世田谷ボロ市の夜
?



2010年1月16日世田谷大場代官屋敷付近の賑わい
?
2010年1月16日、午後、四百年の歴史を持つという世田谷ボロ市に行った。
ボロ市というその名の通り、高い値打ちのある品物を売っているわけではない。
さまざまな骨董品やら古着やら布の切れ端、盆栽、瀬戸物、人形、オンボロカメラ、ブロマイド、
果ては防毒マスクまで、ボロ市通りと言われる世田谷上町の商店会周辺にところ狭しと並べられている。

ボロ市の謂われは、天正期、小田原城主だった北条氏政(1538−1590:小田原の名将。豊臣秀吉の小田原責めで自刃)が,
世田谷にも勢力域を拡げた折、この地で楽市を開いたのが始まりとされる。

店を出している店主たちが話す言葉も、北から南まで、まちまちのお国訛りが、聞こえてくる。
年二回、12月とこの1月の15,16日、全国からこの世田谷上町に集まってくる。
今や 東京世田谷の冬の風物詩となっているものだ。

今年は不況ということもあり、店主たちは、あまり売れないと嘆いていた。
それでも、買い手も売り手も、暗い顔をした人は見あたらなかった。
何十年も、同じ場所に店を出し続けている店もあり、一年二度の再会を楽しみにしている風に見えた。

不況下のボロ市にて三句
ボロ市のボロも売れない不況かな
ボロ市や不況を笑い飛ばすなり
買う物はなくても見たきボロの市
 

2010.1.17 佐藤弘弥

思いつきエッセイ
義経伝説