• 五段

    左手は、気持ち 動かさないこと 右手の緩み、右手の握り方 必至さアッピール

    品位とか構えについて少しづつ考えます。品位とは、何事にも動じない気持 ちから始まります。では、一体全体動じないとはどうしたらいいのでしょう か。こういう課題に向かっていたとき、ある先生から、「島野君、左手を動 かすな。左手は気持ちだ。死んでも動かすな。」と、気持ちが出来ると品位 とか構えは自然と整うものだというのです。

    茶巾絞りということがよくいわれるけれど、茶巾しぼりってなんでしょう。

    打つ時に両手を内側に締めることなのでしょうか。こうすると、打ちに威力 がなくなります。刀なら、切れる寸前に止まってしまうのではないでしょう か。刀なら当たる瞬間に最大の力が垂直に作用するはずです。ようするに 刃筋を立てるということ。これには、刀の入る方に手首をいれながら、山羊 の乳を絞るように手の内を使うことです。切り手になることです。これが、 本当の茶巾しぼり。そして、最近多いのが、小手を打たれるのを庇うように、 最初から、右手を絞り込んで構えるやり方です。これは、右ひじがつっぱり 余裕がなくなります。打ちが押しつけるような、竹刀のつったった打ちにな ります。小さいころから、右手は上から持ちなさいと言われていたので、こ ういう構えになってしまいました。でも、この頃、どちらかと言えば横から 持つような意識のほうが、近いと考えました。すると、右ひじに少し余裕が でき懐が広くなります。大きな樽を抱いている気持ちです。

    そして、審査についてですが、この頃は皆さん、普段の稽古では、打たれま い打ってやろうとしているのに、審査の時は、良い姿勢態度を作ろうとしま す。そして、一番大切な必至さ、というものをなくしてしまうのです。この 頃、審査を何回もされている先生に言われたことがあります。

    「俺を見てく れ、というのがこちら(審査員)に伝わってこない。みんなすまして格好をつ くる。そんな、嘘っぱちは見る気がしないと」

    稽古と審査でやっていること が逆なのだと思いました。

    普段の稽古で、正しい稽古をしていれば、後は自 由にやっていいのだと思います。それで駄目なら、稽古を見直すことではな いでしょうか。強くなる。良くなる。というのは変わることではないでしょ うか。




    島野 Mail: shimano@st.rim.or.jp