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石川晶とカウント・バッファローズ  "GET UP!"
(つづき)

 ここからは想像の域を越えませんが、こうしたジャズ・ロック的要素が盛り込まれるようになる'70初頭あたりからのTV番組の劇伴、主題歌のオケ録音に、C.B.周辺のプレイヤーが多く関わっていたのではないか…… と勘ぐらずにはいられません。スタジオ録音当日に譜面を渡され、初見で演奏しなくてはいけない状態にありながら、今なお色褪せない抜群のグルーブ感で対応できるプレイヤーが、果たしてそんなに大勢いたのだろうか……? そんなことができるのは、カウント・バッファローズのようなコアなセッションで繰り返し揉まれてきた豪傑達だけなのでは? ……とか。 特に、渡辺宙明、菊池俊輔、ボブ佐久間、小森昭宏、羽田健太郎、大野雄二ら諸氏による、常軌を逸した……といっても過言ではない強力なグルーブ感を誇る数々のアニメ・特撮ソングのオケからは、C.B.周辺のプレイヤーのカヲリが強烈に漂ってきます。いつの日か、これらの匿名にして偉大な演奏者たちの名が解明されるのを願うばかりです。

 ちなみに、ちゃんとC.B.の名が銘打たれているアニメ関連盤では、コロムビアのJAM TRIPシリーズの『ルパン三世』『超時空要塞マクロス』があります。JAM TRIPシリーズは、オリジナル劇伴を至上のものとする劇伴ファンには、あまり人気がないようですが、ハッキリ言って全くアナドレませんよ。特に、この2枚はC.B.の実力と音楽性の幅が遺憾なく発揮された名盤です。ぜひご一聴を。(この2枚については、いずれまた別項を設けて掘り下げる予定です。)

 厳密には、『トリトン』も『スパイダーマン』もC.B.名義ではありませんが、ジャズ系の音楽の本質とは、プレイヤーの顔ぶれと、彼らの間で交わされるスリリングな演奏そのものにあるわけで、名義は便宜上のものに過ぎません。この3枚、片や子ども向けTV番組の劇伴レコード、片や中古市場で数万円の値が付く邦人ジャズの稀代の名演盤……と、レコード屋で置かれる棚も全く異なれば、その盤を買って聴くファン層もまるで違う音盤です。しかし、演奏内容や演奏者にはそれほど大きな違いはなく、音楽性という純粋な視点から見れば全く等価の存在。いずれも、日本の名プレイヤー達が互いにしのぎを削りあう息づまる瞬間を記録した、至高の名演盤であることに変わりはない……というわけです。



 【関連音盤】

   ○CD『GET UP!』石川晶とカウント・バッファローズ (Ultra Vybe)

   ○LP『海のトリトン 〜 テーマ音楽集』(コロムビア/CQ-7027/'79)※未CD化
   ○LP『エキセントリック・サウンド・オブ・スパイダーマン』(コロムビア/CQ-7010/'78)
   ○CD『エキセントリック・サウンド・オブ・スパイダーマン』(コロムビア)
   ○CD-R『JAM TRIP ルパン三世』(コロムビア/あ〜る盤)
   ○CD-R『JAM TRIP 超時空要塞マクロス』(コロムビア/あ〜る盤)

 【Special Thanks!】

   ○劇伴倶楽部 "Close Up 海のトリトン"
     --- この文章は、そもそも、この劇伴倶楽部さんでの座談会:「海のトリトン」の
        音楽を語る〜 「トリトン」は70年代アニメ劇伴のルーツ!?  ……がベースに
        なっています。そっちも見てね。

   ○ギタリスト 直居隆雄のページ
     --- 『GET UP!』『JAM TRIPルパン三世』『JAM TRIP 超時空要塞マクロス』等に
        参加されているギタリスト、直居隆雄氏ご本人のWEB。「昔の話」のコーナーに、
        C.B.の回想録と音盤紹介あり!

   ○市川秀男 公式ホームページ
     --- 『海のトリトン』『GET UP!』等に参加されているピアニスト、市川秀男氏ご本人のWEB。



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