• 七段

    「捨てるとは」

    皆さんからのお祝いのメッセージ本当にありがとうございました。改めて、お礼を申し上げます。

    さて、ホットなところで、わたしの審査の感想を少しばかり書きます。

    まず、言えるのは、「捨てることが出来なかった。」ことです。これは、反省でもあり今後の課題でもあります。その代わり、相手の打ちは、全てわたしがボタンを押したと思っています。(思っているだけです。)ここで、相手の動き全てに対応できれば、満点だ。でも今まで、これを完璧にやろうとして失敗してきた。今回、これは、やらねばいけないが今のわたしにとっては無理だと観念した。(もしかしたら、審査中にそう意識をした気がする)。だから、ボタンを押してやることだけに集中した。ボタンを押して相手が出てきたらそれで良しとしようと観念した。だから打って勝つことにおいては不充分だった。その証拠に、見守っていて下さった先生や剣友の審査直後の顔つきがそう言っていた。

    うまく説明できないので、違った言い方をしてみる。

    捨てて打つことはしなかった。(出来なかった。)しかし、相手の打ち気のボタンを押すために身を捨てた。斬らせる為に身を捨てたと言えば言える。打ち気を無くして身を進めただけだ。打ち気を捨てたからボタンを押せたとも言える。このようにして、相手の出した技のすべてをわたしがスイッチを入れる事が出来たと思う。

    この感想は、合格して2週間の間、頭の中で何度も何度もリプレイして(残念なことにビデオはとっていない)あとに残ったわたしの一言です。極端に、ある気持ちを増幅して書いてますので実際のビデオでは「ちゃんと打ったじゃない」「ここは、ボタン押してないじゃない」という場面があるかもしれませんが、兎に角、頭に残ったのは、「わたしがボタンを押しつづけた。」ということです。

    以上が、感想です。へんてこな感想です。言葉足らずのところは普段の稽古から察して下さい。そしてまた、皆さん、引き続きご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。

    先日、少年剣道の始めの挨拶で、子供達に昇段を紹介されていきなり一言を願われて、「剣道は、剣と道と書きます。道とあるからには終わりがない。終わりがないから道です。これからも、皆さんと一緒に一歩ずつ道を歩んでいきましょう。」と小川先生の言葉を借りてしまいました。しかし、本当にそう思いました。今後も大いに反省し、研究をしながら「 て く て く」と歩いて行きたいと思っております。

    (平成14年師走 2002/12)



    島野 Mail: shimano@st.rim.or.jp