エロンガータリクガメの双子・結合体(ケア)
(by Darrell Senneke)

1998年7月11〜24日

分離手術が終了した子ガメの毎日の世話に関しては、多くの友人や世界中の専門家からのアドバイスに基づき部分的に改善を加えました。湿ったペーパータオルは、乾いたものと取り換えました。温浴は、一日2回だったのを3回に増やし、2回目のときだけペデライトを使い、あとの2回は水を使うようにしました。薄めたベータダイン溶液を使っての傷口の洗浄は、一日2回から一日1回、朝の温浴後のみに減らしました。エサは、刻んだタンポポの葉やいろいろな果物を、一日2回与えるようにしました。

あとはデンタルフロスをどうするかという問題が残されていました。デンタルフロスは、医療用縫合糸のように傷口に自然と溶け込んでなくなったりはしないだろうと思われました。多くの獣医師やリハビルの専門家たちに、この問題にどう対処すべきかと問い合わせをしました。なぜかと言うと、すでに結び目の部分が甲羅の中へ引きずり込まれようとしていることが明らかだったからです。結び目が完全に乾いたら、壊死した組織と一緒に外科的に切除しようと決心しました。

1998年7月12日

日課の温浴は、毎日3回ずつ続けられ、結び目もだんだんと乾いて縮んできたようでした。本日、子ガメたちの体重と甲長を測定してみました。大きい方が、甲長40mm、16.28gで、小さい方は37mm、14.34gでした。孵化まもないエロンガータの幼体の平均的なサイズ、甲長54mm、体重30gと比べると随分と差がありました。しかしながら、この日、子ガメが初めてエサを食べてくれました。大きい方の個体が、モモと刻んだタンポポを少しばかりついばんだのです。

1998年7月14日

子ガメたちは、2匹ともよく食べていますが、排泄の兆候はまだありません。 有り難いことに、結合体が孵化した翌日にノーマルな個体が孵化しましたので、その個体を比較対象とすることができました。ノーマルな個体もまだエサは食べず、排泄もありませんでした。私は、排泄があることが健康体へのカギになると感じていました。というのも、幼体の卵嚢を縛ったり切り離したりしたことにより消化器官にダメージを与えたのではないかという心配があったからです。   

1998年7月17日

この日の朝、大きい方の個体の腹甲を希ベータダイン液で洗っていたときに、結び目の部分が死んだ組織とともにぽろりと剥がれ落ちたのです。血はほとんど出ず、孵化幼体にとっても痛みはないようでした。

1998年7月20日

その後、小さい方の個体の結び目も、洗浄作業をしている最中に剥がれ落ちました。このときも、出血はほとんどなく、痛みもないようでした。現在、子ガメたちは、全員よくエサを食べています。  

1998年7月23日

おそらくリクガメ好きだけに理解してもらえる、うれしい光景を見ることができました!この日の夕方、温浴後、子ガメたちが両方とも便をしてくれたのです。この時から、温浴は当面一日2回(水道水)に減らしました。

幼体たちのサイズは、大きい方が甲長44mm、19.85g、小さい方は甲長41mm、19.32gとなりました。

1998年7月24日

今回の経験を生かし、万が一このようなことが再び起こった場合、次の点を改善していきたいと思いました。  

1. 医療用の吸収される殺菌縫糸は、いつも持ち合わせておく。

2.孵化幼体は湿ったペーパータオルの上には置かないようにする。今回のような場合、細菌感染の危険性が非常に高いと思われるため。

 

3.分離手術や結び目の切除の際に使えるように、局所麻酔薬を用意しておく。個人的にはおそらくリドカインを使用するだろう。上記のほかにも、何か痛みを伴うような作業の際には使うつもりである。

この急場に、インターネットを通してアドバイスをしてくれたり、サポートしてくれた皆さんに感謝の意を表したいと思います。皆さんの助けがなければ、ここまで達成できなかったことでしょう。