人類は温暖化で絶滅する!?


ー 加速度を増す温暖化ー


世界中の人間が、 科学技術の進歩とその発展がもたらすバラ色の未来にのぼせ上がっている隙に、地球環境はついに来るところまできてしまったようだ。

07年2月2日、国連の「「気候変動に関する政府間パネル (Intergovernmental Panel on Climate Change :通称IPCC )は、このほど、「気象変動2007−自然科学の論拠」を発表した。これは地球の温暖化の予測をまとめたもので、全世界のべ2500名もの科学者が関わっ て作成された見識のある環境レポートである。

その内容を読むと、実に空恐ろしいような事実が列挙されている。まず温暖化の原因が、 人間の活動による温室効果ガスの増加による可能性がかなり高い」と結論を下した上で、このまま地球人類が、石油エネルギー中心の化石燃料に依存した社会を 続けていくならば、21世紀末の平均気温は、20世紀末との比較で最大6,4度上昇する。そして海面水位は59センチ上昇するとの俄には信じ難いような予 測がなされている。

これは、はっきり言って、世界中の気象科学者たちの予想を遙かに上回る異常な数値と 言っていい。おそらく地球の温暖化に加速度がついていることを如実に物語っていると思われる。通常、気象学者たちの間では、「地球の平均気温が、二、三度 以上上昇すると、台風の大型化や海面上昇、旱魃や洪水など地球環境にとって、計り知れない影響がある」との共通認識がなされていた。それがいきなり「6. 4度」である。

これまで「IPCC」は、過去三度(1990、1995、2001)に渡って報告書を 提出しているが、今回の報告は、そのどの報告よりも深刻で衝撃的である。おそらく科学者自身も予想不可能なスピードで地球環境と密接に関わる気候の劇的な 変動が進行中であることを匂わせている。

もちろん、これは世界人類が、化石燃料を使い続けるということを前提として予測された 数値だ。仮に化石燃料を使用せず、地球環境にやさしいエネルギーに転換することになれば、この破滅的な気象変動を回避することは可能だ。報告は、人類が地 球を循環型社会に転換させることで、先ほどの6.4度を1.1度、海面上昇を59cmから18cm程度に抑えることができるとの危機回避へのシナリオも示 している。

世界中の心ある人々は、経済発展優先のおごり高ぶりを反省し、人類が未来永劫に渡っ て、この母なる地球に生存する方策を最優先に考えるべきだ。そのためには、まず、つまらぬ経済優先の政策や国家間の利害対立を越えて、この報告に示されて いる現実と、素直に向き合うことだ。

この報告書が示しているのは、既に10年前の危険水域は加速度を増している環境破壊の 速度にとって京都議定書の内容は陳腐化してしまったとも受け取れる内容だ。もっと言えば京都議定書では人類は救えないということか。今こそ、京都議定書の ワクも取り去って、もっと強力な政策を実行に移す必要がある。それにはまず、私たち自身の意識転換が必要になる。

私たち世界人類は、化石燃料を無尽蔵に消費する大量エネルギー消費型社会を継続するこ とは、滅びの道であることを自覚し、多少の不便も厭わない循環型社会を志向すると腹を括ることが肝心だ。またそこに人類の叡智を結集し、今すぐにでもこの 難事業を始めなければ、人類という種の生存そのものが危機に瀕することを知らなければならない。

折りから、京都議定書(1997年)を批准しない国アメリカの民主党前大統領候補ア ル・ゴア(彼自身は京都議定書批准の姿勢を鮮明にしている)が環境問題の講演を映像化したドキュメンタリー映画「「不都合な真実」(デービス・グッゲンハ イム監督 アメリカ 2006年)が日本でも上映中である。

私たち世界人類は「日に日に人類滅亡のXデーが迫っている」との深刻な認識を持って、 この地球温暖化問題に真剣に取り組まなければいけない。もう人類に残された時間はほとんどない。

化石燃料万能社会から循環型社会へ速やかな転 換

これしか人類が種として生き残っていくための道は残されていない。
佐藤弘弥

 IPCC の第四次報告書を知って五首
と もかくに目前迫る破滅への警鐘(かね)を聴くべし我ら人類
宗 教も経済対立ご破算に母なる地球のために何せん
ジョ ン・レノン歌ふ「イマジン」流し今語らん人類生存の術
滅 びへの道は洋々永らえる道は狭々我ら人類
早 々に京都議定書陳腐化し人滅びゆく恐竜のごと

関連エッセイ
アル・ゴアの映画「不都合な真実」を観る

2007.2.6 佐藤弘弥

義経伝説
思いつきエッセイ