IMPELLITTERI.


<2004年7月10日: 川崎クラブチッタ>

光速の貴公子と呼ばれた(今は光速のブタですが)イングヴェイ・マルムスティーンよりも
速くギターをつまびく男として、更には前述のインギに「ああ、クリスね、彼らの多くは
僕から多くをパクっておいて、それを認めないんだよね、”Liarー”」(いきなり歌い始める)
などと小馬鹿にされまくった男として名を馳せた、神速の貴公子ことクリス・インペリテリ
率いるインペリテリが6年ぶりの来日をはたすというので、こら今回見ておかねば数年後には
絶滅してるかもしらんとばかり、まるで特別保護条例下にある希少動物でも見るような心持で、
川崎はチッタまで行ってまいりました。

実際いまどきネオクラなんてどう考えても流行るわけないし5年後辺りにゃそっちの音楽性
は全部「インギ」というジャンルに置き変わってイングヴェイそのものが唯一神として威光
を存分に撒き散らす以外、その亜種は全部掻き消えてるンじゃないの?なんてな乱暴な予測
があながち嘘じゃなくなりつつある昨今、さすがのクリスも「オラこのままじゃヤバい?」
と気づいたのか、ニューアルバムでラップやデスにハードコア要素を取り入れて何とか変化
を図ろうと頑張ってはいるものの、別の意味で必聴ものになってしまったそのあまりの節操の
なさに、ソングライターとしてのコイツの価値は確実に存在しないと断定しきってしまった
僕の彼に対する未来予想図はほぼ鉄板で竿師です、その得意の指テクを生かしてのクリ責め
で小マダムやプチ・セレブどもをピリピリ失神させまくり?(いいなあ…)とかそんなこと
を考えつつホヘーとしてたら、下記のような会話が耳に飛び込んできました。

「インテリって10回連続言ってみな」
「インテリ、インテリ、インテリ、インテリ、インテリ…(以下略)」
「今日のライブのバンド名は?」
「インテリペリ…って、あ〜やられた〜」

一瞬にしてその場を絶対零度に変えるようなコジャレトークを炸裂させてたそのカップル
を携帯のカド辺りで無性にたたき殺してやりたい衝動に駆られつつ、内面から湧き上がる
がごときその殺意を必死に抑えながらライブ開始を今か今かと待っておりましたら、それから
程なくしてギターをジャカジャカかき鳴らしつつインペリテリようやく登場。
そのあたかも裏びれたギター流しのごとき登場っぷりに、僕はライブ開始前からなんとなく
もの悲しい気分になってしまいました。

その暗雲たちこめるがごとき立ち上がりをなぞるかのように、そのライブ内容の方も見せ場
の少ない地味めなものになってしまっていたわけで、こら理由はなんだと考えたらそらやっぱ
フロントマンがしょぼいからじゃね?って結論に不本意ながら到達せざるを得ないわけで、
あのグラハムの後を継いでマイクとったその何とかカーティスとかいう無名の兄ちゃん、
一応ちゃんと歌えてはいるもののどーにもこうにも光るものが無さすぎて、その必要最低限
こなしてます的パフォーマーっぷりの前に、ステージ上から煽り入れてもほぼノーレスポンス
という厳しすぎるノーを客席から叩きつけられる始末。

肝心かなめのクリスさんのソロも確かにすごいっちゃすごいんですが、選択してる楽曲
そのものが持つ力というか求心力というか、そういったソウル面が弱すぎて、インギ様仰せ
られるところの「メロディアスではなくただ単に速いというだけのスピードなんてクソだよ!」
的展開になってしまっていたような…

や、ところどころ盛り上がる箇所はあるんだけど、その流れが持続しないんですよね、
味は悪くないんだけど中が筋だらけで噛み切れないゴムのようなトンカツを食わされてる気分、
とでもいうのかな? 例えばせっかく"Speed Demon"や"Father Forgive Them"辺りで
盛り上がりかけて、こっちが更なるハイスピードナンバーで畳み掛けてくれるのを期待してるのに、
そこでやるのが新譜からのヘナ曲だったりとかね。そらテンションもショボってなりますよ。
同じ新譜からやるにしたってもっといい曲があるだろうに、わざわざ捨て曲っぽいのをチョイス
するセンス辺りがどーも… それとも日本人好みの曲がいまいちクリスの中で分かってなかった
のでしょうか? そうだとしたらライブ前のステージ・プロモーションがなってなさすぎる。

一番盛り上がった瞬間も人様(VAN HALEN)のカヴァー曲"Aint Talkin Bout Love"だったと
いうお粗末さに加えて、一番やってほしかった"17世紀"も"Rat Race"もなし(これが一番腹たった)、
おまけにアンコールは1曲だけ、しかもその曲が新譜からの知名度ゼロ曲という、ちょっと日本の
ファンを舐めてるような致命的所行も重なり、僕はすっかりおっぺけぺー。
自分が何を期待されてんのかプロなら把握しておいてほしいと、そう強く思ったライブでした。


<今日の一枚>

 SCREAMING SYMPHONY / IMPELLITTERI

ライブ内容はクソだったけど、アルバムの方は、特にロブロックがボーカルとってる3部作は
どれもなかなかの聴きごたえ。特にこの「SCREAMING SYMPHONY」は歌メロよし、ボーカル
の力強さよしに加え、クリスの高速ソロがこれでもかこれでもかと火を吹きまくる、ネオクラ
屈指の名盤に仕上がっていると思います。特に"17Th Century Chicken Pickin"で見せる
クリスのピッキング・プレイはマジで神!話しのタネだけで聴いても損はしないと思われ。


<今日の無駄T>



#表面には「IMPELLITTERI」と縫い込んであるだけ。
 これなら全然イケるじゃんと思って裏みたら、そこが自殺モンの酷さ。
 この前、泊まりに来た友人に寝巻きとして貸そうとしたら拒否られました




<セット・リスト>

01:Intro
02:Countdown To The Revolution
03:Destruction
04:Dance With The Devil
05:Speed Demon
06:Propaganda Mind
07:Hurricane
08:The Iceman Cometh
09:Father Forgive Them
10:Guitar Solo
11:Perfect Crime
12:Rock & Roll Heroes
13:Falling In Love With A Stranger
14:Drum Solo
15:Since You've Been Gone
16:Aint Talkin Bout Love
17:Stand In Line

18:The Fall Of Titus


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