川村渇真の「知性の泉」

価値の高い教育内容の全体像


教育内容には経験や能力向上も含む

 本当に価値のある教育を実現するためには、教育内容が非常に重要である。既存の教育内容のような狭い範囲に限定せず、実社会や人生で役立つ内容を含まなければならない。その中には、個人の汎用的な能力も含まれる。
 教育内容の全体像を示すために、教育内容を大まかに分類してみた。まず全体を3つに分け、それぞれの中を数個に分けた。なお、教育内容として整理したので、すべての要素を「教科」として扱っている。

新しい教育内容の大まかな分類
・知識教科:様々な知識(前の2項目が現在の教育内容)
  ・一般知識教科:誰もが必要な知識(専門知識の基礎部分も含む)
  ・専門知識教科:世の中に存在する多くの専門分野の知識
  ・社会知識教科:社会生活に必要または役立つ知識
・社会経験教科:意識向上や価値観形成に役立つ社会での経験
  ・一般経験教科:社会に出て誰もが役立つ経験
  ・専門経験教科:選んだ専門分野の実体を知るための経験
・能力教科:社会生活や人生で役立つ幅広い能力
  ・自己能力教科:多くの活動で役立つ、個人の様々な能力
  ・対人能力教科:相手とのやり取りに関わる様々な能力
  ・集団参加能力教科:組織に参加して適切に行動するための能力
  ・集団管理能力教科:組織を上手に管理運営するための能力

 これらの中で、既存の教育内容に含まれているのは、知識教科の中の一般知識教科と専門知識教科だけである。他の教科は、既存の教育では対象外になっていて、基礎の基礎すら教えてくれない。
 提示した教科の中身について、もう少し詳しい説明が必要だろう。続いて、3つの分類ごとに教育内容を解説する。

知識教科には社会で役立つ知識も含める

 知識教科は、既存の教育内容と一致する唯一の部分である。既存の教育内容では、狭い意味の学問だけに限定しているため、社会に出て役立つ大切な知識を、教育の対象外としてきた。この点を反省して改良したのが、以下の教育内容である。

知識教科:様々な知識(前の2項目が現在の教育内容)
・一般知識教科:誰もが必要な知識(専門知識の基礎部分も含む)
  ・例:日本語、英語、基礎数学、歴史、地理、政治など
・専門知識教科:世の中に存在する多くの専門分野の知識
  (専門分野の数だけあり、それぞれが細かく分かれている)
  ・例:高等数学、物理、電気、美術、政治、経済、建築、医療など
・社会知識教科:社会生活に必要または役立つ知識
  ・例:契約、悪徳商法対処、税金、救命方法、料理、清掃など

 もっとも注目すべきなのは、3番目の社会知識教科だ。既存の教育内容に含まれない、社会生活で必要または役立つ知識を対象とする。きちんとした取引に必要な契約方法、悪い人にだまされないための悪徳商法の対処知識、良識ある社会人となるための税金の役割や納税方法、自立に必要な実践的料理方法、何かの被害を受けたとき泣き寝入りせずに弁護士や支援組織に相談する方法などだ。洗い出せば数多く出てくるので、必要性や役立つ度合いを評価して、優先度の高いものを採用する。
 社会知識教科の中には、専門知識教科に含まれる内容もある。たとえば「契約」なら、経済などの分野に関係する。あえて社会知識教科に入れるのは、該当する専門分野を学ばない人にも知ってほしいからである。きちんとした契約方法を知っていれば、契約方法に失敗したとか、悪い人にだまされる可能性が減らせる。これが期待される効果だ。
 社会知識教科では、実用性を最優先するため、専門知識教科とは異なる教育内容に仕上げる。知識の中から要点を洗い出し、実際の活動で役立つ形で提供する。ミス防止のチェックリストとか、実際に使える契約書のサンプルなども良い例だろう。教えた内容が、現実社会でそのまま使えるのが大前提だ。
 本当に習得してもらうことが大きな目的なので、重要な内容については、実際に試す方法を優先する。契約書の作成なら、何種類かの対象を題材にして、本物と同じように契約書を作ってみる。忘れた頃に再び試すなど、長期的にフォローする点も忘れてはならない。何度も繰り返すことで、多くの人が習得できるはずだ。

価値観形成や将来決定に役立つ社会経験も提供

 学校での勉強だけでは、質の高い意識や、良い価値観を形成できない。実社会での様々な活動を経験することで、学校の勉強を補うようにする。
 あえて教科として含めたのは、重要である点を強調することと、きちんと設計された順序や状況下で経験させるためである。単に経験すればよいのではなく、より良い状態で経験することが重要だからだ。社会経験教科は、性格の違いから大きく2つに分けてある。

社会経験教科:意識向上や価値観形成に役立つ社会での経験
 (幅広い経験も必要で、教科として独立させ、経験の価値を高める)
・一般経験教科:社会に出て誰もが役立つ経験(全員が学習)
  ・例:各種ボランティア、資源回収、対面販売、相談や苦情受付など
  ・例:差別されている人、苦しい状況にある人の話を聞くなど
・専門経験教科:選んだ専門分野の実体を知るための経験
  (自分で興味のある分野を選んで、いろいろと経験する)
  ・例:イベントなどの企画や運営、何かの設計や製造など

 一般経験教科は、自己の意識向上や価値観の形成を手助けするために用いる。様々な経験を通じて、世の中にはいろいろな境遇の人がいること、考え方も異なること、どんな形でも社会や誰かのために役立つことが可能なことを学ぶ。
 もっとも知られているのは、各種ボランティアの経験だろう。それ以外でも、相談や苦情の受付をやってみるとか、誰かに何かを売ってみるとか、様々な内容が考えられる。できるだけ毛色が違って、何かに役立つ経験を選ぶ。
 苦情の受付では、相当に起こられる体験をするはずだ。これも貴重な経験となる。また、その際には、それを仕事としている人がどう考えて、どのように行動しているのか、話を聞くことも大切である。苦情を言う人の立場も知れるし、苦情を言われる人の大変さも分かってくるだろう。このような経験こそ、意識向上や価値観形成に役立つ。単に経験するだけではダメで、それを担当している人の話を聞くとか、体験前に上手にこなすポイントを学習するとか、経験を生かす方法が求められる。それを実現するために、教科として独立させて完成度を高めるわけだ。
 一般経験教科で欠かせないのが、差別されている人や苦しい状況にある人の話を聞くこと。同じ人間であり、暖かい感情や苦しい思いを持っていることを知るのは、人生の中で貴重な経験となる。また、世の中の悪い点や矛盾点も見えてくる。見聞きした後で生徒が集まり、問題点などを話し合うことも大切だ。このような経験は、定期的に繰り返す必要がある。
 専門経験教科は、自分の将来を決めるために利用する。世の中にどんな分野があり、どのような形態で仕事をしているのかを知らなければ、自分の将来を決めるのは難しい。どんな仕事でも、何らかのやりがいがあるものだ。その道で成功した人に話を聞き、多くの分野でやりがいを話してもらえば、興味のある分野はいくつか見付かるだろう。
 専門経験教科で行う内容には、見学活動と経験活動の2つのレベルがある。見学活動は、その分野に興味を持った段階で行う。実際の職場を尋ねたり、その職に就いている人と話したりして、興味ある分野の中身を知るのが目的だ。
 見学活動で興味を持ったら、その分野を選んで勉強し始める。ある程度の知識が身に付いたところで、経験活動を実施する。1週間といった一定期間で、実際の職場に入って仕事を経験する。最初のうちは手伝い程度だが、経験を積むことで一部の仕事を任されるようになる。教育の一環なので、受け入れ先の組織には、規定した内容での経験を受けられるように配慮してもらう。
 経験活動が終わると、受け入れ先の組織の担当者から、簡単な評価を得る。その結果を続く学習へ反映させたり、適性が低い場合には別な分野を検討したりする。本人の適性の判断に、実際の現場での評価を利用しようというわけだ。

各人の能力の向上を強力に支援する

 個人の能力を高めることは、既存の教育内容にほとんど含まれていない。そのために、社会のいろいろなところで、レベルの低い活動が今も続いている。たとえば、きちんとした議論手法を知らないため、国会やテレビ討論では低レベルな言い合いしか行われない。多くの人は意見を言い合えば議論していると思っているので、いつまで経っても議論と呼べるレベルには達しない。
 もし教育で、きちんとした議論の条件や方法を教えたらどう変わるだろうか。議論手法を知っている人が増えれば、マトモな議論をするのが当たり前になるだろうし、単なる言い合いはやりづらくなる。議論の中では、検討対象の適切な評価方法、解決方法の設計方法なども必要となる。これら全般を習得した人が増えることで、不適切な意思決定が格段に減り、社会は大きく進歩する。
 能力教科では、数多くの能力の向上を対象とする。含まれる内容を整理する意味で、4つに分けてみた。

能力教科:社会生活や人生で役立つ幅広い能力
・自己能力教科:多くの活動で役立つ様々な能力
  ・例:分析技術、検査や評価技術、設計基本技術、整理技術、記録技術など
・対人能力教科:相手とのやり取りに関わる様々な能力
  ・例:説明技術、質問技術、連絡や報告技術、発言技術、発表技術など
・集団参加能力教科:組織に参加して適切に行動するための能力
  ・例:議論手法、協議方法、制度やルール設計、提案方法など
・集団管理能力教科:組織を上手に管理運営するための能力
  ・例:管理技術、指導技術、組織化技術、意見集約技術、対立調整技術など

 自己能力教科には、すべての活動の基礎となる能力が含まれる。きとんと分析する、検査する、評価する、設計する、整理する、記録するいった汎用的な能力だ。この能力を知識と組み合わせれば、いろいろな問題や課題に対処できる。また、残りの3つの能力教科の基礎となる教科でもあり、組み合わせて力を発揮する。
 対人能力教科が受け持つのは、誰かと何かをやり取りする際に必要な能力だ。自分の考えや物事を上手に説明したり、適切な質問を投げかけたり、きちんと連絡や報告したり、意見を整理して分かりやすく発言したり、まとまった内容を発表したりする技術を学ぶ。質の高いコミュニケーションを実現するために役立つ。
 集団参加能力教科は、集団の一員として適切に行動するための能力を対象とする。建設的で質の高い議論を実現するための手法、意見が異なる際に妥協点を見付けるための協議方法、組織の制度やルールを良くするための設計方法や決定方法、新しいアイデアの提案方法などがある。もちろん、きちんと意見を述べるといった対人能力教科も一緒に必要とされる。
 集団管理能力教科には、組織を管理または運営する能力が含まれる。組織および参加者を管理する能力、不適切な行動をした人に注意したり指導する能力、同じ意見の人々を組織化して力を与える能力、細かな部分で異なる意見を集約してまとめ上げる能力、対立する意見を調整して適切な妥協点を導く能力などだ。4つの中では一番難しい能力で、他の3つをある程度習得してから学ぶことになる。
 どれも教科の数が多いので、利用する機会が多いものから先に学習する。また、習得が容易な教科も優先する。全体での大まかな順番としては、4つの中で上にある教科が先になり、だんだんと下へ降りてくる。ただし、1番目がすべて終わってから2番目に移るのではなく、利用範囲が広くて習得が容易な教科を先に学ぶのが基本だ。

実社会で役立つ能力から能力教科の内容を求める

 能力教科に含まれる教科に関しては、実社会で役立つ能力を調べ、それを網羅する形で決定する。ざっと挙げてみると、以下のような能力が考えられる。これらを独立した教科、または合体した教科として仕上げる。

実社会で役立つ代表的な能力
・考察する、分析する、比較する、評価する
・調べる、確認する、記録する、整理する、検査する
・体系化する、まとめる、提案する
・意見を述べる、説明する、発表する、説得する
・協議する、意見を調整する、教える
・管理する、計画を立てる、実施する
・的確に質問する、回答する、話を聞く
・間違いを認める、訂正する、改善する
・公表する、配布する、連絡する、報告する

 どの教科でも、実際に習得できる形に仕上げることが大切だ。そのためには、該当する能力で必要となる作業を何段階かに分解し、部分的に学習できるようにする。たとえば、評価方法なら、評価目的の明確化、評価項目の設定、評価基準の作成、評価の実施、評価結果の分析に分けられる。各工程内でもさらに複数の要素に分割し、学習しやすく整える。
 能力に関する教科では、上手に行うためのコツが必ずある。それを守ることで、成功する確率が増す。失敗を防止したり発見したりする効果もあるためだ。成功のコツを取り込み、失敗しにくい教育内容に仕上げる。
 確実に習得するには、実際に試すことが効果的である。試した結果を専門教師に見てもらい、直すべき箇所を明らかにする。このように修正しながら何度も試すことで、能力がだんだんと身に付けられる。重要な能力ほど、繰り返しの回数を増やせばよい。何回繰り返すかは、各人の修得度によって異なり、遅い人ほど多くの回数が必要だ。

生徒ごとに学習プランを作り、学ぶ教科を選ぶ

 ここで紹介した教科の範囲を見て、かなり多いと感じたかも知れない。しかし、全員が全部の教科を勉強するわけではない。生徒ごとに学習プランを作り、本人に必要な教科だけを学習する。もちろん、必須科目もある。
 学習プランを適切に設計するためには、教科選びに関して、ある程度の指針が必要だ。大まかには、次のような指針を用意する。

教科を選ぶ際の指針
・全員必須教科:全員が学ぶ
  ・30段階程度にレベル分けして、下から順番に学ぶ
・目的別必須教科:該当する目的を選んだ人が必ず学ぶ
  ・目的は様々で、設計、モノ作り、芸術、スポーツなどがある
  ・数段階にレベル分けして、下から順番に学ぶ
・目的別任意教科:生徒の細かな目的に沿って選ぶ教科
  ・生徒ごとに学習プランで検討して、具体的な教科を選ぶ
  ・教科間の学習順序関係を明らかにして、適切なプラン作りを手助け

 全員必須教科は、全生徒が学ぶべき教科を総合的に含む。最初の段階では、知識教科の一般知識教科が中心で、日本語、算数、社会、音楽、体育といった小学校低学年と似た内容になる。異なるのは、能力教科の自己能力教科が少し含まれる点だ。たとえば、自分の意見を述べる行為で、主語と述語を明確にするとか、賛成や反対を明らかにすといった注意点を、低学年でも理解しやすい形で教える。独立した教科として含め、意見をきちんと言えるように練習させる。
 もう少し上のレベルの全員必須教科には、知識教科の社会知識教科、社会経験教科の一般経験教科、能力教科の対人能力教科が入ってくる。一般知識教科や自己能力教科も、段階的に難しくなる。全員必須教科の全体像としては、30段階程度にレベルを分けて、下の段階から順番に学ぶ。半年以内で1段階を学習するとして、平均的な人で成人する年齢までに終えるような形とする。
 全員必須教科の最大の狙いは、良識ある社会人として生きるために必要な知識や能力を与えることだ。それを実現できるように、上のレベルに進むほど能力教科が多くなる。とくに対人能力教科と集団参加能力教科が重要だ。集団参加能力教科に含まれる議論手法などは、時間をかけて確実に習得してもらわなければならない。
 目的別必須教科は、目的ごとに必須となる教科を選ぶ。これも段階に分けて、学習する順序と単位を明確にする。含まれる教科の数も、分割する段階数も、目的によって異なる。目的として用意するのは、具体的な分野と抽象的な分野に分かれる。
 具体的な分野では、医者、版画家、ピアニスト、プロ野球選手、物理科学者、消防士、企業経営者、ガラス職人、プログラマーなどと具体的な職業を用意する。数は多いが、似た職業をまとめて設計すれば、それほど大変な作業ではない。抽象的な分野では、何かの設計者、職人、芸術家、音楽家、スポーツ選手といった大まかな方向を用意する。こちらのほうは、分野ごとで汎用的に役立つ教科を含めることになる。
 生徒が選ぶ目的は、1つだけに限定しない。もし抽象的な分野として設計者とスポーツ選手を選んだら、両方に必要な教科を洗い出して、両方を含めた学習プランを設計する。どちらかを重視したい場合は、重視したほうの教科を多く含める。すべて生徒と相談しながら決めるのが基本。半年程度で見直す形にして、自分の適性を見極めながら、将来の方向を修正することも大切だ。
 目的別任意教科は、同じ目的を継続して、目的別必須教科を終了したときに用いる。より深い内容が含まれ、知識、経験、能力を総合的に高めていく。さらに進むと、教えられるのが主体の教科ではなく、自分で何かを追求する研究型の教科が入る。
 目的別必須教科と目的別任意教科では、該当する分野の専門教科が入ってくる。知識教科の専門知識教科と、社会経験教科の専門経験教科だ。また、能力教科も重要で、選んだ目的ごとに重視すべき教科を含める。
 以上のような指針を参考にしながら、生徒ごとの学習プランを設計する。全員必須教科と目的別必須教科のバランスも規定し、最初のうちは全員必須教科がほとんどで、段階的に目的別必須教科を増やす。このような方針で設計されたプランに従って、生徒は学習を進めるわけだ。

教科を組み合わせて学習効率を高める

 知識教科の学習方法も重要である。既存の教育のように、知識だけを目的として勉強する方法は、可能な限り採用しない。能力教科と一緒に学習して、全体の効率を向上させるのが基本だ。
 具体的な例を挙げたほうが分かりやすいだろう。自己能力教科の1つである調査技術を学ぶ際には、具体的なテーマを与えて実際に試させるのが普通だ。与えるテーマとして重要な知識を選ぶと、そのテーマの知識が必然的に入ってくる。もし調査が失敗した場合でも、成功するまで何度か試させるので、ある程度のレベルで知識を調べられる。最後には、良い調査結果を教師が提示し、生徒の調査結果を比べさせる。良い調査結果にはきちんとした知識が含まれるため、それに接する機会が得られる。
 この方法で重要なのは、自分から積極的に調べるため、単に読んだり聞くだけの学習よりも、知識を理解しやすい点だ。結果として、対象となる知識を理解する可能性が高い。単に暗記するよりも理解することが大切なので、この違いは大きい。
 この方法の注意点は、一緒に学習する生徒に異なるテーマを与えることだ。誰かが調べてみんなに教えることができないため、どうしても自分で調べなければならない状況を作る。また、調査した内容を発表する教科も連続して実施し、他の人の発表を聞くことで別な知識と接する機会を作る。
 同じテーマを与えないためには、生徒ごとに学習したテーマを記録する必要がある。今までどんなテーマを与えられたのかを調べて、欠けている分野のテーマを与えるようにする。このようにして長い期間を把握し、幅広い知識と接する機会を増やす。記録した情報は重要で、生徒の生涯の勉強にも利用する。
 能力教科の多くは、何かのテーマを扱うため、選んだテーマの知識と接する良い機会となる。議論手法、説明技術、報告技術などの学習でも同じだ。多くの知識教科は、能力教科を通して学ぶことになるだろう。知識教科だけの学習は、理解度も考慮すると、できるだけ避けなければならない。

 以上、価値の高い教育を実現するための学習内容に関し、大まかに解説した。学習者の能力を高めるとともに、社会生活で役立つ知識や経験を与え、社会全体を進歩させる効果もある。既存の教育内容を続けていても、次々と出てくる問題を解決できない。この状況を根本的に変えるには、教育内容を変革するのが、長期的に見て一番効果的だ。

(1999年11月4日)


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