• 六段

    中心を取るとは 本当の攻めとは

    中心を取るということについて考えたのはこの頃です。この事は、既に初伝 にて、公開しています。

    攻めについて、よく攻めて勝ってから打ちなさいと言われるのは、このころ。 「攻め」とはどういうものか。考えるようになるのです。でも、誰に聞いて もハッキリとこうだと教しえてくださる方はいませんでした。

    したがって、この「攻め」について答えを持っていると、稽古に弾みがつく と思います。

    では、今の私の段階で持っている答えをここで公開します。違うぞという意 見がありましたら、お教えください。

    「攻め」とは「攻めることではない」ということ。「攻め」とは「攻めになっ ている」という事実のことです。だから、中心を取るとか、相手の竹刀を払う とか、間を詰めるとか。そういうことが「攻め」ではないということです。 「攻め」てから打つのではなく。自分のしていることが相手に映っているとき、 初めて「攻め」ていることを確認できるのです。

    簡単な例をあげましょう。

    相手と対峙していて、相手が中心を取りに竹刀を寄せたとします。この時、 あなたが、負けじと中心を取り返しにいきます。このとき竹刀をもって、相手 の竹刀を押し返します。

    相手と対峙していて、相手が小手を伺うように竹刀を、ちょっと下げたとします。 あなたは、そうは許しませんとばかりに、剣先で、相手の竹刀を抑制します。

    こういう動作は、すでに相手に合わせて動くことになります。相手が「主」で あなたは「従」です。これが、攻めの基本だとしたらどうですか。すでに あなたは、攻めを受け入れているのです。

    では、、、、

    相手が貴方の竹刀を押さえたとします。ここで、あなたが是れを無視し、押さ えられたままにしておきます。相手は、「おやっ」と思います。そこで、今 度はあなたから、竹刀をどこでもいいですからゆっくり動かしてみましょう。 すると、相手はすかさずあなたの竹刀に追従してきます。ここに、攻守が、 逆転する機会がうまれるのです。あなたの動きに相手がついてくるのです。

    わたしは、これが「攻め」の基本だと思います。攻めるのではなく、攻めは 常に相手に映って、その事実が確認できます。そして、もっと先へ進むと 目に見えないところでのやり取りになっていくのだと思います。



    島野 Mail: shimano@st.rim.or.jp