「リクガメの長期飼育をめざして」

森リクガメ研究所


メスのガラパゴスゾウガメのHarriet。彼女は現在世界一長寿なリクガメである。Photo by Australia Zoo
Harrietのアップ。171歳の風格が伺える。Photo by Australia Zoo

確かにリクガメは長生きのできる生物であろう。世界中の様々な文献に、リクガメの長寿の記録が載っている。

ちなみに、現在飼育下にあるすべての動物のなかで、(野生の動物も含めてという見解もあるのだが)もっとも長寿なのは、Harriet(ハリエット)という名前のメスのガラパゴスゾウガメである。
彼女は、1835年にチャールズ・ダーウインが、ガラパゴス諸島からロンドンに持ち帰り、その後1841年にオーストラリアのブリスベーンにあるBotanical Gardens へ移り、1956年にゴールドコーストのFleays Fauna Sanctuary に一度移った後、1987 年にクイーンズランドにある Australia Zoo に移され、DNA鑑定の結果1830年の11月に孵化したことが判明し、現在に至っている。

現在171歳である。以下のURLにて、彼女の動画(731KBあります)も見ることができる。
http://www.cnn.com/EARTH/9711/14/australia.tortoise/turtle.18.reut.mov

そんな長寿のリクガメであるが、本来の棲息地から遠く離れたこの日本国内ではいったいどのくらい長生きしているリクガメがいるのであろうか。
今回は、そんな疑問から国内において長期飼育されているリクガメを求めて、全国の動物園等にアンケートをお願いし、長寿のリクガメを探してみた。また、その飼育環境や餌などを知ることによって、彼らと少しでも長く付き合ってゆく方法を模索してみたい。また、一般の飼育者の中にも、かなり長期に渡ってリクガメを飼育されておいでの方もおられるので、お話を聞かせていただいたレポートも合わせて紹介する。


PART 1 プロフェッショナルに聞く

アンケートは、
1)貴動物園名称:
2)長期飼育のリクガメの種類、飼育年数、推定年齢:
3)飼育温度、相対湿度:
4)主たる餌の内容:
5)飼育環境で工夫されていること:
6)長期飼育におけるエピソード:
7)長期飼育のポイント:
8)読者へのメッセージ:
9)ご担当者氏名:

という内容である。それぞれの動物園で情報公開について制限のある場合もあったため、回答内容にブランクの項目がある点は、ご理解願いたい。
また、リクガメの名称、餌の名称については、統一させていただいた。
なお、アンケートの回答をいただくにあたって、10年以上飼育のリクガメがいない場合には、その動物園にいる中で、もっとも長期飼育のリクガメについて回答いただいたため、飼育3年程度のケースもあった。また、一部ヌマガメに関する回答をいただいたものもある。しかし、動物園における飼育は、一般飼育者にとって参考になる点も多いと思われるので、アンケート結果はそのまま掲載させていただくことにする。
以下にそのアンケート結果を紹介しよう。


No1
1)秋田市大森山動物園
2)ムツアシガメ 1967年7月孵化、飼育年数:1976年〜現在、年齢:33歳
3)飼育温度24〜30度
4)チンゲンサイ、小松菜、ピーマン、キャベツ、リンゴ、オレンジ、バナナなど
9)爬虫類担当 佐々木 祐紀

No2
1)旭川市旭山動物園
2)ホルスフィールドリクガメ ♀、飼育年数:昭和52年頃から飼育(当時ですでに
  甲長20cm程度あった。 年齢:24歳以上
3)現在は室内で室温は22度前後、冷房がないので夏期は外気温と同じ。風通しのい
  い場所で湿度管理はしていない
4)チンゲンサイ、クローバー、ハクサイなどの葉とリンゴ、オレンジ、バナナを少
  量、ドッグフードをふやかしたもの少量
6)飼育開始当初の記憶がその当時からいた人の中でも曖昧なのですが、すでに大き
  かったそうです。飼育場所はかなり転々としていて決してすごく大切にしていた
  わけでもありません。冬眠は基本的にさせていませんが、飼育場所によっては冬
  場気温が保てずほとんど食べない・動かないといった状況もありました
9)飼育展示係長・獣医師 坂東 元

No3
1)熱川バナナワニ園
2)アルダブラゾウガメ、飼育年数:29年、年齢:推定60〜70歳
            飼育年数:13年、年齢:推定30〜40歳
            飼育年数:13年、年齢:推定30〜40歳
            飼育年数:13年、年齢:14歳
            飼育年数:13年、年齢:14歳
3)アルダブラゾウガメ 飼育温度:10〜35度(室温)
            温室内は半分砂地、半分は床暖房の板の間
4)アシタバ、クワの葉、オニノゲシ(チグサ)、サツマイモのツル、クズの葉、ニンジン
5)冬期は温室内で床暖房。夏期は屋外に出して自然光で日光浴
9)動物担当係長 浜野 芳弘

No4

伊豆アンディランド
ゾウガメ屋内展示場
伊豆アンディランド
長期飼育個体
ガラパゴスゾウガメ

1)伊豆アンディランド
2)ガラパ(頭数1頭、飼育年数15年、推定年令80歳以上ではないかと・・・適当です。)
アルダ(4頭が15年、40〜80歳ぐらいでは?、5頭ほど12〜3年、30〜50歳?)、
ケヅメ(2頭、10年ぐらい、15歳ぐらい?)
アカアシ(6頭、10年ぐらい、15年以上?)
エロン(3頭、10年ぐらい、15年以上?)
3)年間最高35℃最低20℃、平均27℃ぐらい、湿度60〜80%(冬場30%前後)
4)主たる餌の内容:コマツナ、リンゴ、バナナ、ノゲシ、クワ、クローバー、キャベツ、チンゲンサイ、モロヘイヤ、ダイコンパ、イモノハ、イネ科野草、ニンジン、最近は若干リクガメ用動物園配合飼料
5)ゾウガメに関しては3月〜12月までの曇、晴の日は室内外飼育をしています。その他は特に工夫していないです。強いて言えば餌のバラエティさでしょうか?
6)ケヅメ、ガラパ以外は産卵、孵化、現在までアルダ60頭以上孵化、生存47頭、エロン10頭以上孵化、生存3頭、死亡3頭、販売5頭以上、アカアシ10頭以上孵化、生5頭、死3頭、販5頭以上
7)肥満大敵、餌の与え過ぎ、与えなすぎ(こっちはうちぐらいですかね・・・)に注意。適餌適温適湿。適カルシウム。
8)リクガメに限らずカメに限らず爬虫類、その他動物を可愛がってください。途中で飼育にあきて捨てたり、動物園に持ち込んだりのないようにお願いします。引越しするから飼えないなどは理由になりません。
9)千田英詞

 

No5
1)宇都宮動物園
2)エミスムツアシガメ、飼育年数:25年  年齢:不明(甲長約60cm)
3)飼育温度:20〜23度 、 相対湿度:50〜70%
4)バナナ、キャベツ、トマト、レタス、ニンジン
5)外気温が上昇する5月過ぎに外に出し、土を踏ませ、風に当て、運動を十分にさせ
  る
6)特になし
7)5)に記述した内容が必要だと思います
8)特になし
9)磯

No6
1)愛媛県立とべ動物園
2)キアシリクガメ ♂、 飼育年数:14年、体重12kg
         ♂、 飼育年数:14年、体重 8kg
  アルダブラゾウガメ ♂ 飼育年数:10年、体重130kg
            ♀ 飼育年数:10年、体重103kg
3)キアシリクガメ    飼育温度:25〜32度 湿度:60〜80%
  アルダブラゾウガメ  飼育温度:25〜37度 湿度:60%程度
  ホシガメ       飼育温度:28〜35度 湿度:60〜80%程度
  ヒョウモンガメ    飼育温度:25〜33度 湿度:40〜60%程度
4)コマツナ、果実、根菜類、イタリアンライグラス、野草(タンポポ、ノゲシ、クローバー、クサマオ)
5)2月末〜11月 天気の良い日には外で日光浴
  6月末〜10月末 野外飼育場で飼育管理
8)ボイラーで全館同一に加温、加湿しているため、カメごとの温度、湿度設定に苦労している
9)爬虫類 カメ担当 前田 洋一

No7
1)大島公園
2)アルダブラゾウガメ ♀ 、1991.9.19 来園 92.7kg(2000年計測)
  アルダブラゾウガメ ♂ 、1991.10.2 来園 141.5kg(他の動物園に
                            1976.7.21来園)
  アルダブラゾウガメ ♀ 、1991.10.2 来園 76kg(他の動物園に
                            1976.7.21来園)
No8
1)京都市動物園
2)アカアシガメ ♂2頭、    飼育年数:26年11ヶ月、年齢:27歳以上
  エミスムツアシガメ ♀1頭、 飼育年数:26年11ヶ月、年齢:27歳以上
  アルダブラゾウガメ ♂1頭、 飼育年数:23年、年齢:23歳以上
  エロンガータリクガメ ♀1頭、飼育年数:17年10ヶ月、年齢:17歳以上
  ギリシャリクガメ ♀1頭、  飼育年数:10年3ヶ月、年齢:10歳以上
3)アカアシガメ: 飼育温度:日中30度(スポットライトの下35度)、夜間25度、湿度:60%前後
  エミスムツアシガメ、アルダブラゾウガメ、エロンガータリクガメ、ギリシャリクガメ: 飼育温度:日中30度(スポットライトの下35度)、夜間25度、
     湿度:50%前後 ※屋内暖房にはファンコイルを使用しているため乾燥気味
4)アカアシガメ:コマツナ400g・ニンジン70g・リクガメ用ペレット140g・青草少
         量を隔日給与
  エロンガータリクガメ、ギリシャリクガメ:コマツナ200g・ニンジン30g・リク
                   ガメ用ペレット60g・青草少量を隔日給与
  
  アルダブラゾウガメ ♂1頭(体重89kg)♀2頭(体重54・53kg)、エミスムツアシガメ♀1頭(体重34kg)を雑居飼育:給与総量 青草2.0kg、コマツナ0.4kg、ニンジン0.2kg、リクガメ用ペレット(マーズ リー)0.5kgを隔日給与
※餌には毎回カルシウム剤(乳酸カルシウム)を添加しており、月に1回程度総合ビタミン剤を添加している
5)日中と夜間の温度差を設ける。
  アカアシガメについては室内の湿度を高くするようにしている(散水、プール等)
  出来る限り屋外に出すようにしている(夏場の約2ヶ月間)
6)アカアシガメはほぼ毎年産卵・孵化している(1984年〜)
  また、当園孵化の♀が6歳で初産卵が見られた。
  繁殖には♂が多い方がよいと思われ(当園♂4頭、♀3頭)、♂が互いに刺激になっている様である。
7)飼育環境や餌への工夫
8)アルダブラゾウガメ、エミスムツアシガメについては、京都市動物園での展示は今年度中で中止となります。その後は他動物園へ移動予定です。
9)飼育課

No9

埼玉県こども動物自然公園の屋外飼育展示場
(長期飼育個体含むヒョウモンガメ9頭とアルダブラゾウガメ1、ヨツユビリクガメ1が同居)Photo by 埼玉県こども動物自然公園
同左 Photo by 埼玉県こども動物自然公園 同展示場の内部(窓の開閉により出入り自由、室内はヒーター使用により通年飼育可能)Photo by 埼玉県こども動物自然公園

1)埼玉県こども動物自然公園
2)ヒョウモンガメ ♂ 、飼育年数:13年  年齢:推定20歳以上
  ヒョウモンガメ ♂ 、飼育年数: 9年  年齢:推定30歳以上(最初の持ち主
                  の購入年が76〜77年。すでに6kgあった。)
3)屋外飼育で、4月から11月ぐらいまでは、室内と出入り自由なため、温・湿度は外
  気と同じ。冬期は20度以上
4)牧草、コマツナ、ニンジン、クワ、クズ、その他野草

5)春、秋の気温変動時に注意している
6)93年に初繁殖、97年より順調に生育するようになる
7)充分な日光と充分な草類、運動場
8)大型リクガメは覚悟をもって買いましょう
9)高尾 勇

長期飼育個体のヒョウモンガメ(オス)Photo by 埼玉県こども動物自然公園 長期飼育個体のヒョウモンガメ腹甲側(オス)Photo by 埼玉県こども動物自然公園 ケヅメリクガメ用の飼育展示場 Photo by 埼玉県こども動物自然公園

No10
1)名古屋市東山動物園
2)アカアシガメ     飼育年数:11年、年齢:不明
  キアシガメ     飼育年数:15年、年齢:不明
  ギリシャリクガメ  飼育年数:11年、年齢:不明
  エミスムツアシガメ 飼育年数:11年、年齢:不明
  パンケーキリクガメ 飼育年数:11年、年齢:不明
  カロライナハコガメ 飼育年数:11年、年齢:不明
  トウブドロガメ   飼育年数:11年、年齢:不明
3)飼育温度:23〜32度 湿度:40〜50%
4)リクガメ:かぶら菜、白菜、キャベツ、オレンジ、ニンジン、サツマイモ、人工飼料等
ヌマガメ:金魚、レバーまたはワカサギ等
5)自然動物館の名のとおり、天窓からの採光や赤外線ヒーターによる温度差等、自然に近い飼育環境をつくっています。また屋内飼育による日光不足等、栄養面でのアンバランスが生じないようカルシウム剤やビタミン剤を飼料に添加しております。
6)特になし
7)毎日の観察が一番と思います
8)名古屋にお越しの際はぜひお立ち寄り下さい。お問い合わせ先はTEL(052)782-2111
9)自然動物館 爬虫類担当

No11

長期飼育個体 アルダブラゾウガメ 「イワオ」
Photo by安佐動物公園
長期飼育個体 アルダブラゾウガメ♀
Photo by安佐動物公園
ゾウガメ屋外飼育場
Photo by安佐動物公園

1)広島市安佐動物公園
2)アルダブラゾウガメ   ♂ 飼育年数:25年、年齢:推定25歳以上
              ♂ 飼育年数:25年、年齢:推定25歳以上
              ♀ 飼育年数:16年、年齢:推定16歳以上
 ヒョウモンガメ      ♂ 飼育年数:15年、年齢:推定15歳以上
              ♀ 飼育年数:12年、年齢:推定12歳以上
 トウブハコガメ      ♂ 飼育年数:15年、年齢:推定15歳以上
              ♀ 飼育年数:15年、年齢:推定15歳以上
              性別不明 13歳
              性別不明 13歳
              性別不明 12歳
              性別不明 12歳
 カミツキガメ       性別不明 飼育年数:13年、年齢:推定13歳以上
              性別不明 飼育年数:11年、年齢:推定11歳以上
 ニューギニアヘビクビガメ ♂ 飼育年数:12年、年齢:推定12歳以上
              ♀ 飼育年数:12年、年齢:推定12歳以上
3)アルダブラゾウガメ 飼育温度:25〜36度 湿度:60%
  ヒョウモンガメ  飼育温度:18〜30度 湿度:無加湿
  トウブハコガメ  通年屋外飼育(無加温、無加湿)
 
4)アルダブラゾウガメ:牧草
  ヒョウモンガメ:季節の青菜、牧草
  トウブハコガメ:マウスミンチ、ピンクマウス
5)アルダブラゾウガメ、ヒョウモンガメは夏の間屋外飼育にきりかえて充分に日光浴をさせている。
トウブハコガメ、カミツキガメは、通年屋外飼育で冬季も冬眠させる
6)アルダブラゾウガメは屋内飼育の時にひどく便秘が続いたが、水浴できる場所を作ってやると便秘は解消され、動きも良くなった。
トウブハコガメは自然孵化で繁殖している。
カミツキガメは産卵するが放出できないので全くの別飼い状態。ノラガメも多く当園もノラガメだった。
7)日本の環境に適応できるカメについては、できるだけ手を加えないようにしています。その他のカメについては、できるだけストレスのない環境をつくるようにしています。餌は偏りがちですが、どうにかこうにかやっています。できるだけ違う物も与えるようにしています。
8)爬虫類の担当になって爬虫類の魅力に取りつかれました。ただいまゾウガメ、ヒョウモン、ホシガメの繁殖に全力投球です。ハコガメはなんとか軌道にのってきました。
9)爬虫類担当  屋野丸 武

ゾウガメ室内展示場
Photo by安佐動物公園
長期飼育個体 アルダブラゾウガメ 「ノロスケ」
Photo by安佐動物公園
長期飼育個体 ヒョウモンガメ♂
Photo by安佐動物公園
長期飼育個体 ヒョウモンガメ♀ 
Photo by安佐動物公園

No12
1)福岡市動物園
2)インドホシガメ、飼育年数:3年9カ月、年齢:推定4歳
3)飼育温度:ブース全体では、25〜30度、ホットスポット下では、37〜38度
  湿度:65〜75%(夏季、冬季で変動あり)
4)カブ菜、大根葉、コマツナ、チンゲンサイ、パパイヤ
5)日照時間、温度及び湿度
  ・屋内飼育のため、タイマーにより日照時間の変化をつける
  ・熱源としては、館内全体をボイラーにて保温しているため、季節により温度設
   定を変更する。(時間により加湿器を使用している)
6)導入後、3年を経過してようやく産卵したが、孵化には至らなかった。
7)当然のことながら、温度、湿度、光(当園では自然光ではなく人工光;照明器具を使用)、飼料及び毎日の温浴
8)なし
9)爬虫類担当 三宅 一平

No13
1)わんぱーくこうちアニマルランド
2)アカアシガメ、   飼育年数:8年  年齢:不明(来園当時で成体)
  エミスムツアシガメ 飼育年数:8年  年齢:不明(来園当時で成体)
3)アカアシガメ:飼育温度20〜30度
  エミスムツアシガメ:飼育温度15〜30度
4)コマツナ、スキ菜、野草
5)夏期屋外飼育
9)門田 智恵美

その他、長期飼育しているリクガメはいない、もしくは爬虫類は飼育していないとの回答をいただいた動物園7園


これらのアンケートから国内におけるリクガメ事情もある程度把握することができよう。まず、実飼育年数で見る限り、長くて30年程度だということである。1970年頃から動物園にリクガメが登場し始めたと考えられる。それ以前は、個人的な事情等で国内に持ち込まれたリクガメが若干いた程度だったのではないか。
また、動物園という施設のため、来園者の興味の対象となる大型のリクガメが多くなるのは当然であるが、アルダブラゾウガメ以外では、エミスムツアシガメやアカアシガメの名前が多く見られることを考えると、日本の気候風土であまり特別な施設がなくても飼育可能なアジアのリクガメが、当時国内に入って来たことが予想される。
また、地中海リクガメにおいては、長くて15年程度の飼育年数というのもおもしろい。1985年頃から動物園でも見られるようになったことが伺えるが、爬虫類ブームもあって、ヨーロッパ方面のリクガメがそのころから国内に多く入ってくるようになったことが考えられる。それ以前は、かなり稀な存在であったようだ。その辺の実情は、PART2の個人飼育者に聞くPART3のお宅訪問記も参照されたい。
いずれの動物園においても、飼育環境における温度、湿度、光には注意して飼育していることが分かる。また、暖かい季節には屋外にリクガメを放して飼育している動物園がほとんどである。このあたりが長期飼育のヒントになろう。
また、餌について見てみると、人工飼料がほとんど利用されていない傾向がある。他の草食動物の餌の確保という事情もあると予想されるが、リクガメに対しても野菜や野草、牧草などが餌の中心だという事実は、客観的に受止める必要があろう。
餌の中に果物も見られるが、飼育種の中に、エミスムツアシガメなどの果物をよく食べる種がいるためで、すべてのリクガメに果物を大量に与えているわけではないことを付け加えておく。

国内動物園における長期飼育リクガメ表へ


長期飼育2へ