浅草寺から東京スカイツリーを見る
2010年3月12日佐藤弘弥撮影


浅草の吾妻橋から雲に霞む東京スカイツリー(私は墨田タワーと呼びたい)を見た。報道によれば、すでに300mを越え、高さは東京タ ワーに刻一刻と迫っているそうだ。3月末には333mの東京タワーを抜くと言われている。2012年春の完成時には最終的に610mを越えて世界一の電波塔となる予定だという。

墨田区や江東区に、何故このような高い塔が建つのか、ふと考えたのだが、今日は3月9日で、東京大空襲の前日でもある。この空襲によって、この地区の人々 約10万人が焼夷弾によって生きながら焼かれたと伝えられている。

私の知人に娘の頃、浅草にいて、この大空襲の中を奇跡的に生きた女性がいる。この女性は、現在今86歳となり、高血圧で病院に入院している。その女性に聞 いた話が余りに鮮烈で、今も脳裏に焼き付いている。大空襲でもっとも被害者の出た言問橋の橋桁に逃げた男性が焼夷弾の火に巻かれて、生きながら死んで行った話。そしてその跡が、現在もぼんや りと橋に影のように残っているというのである。

またこの地区は、関東大震災でも多くの死者を出した。その意味で私は、この墨田タワーが、この地域で心ならずも亡くなった死傷者の慰霊碑のように思えたのである・・・。

2010.03.13 佐藤弘弥

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