小田急地下
トンネル工事現場で思ったこと



小田急世田谷代田から下北沢にかけて行われている地中化工事の現場を視察する機会に恵まれた。厳重に管理された現場事務所から、急な階段を30mか40mばかり下ると、そこにはシールドマシンと呼ばれる掘削ロボットが働いている工事現場があった。

工事責任者は、トンネル工事と言っても、ツルハシやスコップで、掘り進んでいる訳ではありませんと、冗談めかして言った。

今やトンネルを掘り進むのは、ロボットである。先端で土を掘削しながら、同時に鋼鉄のワクのようなものを取り付けながらゆっくり進むのだが、こちらとしては、土ボコリが舞うような現場を想像していたが、まったくの逆で、清潔なきれいという印象を持った。




取り付けた鋼鉄のワクをマジックリンか何かで磨いている作業員もいた。掘った土は大きなダクトを通じて輩出される。一日20mは掘り進める性能があるというが、土の排出の関係で、現在は一日10mほどの距離を掘り進めているようだ。

まさに文明の最先端の利器がこんなところで活躍していることに驚嘆しながら、同時に人間の科学文明の未来を思った。

このまま科学文明が進み、人間が行きつく先は、どこか、宇宙か、それとも地中か、いや海底か。人間は、ロボットの頭脳の一部として、不老不死となって、新たな神のように永遠に生きるのか。頭がこんがらかって、クラクラときた・・・。


2008.12.16 佐藤弘弥

義経伝説
思いつきエッセイ