目をよくこする


リクガメが目をこする仕草を頻繁にする場合は注意が必要です。リクガメの目の 病気は、眼瞼に関するもの、結膜に関するもの、角膜に関するものなど様々です。 何か異常が起き始めるとまず前脚で目をこする仕草をし始めます。この仕草をする 場合には、目をよく観察して下さい。外傷がないか、目はキラキラしているか、白く なっていないか、などです。こする際にかえって傷をつけてしまうことがありま すので注意が必要です。
人間の子供用目薬を常備しておくと役に立ちます。何か異物やゴミが入ったりした 場合などは、目薬を使って洗い出してあげるとよいでしょう。人工涙液を使っても よろしいでしょう。
目ヤニが出ていたり、腫れていたりする場合は次項以降を参照して下さい。


目ヤニがでる


リクガメの目を観察して、目ヤニが出ている場合、大抵 眼瞼も腫れており、眼瞼 の内側にある結膜や瞬膜が目を覆うようになっていることが多いでしょう。この 症状はリクガメでは、結膜炎であることが多く、一時的な場合はそれほど怖くないの ですが、目ヤニが出ている場合、炎症がひどいため、放っておくと悪化して目が開 かない状態に進行してしまいます。人工涙液や子供用目薬などで洗い、抗生物質点眼 薬を使用します。抗生物質の含まれる眼軟膏を塗るのも治療方法です。原因は、外傷 や、外部からの刺激、さらにビタミンAの不足であることが多く、一時的にはビタ ミン剤によるビタミンAの補給もよいでしょうが、食事を見直して自然にビタミンA を摂取できるようにするのが理想です。
目ヤニが出ている場合は、他の眼球疾病を伴っているケースもありますので、獣医 さんに相談してみたほうがよいでしょう。他の病気と比べると、リクガメの目の病気 の治療方法は哺乳類の目の病気の治療方法とほとんど共通ですので、リクガメにつ いてあまり詳しくない獣医さんでも見ていただけると思います。


目があかない


リクガメの目があかない状態になっている場合、結膜炎がかなり進んでしまっている 可能性があります。目全体が腫れている感じで、膜が張ってしまったようになって いるような場合には、人工涙液や子供用目薬などで洗い、抗生物質点眼薬を使用し ます。できるだけ早く獣医さんのところに連れていって下さい。結膜炎から、さらに 他の部分(角膜など)に炎症が進まないようにしなければなりません。
ビタミンAの補給も必要でしょう。ビタミンAは、正常な粘膜組織の維持に不可 欠なビタミンです。
結膜炎が原因の場合、目があかない状態になる前に、目の異常に大抵は気が付くと 思われます。ちょっとおかしいなっと思った地点で治療をすることによって、大きな ダメージをリクガメに与えないようにすることが可能ですから、できるだけ日常の 観察をきちんと行うようにしましょう。
また、突然目があかなくなったという場合には、細菌などによる炎症よりも外傷に よる可能性が大きいと思われます。何の前兆もなく突然目があかない状態になった 場合には、自分で目を保護するために開けないでいる可能性が大きいため、そのまま 獣医さんに診察していただいたほうがよいでしょう。


涙目


目がウルウルした感じで涙目になっている場合、リクガメにおいては、目の病気と いうよりも、他の呼吸器感染症などの症状と考えることができます。
リクガメの鼻のまわりなどよく観察してみて下さい。鼻水が出たりしている場合は 他の項目を参照して下さい。


目が腫れる


リクガメの目が腫れる場合、幾つかの可能性があります。慢性的に目全体が腫れて いるようになっている場合は結膜炎を起こしている可能性が高いでしょう。 また、ビタミンA不足のために、目の粘膜組織に問題が発生しているとも考えられ ます。涙腺や周囲の細胞が、涙の減少によって角質化してくるケースです。 いずれの場合も人工涙液や子供用目薬で1日数回洗うようにしましょう。
また、特別な病気ではありませんが、一時的に目が腫れることがあります。これは 食事などをしている時に、突然目が水を含んでいるように腫れる場合です。瞬膜、 結膜が目を覆うように見えます。これは、何らかの食物に含まれる成分などの外部 からの刺激が原因です。一種のアレルギー反応といえます。これは何を与えた時に そうなったのかを観察しているとある程度原因となる物をみつけられるでしょう。 もちろん個体差があり、すべてのリクガメに共通してというよりもその個体による 反応とみるほうが適切なようです。
その他、角膜に白っぽいポツポツしたものが見られる場合や、水晶体が白濁して見 える白内障などの病気もあります。目の病気も悪化してからの対応では遅いので、 日常の注意が大変重要です。普段から観察するようにこころがけて下さい。異常が 観察された地点で早めに獣医さんと相談するなどして対策をたてるようにして下さ い。


口の中がネバネバしている


口内炎、マウスロットなどという名前で呼ばれる、口の内部の病気の可能性があり ます。口内炎、マウスロットは、外傷、栄養不良、または、多種の同一場所での飼 育や飼育スペースの狭さなどからくるストレス、不適切な飼育環境などが原因となり 、舌や口粘膜に炎症がおきます。そこに細菌が感染すると、小さいプツプツ状の感 じになってしまったり(プラックと呼びます)黄色い膜状のもので覆われているよ うな状態になってしまったりします。ものを食べる時にその部位の痛みから、食欲 がおちてきます。発見が早く、軽度な状態であれば、綿棒などで軽く擦ると組織を 除去できます。そのうえで1日に数回ポビドンヨード製剤のうがい薬などで(イソ ジンなど)洗浄します。それを治るまで続けます。
進行してしまった場合には口腔内のより奥までプラックに侵されてしまいます。さ らに食道、気管、肺まで炎症が進んでしまうこともあります。進行した口内炎は、 悪臭を放つ、粘性の高い、滲出液を口から垂らしたりもします。食欲はほとんど期 待できなくなり、強制給餌の必要があります。あまり進行してしまう前に適切に対 処すべきですが、局所、全身に対しての抗生物質療法が必要になります。一般の家 庭では対処が難しいと思われますので、口内炎が進行しているようならば、獣医さ んに診察していただき、治療をお願いしましょう。


舌の色がおかしい


リクガメの健康のチェックに役立つ項目の一つに舌の色や状態のチェックをあげる ことができます。健康なリクガメの舌の色は綺麗なピンク色をしています。 それがおおまかに分けますと、
●青っぽい
●黄色っぽい
●白っぽい
といった色になることがあります。それぞれ健康の異常を示しています。まず、 青っぽいというのはチアノーゼ (cyanosis)の症状です。リクガメのチアノーゼは 大変深刻で危険な状態といってよいと思います。チアノーゼは赤血球の酸素欠乏に よる訳ですが、肺の機能が著しく低下している可能性があります。肺炎にかかって いる可能性も大きいでしょう。また呼吸がうまくできていない状態であることが多 いので、鼻を観察して、粘液などで塞がっている場合には、脱脂綿などで拭き取っ てあげて下さい。市販の酸素ボンベなどを用意しておくと一時しのぎにはなるでし ょうが、急激に動かしたりするだけで危険であるという見方もある程ですので、もし 舌が青っぽい色になっている場合にはすぐに獣医さんに連絡して指示に従って下さい。 もっとも、ある日突然何の前触れもなくチアノーゼを示すことは外的要因によって、 肺がつぶれてしまっているといったケース以外考えにくいでしょう。呼吸器関係の 異常、感染症、などの進んだ場合に現れる症状ですので、それ以前に適切な処置を 行うべきでしょう。

舌の色が黄色っぽい場合、幾つか可能性があります。一つは、黄疸が出ている場合 です。黄疸は胆赤素(bilirubin)が血液中に増加する結果、皮膚や粘膜が黄色に着色 する症候群ですが、肝臓の障害とみることができます。この場合の原因は1日2日の 間の問題ではありませんから、かなり以前にさかのぼって、食事や環境について総 合的に考えてみる必要があるでしょう。肝機能の回復については尿酸の項目を参照 して下さい。
次の可能性は口内炎(マウスロット)でしょう。前の項目”口の中がネバネバして いる”を参照して下さい。

舌の色が白っぽい場合、大抵 口内炎の可能性が高いでしょう。前の項目”口の中 がネバネバしている”を参照して下さい。


口を開けて呼吸する


リクガメが口を開けて呼吸している場合、
●呼吸器感染症による場合
●寄生虫(線虫)の寄生をうけている
などが考えられます。 だいたいにおいて、鼻水などで鼻での呼吸ができなくなっている症状です。
綿棒などで鼻の粘液などを拭き取ってあげることも必要です。詳しくは、
リクガメの呼吸器感染症についてを参照して下さい。
また、線虫などの寄生虫の寄生をうけている場合にも見られる症状ですので、これ といって、鼻水が出ていたりする症状が見られないにもかかわらず、開口呼吸して いる場合には疑ってみて下さい。詳しくは
 ●線虫による病気を参照して下 さい。


くちばしが伸び過ぎる


リクガメの嘴は、そのままにしておくと、少しづつ伸びてきます。飼育下では、 あまり硬いものを食べることや、口で引きちぎって食べるといったことが、さほど 頻繁ではありませんから、かなり伸びるのが早くなります。そのままにしておいて もあまり深刻なトラブルになることはそれほど多くないと思われますが、食べ物を 食べる際にひどく食べにくそうになってきたり、嘴の一部が欠けてしまったりした 時には、トリートメントが必要でしょう。刃がカーブした形状の”爪切りはさみ” や、やすりなどを利用して、伸び過ぎた嘴をトリートメントします。


鼻水をたらしている


呼吸器感染症のページ
リクガメの呼吸器感染症についてを参照して下さい。