*妹よ(飛翔編)
拝啓ガトー様、お元気ですか?
その後おかわりないでしょうか?
ソロモンの悪夢と称された、その勇姿を拝見できなくなってからどれくらいの月日が流れたでしょうか。
凛とした意志を示すその美しい銀髪は、ますます御健在でありましょうか。
ボクです、虫のサカイです…
今日は妹の結婚式でした。
前日、妹の結婚式のお祝いにPS2を送ろうと考え、アキバのLAOX前に立ったまでは
よかったものの、既に妹が持っていたらイヤすぎるので電話確認しようとしたら運が悪いことに留守電。
まあいいか大丈夫だろとの安易100%な考えで不安を無理やり押しきってPS2を購入してみた
その5分後に妹から電話がかかってきました。ドキドキする心をおさえながら遠回しに聞いてみます。
「なあ、お前DVD持ってる?」
「ん?DVD? PS2で見てるよ」
お祝い、終了のお知らせ。
普段ジブンのコトしか考えないムシが自身の自己満足だけの為にタマニイイコトしようとすると
コウイウ目にあうよ!!よいこのミンナは気をつけようね!!
前日から早くも死にたい気分になりました。
当日の10:00、イヤイヤしている体を無理やり奮いたたせて式場へと向かいます。
式場に30分前に着いたので、まだ式までには余裕がありました。
親族控え室で膝をかかえながらウーロン茶をちるちると吸っていると、次から次へと親戚が
声をかけてきました。
「やあサッチャンじゃないか!元気かい!!」
「ああ!サッチャン!! まあ立派になって!!」
「***だよ、元気そうじゃないか!サッチャン!」
「よく家の裏の山で遊んでたよねえ!サッチャン覚えているかい?」
覚えてねえよ。誰だお前?
つうか半分以上知らねえンだけど。
あとサッチャンと呼ばれると無性に苦痛なンだけど。
ボクも含めてみンな死ね、と思いはじめた頃、ようやく親族攻撃が終了しました。
かなりげんなりした気分のまま式を終え、披露宴を待つために控え室でペチャペチャと水割りを
舐めていたら妹のダンナさんが側に接近してきて、我々は会話せざるをえない状況になってしまいました。
ダンナ:「・・・・・」
ボク :「・・・・・・・」
ダンナ:「・・・やあ元気?」
ボク :「え・・えと、はい元気です」
ダンナ:「・・・そうかあ元気かあ」
ボク :「・・・・・・・・・」
ダンナ:「・・・・・・・・・・・・・」
会話終了。
これでどうしようもなく死にたい気分にならない奴がいるとしたらソイツどうかします。
アルマーニのスーツをビッと決めたわりには原色バリバリの赤の靴下をはいている、という
ツッコミどころ満載の格好にはあえて突っこみませンでした、めんどくさそうだし。
さて、披露宴が始まりました。
新婦の兄という事で次から次へと知らない方が話しかけてきます。
すべての会話において「イヤッハハハ」だけで通じるこの世界はキチガイだと思いました。
そして、妹の友人のキレイなお姉さま方、ダンナさん友人の立派な肩書きを持つ方々の、
おなじみの相手ホメチギリ・身内ヘリクダリトークを思う存分に楽しンだ2時間後には、
いろいろな意味で劣等感に打ちのめされ、僕はすっかり死にたい気分に仕上げられていました。
終了後、一秒でも速く帰ろうと出口方向へ歩きだした僕の背に、妹ヴォイスという名の
ライトニング・アローがグッサリ突き刺さります。
「当然2次会参加するよね」
は? …え、えとイヤです。
「なンで? ****(知ってる人は知ってるバンド名)も来るんだよ!」
うん、ボク、そのそのバンド嫌い…
「あ?テメいま何か言ったか?あ?」
い、いえ。
「ただ生かされてるだけのド腐れが!黙ってハイハイ言ってりゃいいンだ、あ!」
…はい。
10分後、死にそうなツラで強制連行されてるボクがそこにいました。
六本木のコジャレたレストラン内、ゴージャスな雰囲気と練り上げられた演出の中でいよいよ
2次会が始まりました。どっからみても、ボクとは類が異なるのかなあ、と思わんばかりの
オシャレな方々が会場を埋め尽くしていました。まさに「お門違い」という言葉がぴったり
当てはまるボクは居場所もなくただウロウロ、オロオロするばかりでした。
正面のテーブルには、オレは芸能人ですよオーラ全開の方が座っていらっしゃいました。
一緒にきていたイトコが「サインもらいにいこうよ!」とか抜かしはじめたので、
そのイトコをテーブルに飾ってあるロウソクの芯の部分で死ぬほどザクザク突いてやりたい
気持ちにかられはじめていたら、妹とダンナさんがやってきてこうおっしゃいました。
「なに?サイン? いいよ頼んであげるよ、一緒に写真もどう?」
アホか。
虫には虫なりのプライドというものがあります。
滅多にないチャンスだからといって、ミーハー根性だけで、スキでもないミュージシャンと
一緒に写真に写ったり、サインを貰ったりできると思いますか!
ボクにもこだわりがあります、虫だからこそのこだわりが!
海兵隊名物火の玉ミッキーも言っています。人間にとって一番だいじなものは尊厳だと!
その尊厳まで失ってしまったらボクは虫ですらないじゃないか!
見損なってほしくないものだな、ボクをその辺のミーハーと一緒にするンじゃない!!
ボクは!ボクは!ボクは!
・・・・・・・・・・
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虫ですらありませンでした。
有機体としての誇りすらかなぐりすてたボクに果たして未来はあるのでしょうか。
否。
だからこのサイトの名前はいつまでたってもNO-FUTUREなのです。
そして今日も死にたい気分を満喫できたよ、サイコウダヨネ!!
拝啓ガトー様、その後つつがなくお元気でしょうか?
ボクは遂にムシですらなくなってしまいました。
ガトー様、貴方様のようになりたいのです。
失敗を省みず、過去を黙して語らず、常に前向きに進んでいく貴方様のような漢になりたいのです。
どうすればどうすればどうすれば貴方様のようになれるのでしょうか?
#とりあえず後ろ髪をのばしたら石をぶつけられました。