、当の審判は「でも、ウソは付きたくないから」と「分からん」判定を出し続けている。他の審判も、心の中では「判定が分かんないことって、実際にあるもんな〜。オレも同じようにやりたいな〜」と思っているらしい。

●小さな日の丸を頭に付けて生活する、学校の校長

日本の学校では、「日の丸」の掲揚と「不気味が代」を歌わせることが、校長の最大の評価基準となっている。通常は力ずくで掲揚したり歌わせたりするが、教師や生徒が反発して従わない学校もある。そんな学校の校長は、自分が頑張っているとアピールできなければ、校長の職を失いかねない。苦肉の策として、小さな日の丸を頭のてっぺんに付けて生活するアピール方法を生み出した。学校内はもちろん、どこへ出かけるときでも、普段の生活でも、小さな日の丸を頭に付けたまま過ごす。こうした努力のかいがあって、教育委員会からは「非常に素晴らしい。まさしく校長の鏡だ」と高く評価されている。高い評価が広まるにつれ、小さな日の丸を頭に付ける校長が全国的に増え始めた。もちろん、教師や生徒からは「アホみたい」と冷たい視線を向けられている。また、近所の人もあきれてしまい、話しかけられれば逃げていく。ところが、当の校長は自信満々で、周囲の人にも真似るように勧めることが多い。普通の人は無視するが、校長を狙っている一部の教師だけは真剣に真似しだした。こんな調子じゃ、日本の学校は将来どうなることやら..。

●ドアを爆破して入ってくる、宅配ピザの配達員

宅配ピザの配達では、約束した時刻に遅れると正規の料金を請求できない。それを逆手に取って、玄関のチャイムを鳴らしても、なかなか出てこない客がたまにいる。もし配達が間に合わなかった場合は、配達員のせいにされてしまい、もらえる報酬が減る。生活がかかっているだけに、配達員にとっては死活問題だ。長いこと悩んだ末に、なかなか出てこない客への対策を考え出した。玄関のドアを爆破して家に入る方法だ。参考にしたのは、犯罪者のアジトへ踏み込むときの米国の警官で、そっくりそのまま真似ることにした。防弾チョッキを着てヘルメットをかぶり、手にはモデルガンを持つといった凝りようだ。玄関を爆破して家に入る際には、「ヘーイ、助けに来たぜ〜」と叫び、自分で自分を盛り上げている。客にピザを渡すときも「もう安心だ〜。ゆっくりピザでも食べな」とカッコ付けて言う。客にとっては、玄関は壊されるし、家には土足で入るし、たまったものではない。また、運悪く玄関にいると、爆破でケガをするので非常に危険だ。ピザを注文したら、万が一のことも考え、爆破されないと確認できるまで玄関に近づかないようにしよう。

●献血するたびに痩せこける、献血愛好家

献血を募集している場所を見ると、どうしても献血しなければ気が済まないのが献血愛好家。最大の楽しみは、毎日献血しに行くことだという。何十日も続けて献血すれば、相当に元気な人でも、だんだんと痩せてしまう。しかし、献血が大好きな人にとっては、どんなに痩せこけても献血を止められない。見るからに痩せているので、献血センターの人は献血を拒否する。ところが、献血愛好家は泣きながら居座って献血を邪魔するため、仕方なしに献血を受け付けしまう。センター側では、だんだんと痩せていく姿を見てられず、栄養価の高い食事を出し始めた。痩せるのが止まるまで食事の質を上げるので、食事はどんどんと良くなる。献血愛好家は、タダで食事が食べられるし、大好きな献血もできるし、ますます喜んで来るようになった。食事を出す献血センターには、こんな献血愛好家が増えているという。献血センターで食事している人を見かけたら、献血愛好家と思って間違いない。

●ベニヤ板の箱を耐火金庫として売る、営業マン

ベニヤ板で作った箱を、どんな火災や爆発にも耐えられる耐火金庫だと言い張って、無理矢理に売りつける営業マン。訪問販売でいろいろな人の自宅にお邪魔し、金庫の実物を見せる。一目見ただけでベニヤ板だと分かるので、当然のごとく誰も買おうとしない。しかし営業マンは引き下がらず、「どんな火災でも大丈夫。保証します」と強く主張する。お客は大声で笑い、「見るからにベニヤ板じゃないか。ウソつくなよ」とバカにする。すると営業マンは急に怒りだし、「それじゃあ試してみましょう」と、お客の自宅のカーテンに火を付けようとする。お客はビックリして「何するんですか。や、やめてください」と止めるが、営業マンは「いやっ、疑いを晴らすまでは止められません!」ときかない。お客は泣きながら「金庫を買いますから、買いますから止めてくださいよ〜」と言い、金庫を買う羽目になる。自宅に上げてしまったらオシマイなので、金庫の訪問販売員は部屋に入れないようにしよう。

●好きな場所で勝手に歩行者天国を始める、歩行者

自分が気に入った場所を見付けると、どこでも勝手に歩行者天国を始めてしまう歩行者。歩行者天国の3点セットである、車止めの標識、カーネルおじさんの大きな人形、警察官の衣装を常に持ち歩いている。場所を決めたら、警官の衣装に着替えて車止めの標識を並べる。一般の歩行者をどんどんと呼び込んで、盛大な規模へと発展させる。幹線道路だろうがお構いなしに始めるため、通行する自動車にとっては大迷惑。しかし、警官の衣装を着ている人には文句を言えず、渋々とだが別な道へ迂回する。歩行者天国だと信じている歩行者には、「いやあ、高速道路で歩行者天国なんて、最近はイキなことをするね〜」とすこぶる好評だ。高速道路で渋滞に遭遇したら、ニセ歩行者天国が原因かも知れないと、同乗者に教えてあげよう。

●荷物を開けて中身を試してから渡す、宅配便の配達員

荷物を届ける前に、中を開けて見てしまう宅配便の配達員。荷物を渡すとき、「○○が入ってましたよ」とか「○○を買ったんですね」などと声をかける。もし気に入った物が入っていると、その一部を自分で試してみる。その際も隠したりはしない。「いい香りがするメロンが入ってたので食べてみました。すっごく美味しかったですよ〜」とか、「この自転車、試しに乗ったら壊れちゃいました」とか、「このブラ、ボクには小さすぎました」という具合に、感想を交えながら笑顔で荷物を渡す。本人にはまったく悪気はなく、お客へのサービスとして行っている。こんな現状を知った利用客の中には、金庫に入れたまま荷物を送る人が出始めた。中を開けられない荷物が増えてきたので、その配達員は、金庫の鍵を開ける勉強を始めた。宅配便の世界でも、激しい戦いが繰り広げられているようだ。

●生徒用の制服を着て学校に来る、高校の教師

生徒と同じ制服を着て学校に出勤する教師。制服を着る目的はいろいろだが、もっとも多いのは、生徒の気持ちを理解したいだとか。生徒から相手にされてないので、生徒と仲良くしたいと着てくる教師もいる。他の教師からは「先生と生徒の区別が付きにくくて困る」と言われるものの、止める気配はいっこうにない。通常は、男性教師が男子用の制服を、女性教師が女子用の制服を着る。しかし一部には、異性の生徒の気持ちも理解したいと思い、ガクランを着てくる女性教師や、セーラー服を着てくる男性教師も出始めている。ある男性教師は完全にハマってしまい、普段の生活でもセーラー服を着るようになった。周囲の教師が注意しても、「いやあ、なかなか良いっすよ。一緒に着ませんか」と言われるだけ。校長がハマった学校では、男性教師の全員がセーラー服で出勤している。この動きは全国に広がる気配を見せているようだ。セーラー服を着ている男性を見かけたら、教師だと思ったほうがよいかも。

●患者を脅かすのが好きな、看護婦

病気で落ち込んでいる患者を脅かすのが好きな看護婦。たとえば、注射する前に2つの薬を見せて「どっちを注射してほしいですか」と患者に尋ねる。患者が困っていると「アナタの命がかかってますから、真剣に選んでくださいね」と強く言う。間違ったほうを選んだら「ブーッ。もう少しで死ぬとこでしたよ。命は大切にしてくださいね」と続ける。注射した後でも、真顔で「あれっ、間違ったほうを注射しちゃったぁ」と脅かす。患者の中にはショック死する人も出始めているとか。こんな看護婦に当たった患者は、運が悪かったとあきらめるしかない。病院選びもギャンブル性が高くなったようだ。

●自分の銀行が潰れそうだと知らせる、窓口担当の行員

預金する人に「うちの銀行が潰れてお金が戻らなくても、怒らないでくださいね」と言う窓口担当の銀行員。預金者から「潰れそうなんですか」と尋ねられると、「分かりません。勝負は時の運ですから」と答える。預金者が「と、と、時の運なんですか〜?」と驚き、「それじゃ、アナタはどこに預金しているですか」と尋ねると、「もちろん、ほかの銀行ですよ。だって、内情をよく知ってますから」と答える。慌てて解約しようとする預金者には「だめ〜。ここから私の給料が出るんで、解約できませ〜ん」と答える。内情を正直に教えてくれるのはいいんだが、どうせなら手続きする前に言ってほしい。

●検査と偽ってレストランでタダ食いする、保健所の職員

高級レストランを相手にタダ食いばかりする保健所の職員。食事の時間に歩いていて高級レストランを見付けると、入って支配人を呼ぶ。「食中毒の抜き打ち検査に来た」と言い、メニューを出させる。注文するのはいつも、店で価格の一番高いフルコースで、年代物のワインも一緒。食べ終わったら、「私が食中毒にならなければ合格だ。協力ご苦労。問題があれば後で連絡する」と高飛車に言う。もちろん、お金は1円も払わない。デートでも利用し、恋人の分まで無料で作らせる始末。こんな風なので、保健所に勤めてから食費はほとんどかからない。本人は、「美味しいものをタダで食べられるし、保健所に入ってよかった〜」と能天気で語っているらしい。

●打席に入るとき審判に現金を渡す、野球選手

一流になるためには、技術以外にお金も必要だと思っているプロ野球選手。チャンスで打席に入るとき、「頼んます」と言いながら審判に札束を渡す。まれに、相手チームのキャッチャーに渡すこともある。受け取らない審判は多いが、とりあえず全員に試してみる。受け取る審判のほとんどが、「いつも済まないね〜」とか「毎度あり」と答えるようだ。また最近では、打席に入ったとき「いらっしゃい」と言う審判も出始めた。審判とバッターの新しい挨拶として定着するようだと恐い。

●選手に混じって勝手にプレーし始める、プロ野球ファン

お気に入りの球団の一軍選手だと信じ切っているプロ野球ファン。本物そっくりのユニフォームを勝手に作り、応援のときは必ず着て来る。途中の守備からグラウンドへ出て、好きなポジションを守り始める。本人だけは完全に同化していて、「しまって行こう。××なんてちょろいぜ〜」などと大きな掛け声をかける。有名選手も呼び捨てにして、「お前、この前エラーしたけど気にすんなよ〜」と偉そうに言う。試合を中断させるだけでなく、選手のヤル気もなくすので、そのチームが負けることが多い。非常に困った存在だ。

●仕事中に立ち小便する、高層ビルの清掃員

高層ビルの清掃中に、そこから立ち小便する清掃員。下まで降りるのに時間がかかるので、どうしても我慢できないことが大きな理由。そもそものきっかけは、降りるまでの間に漏らした人が現れたこと。かなり高いビルだと、下からは何も見えないので、気にせず堂々と小便できる。それに、上から立ち小便すると、かなり気持ちがいいそうだ。最近では、下で用をたさずに登り、わざわざ上から小便する人が多いとか。他の職場でも、似たような現状らしい。電力会社の工事員にも、電柱に登ったまま小便する人がいる。晴れた日に水滴が落ちてきたら、小便だと思ったほうがよいかも。

●飼っているワニを連れてくる、海水浴客

海水浴場の混雑がイヤで、飼っているワニを連れてくる海水浴客。ワニを放す前に、「オレの給料が安くて、肉を食べさせてやれず済まないなぁ。ここなら、服を着ていない獲物が多くて食べやすいだろう。今日は、たらふく食べろよ」と話しかける。ほとんどの海水浴客は叫びながら逃げまどい、最後には立ち去ってしまう。海水浴場はガラガラ状態に変わり、連れてきた本人はゆっくりと海水浴を楽しめる。ただし、ワニを恐がらない人も一部にいて、「いやあ、見事に空いたなぁ。これでゆっくりと泳げるぞ」と喜ぶ。この事件をきっかけに、いろいろな動物を連れてくる人が増えているという。そのためか、最近は、海水浴場で虎や大蛇を見かけることが多くなった。

●ポストの中に潜んでいる、郵便局員

勤務時間のほとんどを、ポストの中で過ごす郵便局員。一般の人が郵便物をポストへ投函すると、「ありがとね」とか「ちゃんと届けるからね」と明るく答えてくれる。郵便物によっては、「いい匂いがするよね」などと言うらしい。また、郵便番号が間違っていたり切手の金額が不足すると、ミスを教えるとともに郵便物を戻してくれるので、一部のユーザーの間では超親切と好評だ。職員がポストに入ることは正式に認められていて、もともとは出社拒否の人を救おうと考え出された制度。クビにするのは簡単だが、できれば何とか救ってあげたいとの思いやりから始まった。事務所へは体が拒絶して行けないけど、ポストの中へなら出勤できる職員が対象。出社拒否への画期的な対策として、多くの業界から注目されている。

●アクロバット飛行を始める、旅客機パイロット

ジャンボジェット旅客機の飛行中、好きなときにアクロバット飛行を始めるパイロット。まず最初に、「さあ、今からアクロバット飛行ターイム。シートベルトをしてくださーい」とアナウンスする。続けて「行きますよー」と言い、アクロバット飛行を始める。飛行中に流す音楽は、トップガンのテーマソングや、スカイハイといったノリの良い曲。何度か試すうち、心臓発作で死人が出て、大きな問題に発展した。ところが、このパイロットを指名する乗客が意外に多く、人気が出て常に満席状態。中には「いやあ、アクロバット飛行が体験できるんで、用事もないのに毎日乗ってます」という客まで現れた。今やドル箱的な存在で、そのパイロットは一番の稼ぎ頭になった。そのため航空会社は、辞めさせるかどうか対応に苦慮している。解雇されるかもとの噂が広まり、アクロバット飛行が消える前に乗ろうと、ますます混んできたようだ。乗るなら、お早めに!

●審判にでもパスする、サッカー選手

空いていてシュートコースにいるなら、相手が審判でもパスするプロのサッカー選手。パスするときに「シュートォォーー!」と叫ぶのが特徴。パスされた審判が無視してシュートしないと、「おいっ、ちゃんとシュートしろよー。まったく、使えねぇ奴だなぁ。何のためにいるんだー」と怒る。おまけに、審判でもないのにレッドカードを持っていて、シュートしなかった審判にレッドカードを出す始末。そんな行動を監督にとがめられても、「空いてる奴は猫でも使えって言うじゃねーか」と、反省する様子はまったくない。

●手術中に泣き出す、医者

難しい手術は得意なものの、予想外の状況に対しては極端に弱い医者。出術前は、「なーに、簡単ですよ。私に任せなさい」と自信たっぷり。実際に切り開いてみて予想した症状でないと、とたんに泣き出してしまう。「えーん、えーん、ボクできないよー。誰か、替わってよー」と子供みたいに泣き叫ぶ。仕方がないので、看護婦が何とかなだめて手術を続けさせようとする。赤ちゃん言葉で、「良い子はね〜、泣いちゃだめでちゅよ〜」とか、「ボクちゃんなら、やればできまちゅよ〜。手術を続けまちょ〜ね〜」と、頭をナデナデしながら話しかける。それでダメなら、「手術が終わったら〜、オモチャ買ってあげまちゅからね〜」とモノで釣ったりもする。何とか手術を終えれば、もとの自信満々に戻るから不思議だ。


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