川村渇真の「知性の泉」

将来のコンピュータでは説明技術を内蔵


将来のコンピュータでは標準装備に

 説明技術の最下位レベルの表現方法は、論理的なルールの集まりなので、コンピュータに内蔵することが可能だ。実際、自分が考えたコンピュータ(情報中心システムと呼び、内容は「思考支援コンピュータを創る」として順次公開中)では、その機能を内蔵する。
 説明技術を研究し始めたのは、まったく新しい次元のコンピュータを設計したことがきっかけだ。その中の重要な新機能として、物事を理解しやすく整理したり、構成し直すことを考えていた。それを実現するためには、理解しやすく整えることを、論理的なルールとしてまとめなければならなかった。解決方法を考えているうちに、説明技術の全体像が見えてきた。このような経過なので、説明技術をコンピュータに内蔵することは、最初から考慮していたのだ。
 ただし、最初の段階では、説明技術の最下位レベルの表現ルールしか組み込めない。個々の要素を分かりやすく表現できる機能だけだ。それでも、説明技術をマスターした人が作るものと比べ、同程度まで理解しやすい図や表が自動的に生成できる。将来のコンピュータでは、現在のワープロや表計算ソフトのように、細かな部分まで人間が指定しなくて済む。この段階を実現する基本原理は、表現エンジンという形で、既に思いついている。研究の現在の進み具合は、その中に入れる実際の表現ルールを拾い出し、分類する段階まで来ている。

次の段階では、説明内容全体の構築も支援する

 コンピュータに内蔵するのは、個別の表現ルールだけではない。その次の段階も、考え始めている。個々の要素を分かりやすく表現できると、次のレベルとしては、説明内容の全体像を上手に構築することのサポートが対象となる。どのような構成にすべきなのか、使用目的や説明相手を考慮に入れながら、説明内容の構成を整えていく。この作業を支援するわけだ。
 コンピュータ上で内容の構成を決めるため、あとから大幅に変更することも可能となる。つまり、全体の構成を何度も変更し、どのような構成が良いかを試行錯誤できる環境になる。また、同じ材料を用いながら、異なる目的ごとに別々の構成を用意することも実現できる。この部分の具体的な機能は、もっと研究が進んだら発表することにしよう。

(1995年6月29日)


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