箱根芦ノ湖の月

夜明け前の月
(佐藤弘弥撮影 Nikon D700 09.12.04 am5:31)
元箱根の明け方、ふとホテルの窓から、眩しく星が輝いていた。それまで激しく雨が降っていたので、信じられない思いがした。月はどこに出ているか?

私は矢も立てもたまらず、カメラを抱えると、芦ノ湖の湖畔にあるベンチの前に向かった。

カメラを月に向けると、雨が空気を洗ってくれたためか、妖しいまでに煌々と輝いている。これまで見たこともないような清浄な月光が湖面に降り注いでいる。月の周りには、無数の星々が廻っている。ふと月下に眼をやると、かすかに白く浮き上がって富士山が見えた。富士は、月の光を受け、わずかな白雲を随えて、神々しく山の端から山容を覗かせていた。

次第に空は白み始め、月は朝日に溶け込んでゆく。月が山の端に近づき始めると、東の空から日の光がやってきて、月の光は、勢いを失い、今度は富士山が、次第に紅く輝き出すのだ。湖面に映る月の光と、富士の光が、拮抗し月は、夜を照らす役割を終えるのである。頂上付近から徐々に麓の方へ富士はピンク色に染まっていった。俗に言う「赤富士」の出現だ。1時間半ほどの美しい自然のドラマを拝むようにして撮影した。人との出会い同様、自然とのふれあいも一期一会のもの。奇跡の光景に巡り合えた気がした。



赤富士と月
 
(Richo GRV 09.12.04 am6:31)




芦ノ湖の月 
(Nikon D700 09.12.04 am6:52)



芦ノ湖の夜明け
(Nikon D700 09.12.04 am6:59)


2009.12.6 佐藤弘弥

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