#001 (1)→ 石川晶とカウント・バッファローズ "GET UP!" ![]() 01.Get Up! 02.Discharge 03.Heated Point 04.Painted Paradise 05.Stone River 06.Minor Jump ●石川晶とカウント・バッファローズ 石川晶(ds) 寺川正興(e-b) 鈴木宏昌(e-p,synth) 直居隆雄(e-g) ラリー寿永(perc) 村岡健(ss,ts,fl) 新井英次(tb) 鈴木正男(as,bari-sax,fl) 羽島幸次(tp) 市川秀男(e-p) (LP/CRVH-8501/RCA/'75) (CD/CDSOL-1042/ウルトラヴァイブ/'01) ◆missing link = 海のトリトン、スパイダーマン 、JAM TRIPルパン三世、超時空要塞マクロス etc... 石川晶とカウント・バッファローズ(以下、C.B.)は、ジャズ・ドラマー石川晶氏をリーダーとして、1968年に結成されたバンドです。が、メンバーが固定されたいわゆるパーマネントスタイルの「バンド」ではなく、石川晶氏をヘッドとして、セッション毎に、ジャズ系の一流ミュージシャンが流動的に出入りするユニットのような形態が実状のようです。言わば、70's〜80'sのセッションマン達の"梁山泊"的役割を果たしたバンド…… 石川さんは、ジャズ界の「裏番長」みたいな感じだったのではないでしょうか(笑) 活躍の場としては、C.B.名義のジャズ盤はもちろんですが、映画音楽やスタンダードナンバーをカヴァー演奏したイージーリスニング系の企画盤、ドラマー数名が集ってのドラム対決を唱った共演企画盤、4chステレオやダイレクトカッティングなど、当時の最新オーディオ技術をアピールするためのデモンストレーション盤等々。中でも、このオーディオ・デモ盤の数が多いんです。これは当時C.B.が、オーディオ技術者から最も高品質な演奏ができるバンドとして期待され、かつ、それに演奏内容で充分に応えていた、何よりの証拠と言えるでしょう。 そしてC.B.…としてではないものの、そのメンバーである各プレイヤーは、TV・映画の劇伴の録音にも数多く参加している……はず、なんです。 '70年代当時、TV番組の劇伴がレコード化されること自体が大変珍しく、さらに、その演奏者名がクレジットされることなど皆無に等しかったわけですが、ようやく'70年代末に至って、演奏パーソネルを明記した音盤が登場し始めます。その先駆けが、「エキセントリック・サウンド・オブ・スパイダーマン」(LP/コロムビア/CQ-7010/'78)や、「海のトリトン テーマ音楽集」( LP/コロムビア/CQ-7027/'79)など。ようやく、アニメ劇伴にも音楽的な価値が見出されるようになってきたわけですね。これが、'77年頃からの始まる「宇宙戦艦ヤマト」ブームと、その音楽面での成功が影響しているのは言うまでもないでしょう。 さて、この2枚と、『GET UP!』の演奏パーソネルを比べてみると……
※協力: ○劇伴倶楽部 "Close Up 海のトリトン" ……と、こういう感じで、かなりメンバーの重複があるんです。 彼らの演奏スタイルは、当時の音楽様式、特にジャズ周辺を取り巻いていた様々な変化に呼応して、4ビートのストレートなジャズ、イージーリスニング的なソフトなジャズ、無骨なブラスロック、16ビート炸裂のクロスオーバー、シンセ時代の爽やかなフュージョン……と自在に変化しています。この3枚の盤は、奇しくも3年づつの間を置いて世に出た演奏なので、そのサウンドカラーも、それぞれ『海のトリトン』=ブラスロック風、『GET UP!』=クロスオーバー風、『スパイダーマン』=パーカッションをフィーチャーしたフュージョン/ディスコ風 と、時代性を反映して微妙に変わっています。さらに、3枚それぞれ、ストリングスがあったりなかったり、ブラスが厚かったり薄かったり、と編成もマチマチ。なので「似た曲があるかどうか」という単純な聴き方をすると、それほど大きな手応えは感じないかも知れません。が、演奏の奥底に流れる重たいグルーブ感や独得の緊張感を掴むことができれば、そこに、3枚の音盤を貫く1本の軸があるのを見出すことができるでしょう。(つづく) #001(1)→ top > o.s.t.o.s.t. musi-caf'e (c) RYO-3 2002 |