![]() ![]() (08年12月3日 佐藤弘弥撮影) 快晴の日比谷公園に行った。 今日12月3日。東京の紅葉はクライマックスに差し掛かっているようだ。 池の周囲には、紅葉狩りを楽しむ人々が、真っ赤に色づいた紅葉を見ながら、行く秋を惜しんでいるように見えた。 松尾芭蕉に、「この道や行く人なしに秋の暮れ」という句がある。 芭蕉最晩年の句である。 思うにこの句は、辞世の句と呼ばれる「旅に病んで夢は枯れ野を駆けめぐる」よりも、 ずっと、芭蕉の最後の心境を伝えている句ではないかと感じられる。 つまり「この道」とは、具体的に「東海道」とか「奥州街道」という「道」を指すのではなく、 芭蕉が志す「俳諧の道」あるいは「風雅・風狂」の「道」を指すのではないかと推測する。 「風雅・風狂」とは、句のために命を捧げ尽くし、その道に狂うことをもいとわないことを言う。 芭蕉は、憧れの人歌人西行が、生涯を歌の道にかけ、日本中を旅し、最後の最後まで、 歌を歌い尽くして亡くなった道を行くことを決意し、自分が目指す、句の道を歩いた。 しかし今この道を継いで歩ける者など簡単に見つかるものではない。日本中に多くの弟子を抱えていた芭蕉だが、 覚悟の上でも、才能の面でも、芭蕉がタスキをを託す「風雅・風狂の道」のランナーは皆無だった。 そして芭蕉は「おのれ一人」という孤独の道に倒れ亡くなった。 旅に狂い、「風雅・風狂」に狂い死にした芭蕉の絶対の孤独を思いつつ、 紅葉絶頂の日比谷公園を後にしたのであった。 ![]() ![]() |