エロンガータリクガメの双子・結合体(分離)
(by Darrell Senneke)

1998年、7月9日

私は、エキゾチックアニマル専門の獣医師に孵化幼体の分離手術をしてもらえる 手配を進めていました。ところが、帰宅すると仔カメたちが身体をねじってしまい、お互いを分ける膜を破ってしまっていたのです。すぐに子ガメの片方は脱水し弱っていることが分かりました。私は、子ガメたちが動物病院までの2時間もの移動と、それに伴うストレスに耐えられるとは思えませんでした。

近所の専門医を探してはみましたが、爬虫類や卵嚢に関する専門知識に精通している人は見つかりませんでした。私の手元になかった唯一の道具が、殺菌縫糸でした。3件の動物病院を回って殺菌縫糸を30cmばかり売ってくれないかと頼みましだが、断られてしまいました。そのうちの一件では、やり方さえ指示してくれれば緊急処置として分離手術を施そうと言ってくれたのですが、こう言われた時点で、私は自ら分離手術を行ない、縫合糸の代用としてデンタルフロス(歯間の汚れを除去するための塗蝋絹糸)を使おうと決心したのです。

私は、デンタルフロスと使う予定の外科用メスとをベータダイン(消毒液)原液に浸けました。その間に、希釈したベータダイン液で、手術場所の周囲を消毒し、それから孵化幼体たちの身体に付着している汚れをノルヴァサン・オティック液(犬猫用の耳の汚れ落とし剤)で洗い落とし、薄めたベータダイン溶液で子ガメたちを洗いました。
次に、卵嚢が破れた箇所からちょっとズレたところで、元気な方の幼体の卵嚢を縛りました。膜の組織を破らないように結び目は弱めにしておきました。
 
もう一方の幼体についても、同じように卵嚢を縛りました。
それから、消毒済みのメスを使い、孵化幼体たちを切り離しました。糸の余分な部分はトリミングしました。
切り離した直後に、切り口をベータダインの原液を用いて化学的に「焼灼」しました。
手術が終わり急に動き回れるようになった幼体たちは、湿らせたペーパータオルを敷いた箱に入れ、箱の半分はヒーターの上に乗るように設置しました。こうすることで、湿度の高いエリアができますし、保温もできますし、それでいて幼体たちが逃げ込める涼しいエリアもできます。トータルの手術時間としては、15分とかかりませんでした。
1998年、7月10日

次の日の朝、幼体たちは体調もよくなったようでした。小さい方の個体も、前ほど脱水していないようでした。 ぬるま湯で温浴をさせましたが、2匹とも非常によく水を飲むのが観察されました。よい兆候だと思えたのは、今朝、彼らをつまみ上げたとき、2匹とも私に向かって口をあけて威嚇をしたということです。左の写真は、この日の二度目の温浴時のものです。このときの温浴は、ぬるめのペデライト(市販の電解質飲料。ゲータレイド、ポカリスエットのようなもの。)を使っています。

画像からもお分かりのように、現在、切り口はほぼ完全に吸収されています。これは手術後24時間経過したときのものです。傷口は、(紅茶色程度に)薄めたベータダイン液で日に2回ずつ洗浄しています。今のところ、このようなケアを当面は続けていく予定です。