ARCH ENEMY.


<2004年6月21日: 渋谷AX>

今や北欧系ブルータル界隈の中においては、頂点に君臨していると言っても過言ではない程の
勢いをもつ、叙情派メロディック・デスメタルの雄、アークエネミーのライブを観に、渋谷は
AXまで行ってきました。

正直このバンド、メイデン・フェス時に観たのが初だったンですがまさかここまでハマろうとは。
その時のあまりの凄まじいインパクトが忘れられず、思わずアルバム全買いの聞きまくりで、あまつさえ
ライブまで行くことになる始末。本当メロデスってのはチルボドしかり、イン・フレイムスしかり、
聞けば聞くほどハマっていく麻薬のような音楽性を持っていますな。
あ、でももちろん正当派デスメタルにおける
オゥオゥオゥオゥオゥオゥオゥオゥオゥオゥ(エンドレス)
ってな抑揚も高揚も感情表現も喜怒哀楽も何もかも排除しきったアザラシのいななきのような音楽
に関しては相変わらず体が受け付けることを拒否します。つまりアークエネミーにおけるゴソウ嬢の
発情期に入ったメス象のあえぎ声のごときボーカル音は、僕にとっては只のノイズ程度の意味しか
持ち得ません。が、ここにアモット兄弟の奏でる、あの叙情性高きギターの旋律と、押して押して
押しまくるダニエル怒濤のバスドラ連打が加わることにより、そのメロディはエクストリームと
エモーションに満ち溢れた至高の旋律へとメモタルフォーゼを遂げるのであります。言わばゴソウ嬢
のボーカルは果てしなき痛み、このジューダス・ペインを我慢して我慢して我慢して乗り越えてこそ、
その先にある哀愁ソロがますます極上品になるというものでありまして、これを世界観的に例えるなら
団鬼六ワールド、つまりはムチとローソクを周波数という名の責め具におきかえて、僕らをビシバシ
やってくれるのが、このメロデスなるジャンルの醍醐味なのではないかと考えている今日この頃なの
であります。

で、さっそく会場前に着いたわけですが、今回はジャンルが一応デスメタル系だけに、正直
入場前から若干のビビりをくれておりまして、虐められたらヤダな、カツアゲされたらヤダな、
それだけならまだしもダメプラの時みたいにむりやり咆哮を強いられるのだけはマジ勘弁なと、
かなりドキドキしながら会場入りしてみましたらアラびっくり、マイ・スィートホーム:秋葉で
よく見かける僕らの愉快な仲間達系ファッションをしておられる方々がそこら中にポツポツと
いらっしゃるではありませんか、というか背中にリュックをしょったまま最前列付近で出待ちと
いうその無法っぷりにはマジで正気を疑いかけましたが、そのリュックに羽らしきシールが貼って
あるのを確認してしまった時は思わず「うぐう」と呟きつつ、もう何でもアリなんだなと心底
感心いたしました。

で、実際のライブはどうだったかと言いますと、前のドイツ人らしき小男がやたらと後ろばっか
振りむいてウザかったとか、アルバムから期待した実ライブの音がいまいち頭の中でシンクロして
くれなかっただとか、アンジェラ嬢のデスヴォイスがリズム隊に押され気味なようにみえたとか、
あんだけピッチリしたパンツはきながらその線がまったく見えないところから察するに実はお前
ノーパンだったんちゃうんか?とか、コイツのアクションはまさにザ・メスって感じでエロエロ
しすぎるだとか、わりと文句?タラタラの内容だったわけですが、そんな中、クリストファー君が
ビシッと一発決めてくれました。なんと曲の途中で彼のギターにトラブル発生、ヘナ音しか出なく
なった愛機を抱えて焦りまくるクリストファー、そのギターを使うことを英断とばかり諦めて次から
次へと交換するも、出るギター出すギター全部ヘナ音ブビープピー、そのままストレス限界点に達し
怒髪天を衝いちゃったクリス君、遂には手に持っていたエクスプローラーをそのままスタッフに
向かってドーンとスローイング!(本当にドーン!って感じでした)いやーこれには笑いました、
その様を心配そうに見つめてるマイケル兄貴のフォローっぷりも含めて面白かった。急なハプニング
発生の際にステージ上で繰り広げられる人間模様、これもまたライブにおける一つの醍醐味と言える
でしょう。

ま、後半は兄弟揃っての叙情ソロでその失点を挽回してくれたし、全体の印象においても彼等の持ち味
の一つである「音に潰される感覚」という点は充分楽しめたのでギリギリ良しとします。後はアンジェラ嬢
次第かなあ、どうしても声量がなあ…。最初のインパクトが強すぎただけに僕が彼等に抱いている期待が
大きすぎたのかも。ま、なんだかんだ言ってもそこそこ楽しめたライブではありました。


てなわけで今日の一枚。

 WAGES OF SIN / ARCH ENEMY

疾風怒濤の勢いで連打される迫力満点のドラム、その間隙をぬってかき鳴らされる悲哀に満ち満ちた
哀愁ソロ、それら一流の技術を十分引き出すだけのパフォーマンスをしっかり持った抜群メロディと、
ここまで丹念に積み重ねてきた珠玉の世界をアンジェラ嬢のデス声が全破砕。これぞメロディック・デス、
創造と破壊に溢れた究極の音楽、食わず嫌いの人にこそ是非とも体験してほしい世界です、食べ物
に例えるなら地獄ラーメン?最初はこんな辛いの食えるかーって思うけど、ふと気づけばその辛さが
やみつきに!?とか、まあそういうノリで。


<今日の無駄Tシャツ>



#前面ギリギリセーフ。裏面は絶望的にアウト。
 今までの無駄Tの中でも群を抜いて、普段着れない度ナンバーワン。




<セット・リスト>

01:Silent Wars
02:The Immortal
03:Enemy Within
04:Instinct
05:Bury Me An Angel
06:Behind The Smile
07:End Of The Line
08:〜 Christopher's Guitar Solo 〜
09:Burning Angel
10:We Will Rise
11:Dead Eyes See No Future
12:〜 Ds Solo 〜
13:Bridge Of Destiny
14:Ravenous

15:Bass Intro 〜 Burning Bridges(Theme)〜 Silverwing
16:Dead Bury Their Dead

17:Savage Messiah
18:Snow Bound 〜 Fields Of Desolation


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